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 ログインした先は真っ白い空間だった。どのゲームでもチュートリアルくらいある、それが今ログインした先の空間なんだろうと理解した。


 何もない空間からテクスチャがゆっくりと形成していき、四角いものがせり上がってビルや通路といった風景を真っ白い空間でありながら形成していきこれから始まるんだと実感させられた。


-ようこそ、アキージョンへ-


 言語設定を日本語にしてあったので、日本語で表示される。リージョンレイテッドの1作目の世界…アキージョン。

 語源はアーキテキストとインクルージョンと書かれていた。和名では機界と呼ばれていた…無骨な男臭さがあり、血みどろの終わりなき生存戦争。


 戦うことが存在意義を示すような世界だというのがプレイヤーの声でわかった。数多くのレビューや戦争体験記ともいえるブログは英雄になれなくてもその世界の糧食を得るためだけに生きている者たちにとっては希望だというのが感じ取れた。


-チュートリアル、及び適正を見極めさせていただきます-


 私の体はすでに戦闘モードになっていた。ソーディアーにいた頃の感覚からすでに始まっていると感じ取っていた。程よい緊張感が全身を包み込んでいった、戦場の空気というのだろうか、独特な視線があらゆる場所から体中に突き刺さっていた。どこから見ているか、というよりも全方位から見ている感じで、舐め回されてるのが癪に障った。


 空中にコンソールが表示され、装備のプリセットが表示されていた。銃火器と近接兵器とのセットで基本は銃火器による削りからトドメを近接兵器で相手の生命線のコアを破壊する流れだ。だが、高火力でも押しきれるが弾数や周りへの被害、持ち帰れる情報が少なくなるため、あまり推奨はされていなかった。

 ふと、レンツが使っていた武具を思い出した。あいつはビームソードを使っていた、レアリティが高くコアがむき出しじゃない状態でもトドメをさすことが出来る兵器だ。手に入れるのにどれだけのことをしたのか、そう考えるだけで強かったんだと感じることができた。


 私は表示されたプリセットの中から、槍を選んだ。ある程度、敵のコアが出ていなくても突き破れる貫通力のある武器だ。それに前に使っていたのだから使い慣れていた武器の方が扱いやすいと思ったからだ。


 それに初心者向けだった、丁度いい。


 プリセットで選択された、無骨で合成金属で加工され、対珪素生物用に特化された槍が転送された。私はそれを手に取り、重厚感を確かめ身体に馴染ませるようにクルクルと回した。太ももにハンドガンがセットされ、腰にポシェットが装着され、その中に予備のマガジンが入る。


 ハンドガンのメーカーや槍がどこの工房で作られたのものか、ちゃんと武器として機能するのならいい。チュートリアル時に装備できるものというのは、それなりに使えるはずだ。

 槍を地面に突き刺し、ハンドガンの感触と弾が入っているのを確かめ、セーフティを外す。人通りの動作は、事前に情報を見て把握済みだったので、実際にやってみると存外簡単だった。


-サバイバルを開始します。生存時間、方法、危機回避能力を試験させて頂きます-


 操作方法などチュートリアルに含まれない事から、最初からプレイヤーを殺しにきてることから女性や楽しみたい人には不向きと言われていた。また、チュートリアル内容はプレイヤーの今までのゲーム歴や選んだ武器、容姿、性別などからランダムで形成されるため攻略方法がないと言われていた。

 攻略方法、そもそもゲームを始めるチュートリアルにそんなものが言われている時点でおかしなものだと呆れた。


 いつの間にか市街地になっていた。白一色だったが色が付き、コンクリート色が一体に広がっていた、蛍光灯の光がコントラストを描き、外で戦えば餌食になり建物の中に入ればリーチがある槍には使いづらさを感じさせるマップだった。


