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 世界を救う、あの時なんで私はそんな事を思ってしまったのだろう。咄嗟に思ったのがそれだったと言えば、それだけかもしれない。


 時刻は朝の5時過ぎ、外は朝焼けの光がカーテンの隙間から部屋を照らしていた。

 いつも寝る前にカーテンを少しだけ開けて、朝の光を部屋に差し込ませるのが私の癖だった。


 昔、キャンプに行った時に見た太陽が昇ってくる時の感動が今でも忘れられないから擬似的でも毎朝、それを思い出したかったんだ。


 過去の事を引きずる、良くも悪くも私は自分の性格を朝の遮光から改めて感じた。

 このままだと私はさっきまでのことを引きずって生きていくことになる。

 ゲームだと思っていた世界が異世界だったということを…もしかしたら今まで遊んできた様々なゲームは…そう考え、自分の頰から奇妙な違和感を感じた。


 涙、私はいつの間にか涙を流していた。


「くそ…なんなのよ…」


 現実に戻り、自分自身が一つになり私がゲームの中にいた時の記憶と現実のただ無責任な楽しいという思いが、情けなさと悔しさが入り混じっていた。

 何も自分は出来てなかったことの不甲斐なさが胸を締め付けてきていた。自分に何ができた?よくやったじゃないか、そんな言葉が頭に浮かびそうになる。


 慰めの言葉が自分にかけ、前向きになろうとするがそれが何も解決しない、ただ空虚な何も響いてこない言葉だ。


「うっ…ううっ…」


 歯をくいしばりながら、私はひたすら泣いた。気がつくと2時間経っていて、泣き腫らした目元は真っ赤に腫れ上がっていた。


 親から心配され、夢の中で何かあったのか聞かれたが、うまく行かなかったことが重なったことを伝えた。その日はたまには休みなさいということで学校をズル休みすることになった。普段、真面目だった私は気が引けたが親はたまにはそういう日がないと疲れるものよと言ってくれた。

 私はそれに甘える事にし、部屋に戻りネット端末からゲーム内情報のウィキや掲示板の情報をあさったりしたが、世界の敵との攻防戦や本来行くはずだった北の国でゾンビ騒動があったことくらいしか書かれていたなかった。

 特に手掛かりらしいものが落ちているわけでもなく、あっちの世界での意識を失う前にダウンロードされたという感覚はあったもののどこにあるのかさえよくわからなかった。機器を調べてみても容量が増えているわけでもダウンロードフォルダの中にも入っていなかった。


 仕方なく、ネットを通じていろいろ今までの出来事に関連したキーワードを調べてみたりしていた。

「ない…全く引っかからない…」

 昼に差し掛かる頃、頭を悩ましながら見知った人たちの名前を検索かけてみていた。無探りに探すより、見知った人の名前を入力していたらなにか見つかるかもしれないと思ったからだ。


「ユーリ…えっと…そういえば苗字とか知らなかったっけ…あ、でもレンツと知り合いとか言っていたな…」

 私は二人の名前を入力し、検索をかけた。すると出てきたのは私がログインしていたリージョンレイテッドワールドシリーズの最初の作品にいた。名前はユーリ・オーヴァリー・ウレイとレンツ・イツ・オータムというフルネームがわかった。伝説の傭兵として彼の軌跡から秘宝を得られるというクエストがあるというのがわかった。

 すでに行方不明になっていることから、その行方がソーディアーっていうの異世界にいたわけだから…世界はどこかで繋がっているわけなのか…彼らがいた一作目のゲームは珪素生物との生存戦争をかけた世界か…。なんか怖いな


 気を取り直して、私は眠兎がどうなっているのか気になったのでログインしようとしてみたが、アカウントが消されていた事に気づく…


「そりゃ…そうよね…」


 運営に問い合わせても今回のことは悪い夢か何かと思われるだろうし、キチガイ扱いされるだろう。ゲームと現実が区別がつかない人としてカウンセリング対象になるだろうと思った。

 新しく別のアカウントを作り、会いに行くという手も考えたが実際にその世界に入った瞬間に現実の記憶が封印された状態になるわけだから難しい。そうなってくると別の世界から行った方がいい。


「よし、決めた。絶対、ブルーをぶん殴る」


 泣き腫らした眼に、強い思いがのった光を宿っているような気がした。振り回されて終わるだけにはなりたくない、勝てるか勝てないか算段はない。相手は世界を人格化した神だろうと会いに行ってぶっ飛ばす。


 一度自分が決めたら、どうしたいのか湧き上がってきた。そして様々な疑問が出て、頭が冴えてきた。うじうじなんてしてられない。


 異界という全ての情報がある場所でなぜ彼は聞かなかったのか、世界を終わらせない方法があるかどうかを…

 思うんだ、あいつは絶対永く生き過ぎて凝り固まってるんだって…だからいろんな可能性を試していったけれど、可能性がないと思ってしまったんじゃないかって


 ユーリが言っていた、恵那の可能性…それも気になる。あいつは何か知っていたはず、そうなると異界に行けばわかることもある。行き方はわからないけれども…ユーリやレンツが他の異世界から移動したのなら、私だって出来ないこともない。


 私は今夜、ユーリがいた世界に行くことにした。発売されてから何年か経ち、拡張がされているが異世界であることは変わりない。

 今度こそ、自分の意思で決めて行動する。行動させられるのは嫌だ、あの世界は私にとってもう一つの現実だ。

  

 恵那、眠兎、ユーリ…そういえば乃陰…まあ、あいつは最後でいい。どうせ元気だろうしね。


 私は早速、ユーリがいた世界をダウンロードし、機器にインストールした。アカウントも作れたので今夜からログインできる。

 アバターの設定は、いじらず有りのままの自分にした。最後に恵那は見えていたのならば、その時の見た目の方がいい。

 それにブルーを見えていたのなら、以前と違い刃も届くと思った。届かなかったらそれまでだが、そんなことはならない気がした。


 私の中で確信めいたものが芽生えた。


 端末のメモ帳に私は今ある問題を列挙し、整理することにした。

 まずは、ソーディア―の行き方、恵那の行方、そして、ブルーの居場所と倒し方と箇条書きを迷わず入力する。この3つくらいしか今の私には思いつかなく、ユーリがどういう思いで行動しているのか、乃陰がどこで何をしているかは二の次にしていた。

 世界が終わる前に、世界を救わないといけないからだ。そのタイムリミットがいつなのかわからない。なら、動くなら早く、かつ優先順位を間違わずにいかないとだめだと直感が告げていた。

 彼らの過程や動向は謎だらけだけど、もう一度異界に行けばわかるような気がする。あそこには全てがある…アカシックレコードだ。その一部のデータを私はダウンロードしたはずだが、どこでそれを確認すればいいのかわからないままというのがもどかしかった。


「とりあえずは、夜にログインして確かめるしかないか…」


 気がついたら昼過ぎになっていた。ベッドでゴロゴロしながら、調べていたら自然と腹も減っていた。今朝は泣き続けたこともあって、何も口にしていなかったことに気づき、台所に行き、軽く昼食を食べる。


 夜まで部屋で新しく始めるログインする世界について調べていた。今度の世界は記憶を失うことなくログインすることになる、そして1回のログインで長い期間のダイブすることになる。

 何の因果か、私の意識だけがあっちに囚われ続けていた事が脳の拡張に繋がったのかもしれない。だったら任意で今度は戻ってこれるとは思うけれども、できれば戻らずに方を付けたいと思った。


 その夜、私はログインした。ユーリがいた世界に…

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