 私はすぐに槍を引き抜き、建物の影に移動し、身を潜め周りを見渡す。


 かすかだが、何かいるという気配はしていた、それが人なのかそれとも珪素生物なのか知ったことではなかった。チュートリアルとは名ばかりの実際の戦場に転送されたと思って挑まないとこの先、さっさと目的を達成できないと思っていた。


 周囲に霧が立ちこもっていき、視界も悪くなっていった。ゆっくりとだが、自分に近づいてく妙な気配を感じた。この立ち籠める霧が鬱陶しく、このゲームの特徴なのか一度視認しマーキングをすればマップ状に表示される仕組みになっていた。にも関わらず、霧で視界を悪くするとかチュートリアルとか頭おかしい難易度設定だ。


 ひた、ひた…


 何かが歩いてくる音が聞こえ、それが近くから聞こえてきた。とっさに槍を背後に刺す、なんとなくの勘だったが、見事に背後に現れた何かに刺さった。固いゴムで出来た塊を刺した感触が走る。

 嫌な予感というのはある、こいつは間違いなく殺れてない。突き刺した槍をそのまま上へ斬り上げる。裂かれる感触が途中までステーキの肉をきるようなものだったが、固い何かに触れた。

 私は躊躇なく、裂き上げるとガラスが割れるような感触が手に感じられた。するとコアを破壊したからか、どろりと何かが溶けて地面にぼとぼとと粘土が落ちるような音がした。


 背後を振り返るとアッシュグレー色のでかく不器用な粘土の塊があり、それとは別にコアだった破片が粉状のものへと変異していっていた。

 軽く深呼吸をし、あたりを見渡すと霧をかき分けるように動く影が見える。もしかして、相手も見えてないのでは…いや熱源センサーとか相手は装備していてもおかしくない。

 適当に動く影にめがけてハンドガンを構えてみるが、影は何も反応せず、ウロウロとしていた。


 私は中腰の状態でそのウロウロしてる影の一つに近づいていった。影の数は5つ、そのうちの一体だけが孤立していたので倒すべく近寄る。ひた、ひた…と近寄ると音を立てて歩いていた。


 うっすらと視認できる距離まで近寄ると…あーこれは…ホラーだ。なにこれ怖い


 こんなのが珪素生物なのか?という疑問を抱きながら縦にコアごと真っ二つにした。見た目は二足歩行だが、猫背で痙攣しながら動いていた。頭部は髪が生えていなく、もぞもぞとナメクジの角のように伸びたり縮んだりしていた。


 そして全裸だった。言おう、マジで気持ち悪い。


 事前に調べた形状とは違く、チュートリアルだけは別ゲーとか書いてあったレビューを思い出す。状況判断能力も試験のひとつとして見ているのか?

 倒した後に、あたりを警戒するとこちらが倒した事には気づいていないことがわかった。はたしてこのままでいいのかと思うヌルさが私には感じていた。だがそれとは別に最初からずっと自分を見ている視線を感じた。


 胸糞悪く感じてきたので、その視線がどこから来ているのか探り自分の気持ち悪さを払拭したく、あたりを散策することにした。チュートリアルといえど、このマップがどのくらいの広さを持つかわからないが端まで行ってみようと思った。


 しかし、周りに気をつけながら進んでも市街地の風景が変わっていくだけで街の終わりがなかった。同じところをぐるぐるまわっていると思ったのだが、そうではなく最初に見た5つの影も次第に増えたりしていた。


 チュートリアルに時間制限もない、敵と思われるものも5つだけじゃない、さらにマップに制限がない。変わらず視線が全方位からあるのも、もしかしたらこの霧そのものが生み出してると感じた。密閉された空間で、霧が入らないようにしてみようと考えにいたり近くの建物に入ることにした。


 こんな事で時間を費やすことはしたくないが、視線がどうにも気になった。ブルーと似たような感じがしたからだ。それが確信を得られない気持ち悪さが胸のあたりにムカムカしているのが自分でもわかった。わからないまま、このチュートリアルを終わらせてその視線の正体を知らないまま行くのは嫌だ。


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