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34-

 クリスタルに入れられて身動きは取れなくなったが気持ち悪さが軽減していった。二人は戦い続けていた、奇妙なのは鏡のように同じ場所に傷跡ができていた。戦闘が過激化していくにつれ、出し合う技も剣か盾かの違いだった。


 息を切らし、血が流れ出て、二人の目は互いしか見えてなかった。剣には血がこびりつくこともなく、血で切れ味が落ちることもなかった。

 恵那の盾は剣を受け流し防ぎ、月無の剣は弾き返していた。互いの武具が接触する度に青白い粒子が飛び散り、小さな花火が舞っていた。


「お前はなんなんだ!」

 月無は吠える。二人は髪の色と服装は違えど、同じ顔。表情は対照的で恵那は悲しみと怒り、泣きそうな顔をしていたが月無は嫌悪だった。

 月無は恵那の行動を夢で見て感じていたんだ、相手を知り過ぎた事によってやりにくさが心にあるのだろう。押し殺す事もできず表情に現れ、剣筋にも影響していた…。


「気持ち悪いんだよ!!!」

 無数の剣が月無の背中越しに綺麗な紋様を描き召喚される。それに合わせるように恵那も盾を召喚され、月無がそれを見越して剣を飛来させる。盾避けるように恵那を狙い、縫うように、それぞれが独立した動きをした。それに反応し、盾は動くがいくつかがすり抜けられてしまう。


 全てを盾で防げると思っていないのか右手に持つバックラー型の盾をうまく弾く、弾いた剣は地面に刺さる。盾には傷はついていないが、恵那の顔は完全に防いだのにも関わらず痛みを感じた表情をしていた。


 拳と拳で語り合うとか、拳を通して相手の気持ちがわかるといった具合にお互い同じ心創剣使いなのか通じているものでもあるのか、二人の顔は苦渋に満ちた顔だった。


 盾によって阻まれた剣はそこで消滅し、地面にささった剣も粒子となって消滅した。しかし恵那の盾だけはそのまま残っていた。

「そっくり返すよ!!!」

 守っていた盾が一斉に月無の方に向き、盾の真ん中から花が咲くように開いた。開ききった瞬間、不可視の衝撃が走った。月無はそれを予見したのか、その場から大きく後退していた。


 月無が居た場所は無数の穴が空いていた。


 舌打ちしながら再度、月無は双剣を構え直し、大きく深呼吸をしていた。恵那の召喚した盾も消え、彼もまた大きく深呼吸をしていた。

 月無の構えた双剣の刃がブレはじめ、分身されていき柄がない刃が月無の周りに浮遊する。恵那もそれを見て様々な形をした5種類の盾が同じように召喚させ浮遊させていた。両肩に浮遊するカイトシールド、背中に二対の羽のような複数の板が折り重なったようなタワーシールド、そして恵那の真ん前に星と円を組み合わせた盾だった。


 月無はその盾の形状を見て、敵意をむき出しにし、形成していた刃を変化させた。恵那が出した盾よりも圧倒的に見劣りしており、刃の数こそはあったもののコピーでしかなった。

 私から見ても劣っていると感じさせるものだった。以前、恵那を倒した時の話を本人から聞いた時に実力差はあったと聞いた。でも今は同等になっているような雰囲気だった。そんなに経っていないのに、ここまで変わるものではない。

 あるとすれば魂に変調が来たしはじめ、その限界値が変わってきているということなのだろうか、そうだとしても恵那も同じようになるはずだ。


「僕は絶対に負けない!!!」

 月無が不調なのか攻めてこないのを悟ったのか恵那が距離を詰める。意思の強さが心創剣に直結してるのだとしたら、恵那を突き動かすのは生きたいという思い。


 ただ今を生きたいという思い。


 一方、月無にも生きたいという思いはあるだろう。しかし、恵那は目の前で何も出来ずに月無に敗れ、その後にブルーに敗れた。その出来事から絶対に何が起きても今度は負けられないという思いが彼にはあるんだと私は感じた。


「ふざけるんじゃねぇぇ!!!」

 呼応するかのように恵那に向かって月無が吠え、形成していた刃を恵那に向けて射出しする。射出された先から、刃が更に分身し恵那を襲っていくが恵那も背中に展開していたタワーシールドが変形し、恵那を包み込むような形で広がった。複数の羽が重なりが広がっていき、月無から射出された刃は全て弾き返されてしまった。


「なんなんだよ!てめぇは!てめぇはよ!!!」

 弾き返された事で月無がこんなはずじゃないという思いが言葉に出てしまっていた。しかし、射出は止めず、絶えず分身の刃を流し続けていた。

 縮まっていく距離の中で月無は双剣を一つにし、大きく背中を見せるように身体をくねらせた。剣を後ろに回し、それが相手から正面で見えるほど身体を拗じらせていた。


 戦闘中に隙だらけなポーズだと私は思った。だが、月無中心に無数の刃が召喚されている中で隙があってもその行為に意味がある事なんだろうと私には感じた。恵那もそれを感じたのか、走っていた足を止め、耐衝撃姿勢に変えていた。


 月無の渾身の一撃がすでに放たれていた。


 出だしから大きな剣に変化するわけではなく、当たる瞬間に巨大な刃になり、その刃が一本だけではなく幾重にもくっついている刃だった。真上から振り下ろされる瞬間はどこを斬っているのか、空振りに見えたがその刃が瞬時に大きく変化した。

 恵那はそれをわかっていたのか振り下ろされる刃に合わせて盾を展開させていた。それこそ全ての盾という盾を、右手のバックラー型の盾でも防ごうとしていた。月無の振りから何が来るのか瞬時に理解したのかという具合だった。


 轟音といろんなコントラストの青白い粒子が舞い散り、あたりはぼんやりと彩り、洞窟内の自然光とは違った光が輝いていた。


 土煙が舞う中で青白い粒子の輝きが落ち着いた中、二人の姿がはっきりと見え始めると互いに負傷をしていた。恵那は守っていたバックラーが割れており右肩を負傷しており、月無は左肩を負傷していた。月無の近くに恵那が召喚していた星と円を組み合わせたような盾が転がっていた。あの一瞬の中で恵那は投げていたのだった。


 二人ともまた同じ所に負傷をしていた。ブルーの顔はそれが当たり前なのか、表情は変わらず、じっと見ていた。その瞳には二人の姿がうつってはいても、繰り返してきた事の一つなのかその先の事を待っているようにしか見えなかった。


 戦闘は互いに同じところを同じタイミングで負傷し、互いに削り合って気がついた時にはどのくらい時間が経っていたのかわからなかった。最初こそは大技のようなものがあったりしたが、今では体力が残っていないのか召喚してる盾や刃の数も少なくなっていた。


「頃合いだな」

 ブルーがボソリと言葉を紡ぐとクリスタルに入れられた眠兎がブルーの横に移動され、私も同じように移動させれた。私はユーリが何をやっているのか、まだ間に合わないのか気になっていた。いつになったら到着するのか、それとも間に合わないのか…間に合ったとしてもどうやって止めるつもりなのか…私にはわからなかった。


 しまった、聞いておけばよかったと思った。ユーリに連絡を取ろうとしても繋がらないというよりもうまくいかなかった。私はただ見ているだけだった、ここでも見ているだけだった。


 恵那と月無は接戦を繰り返し、互いにあと一撃入れて終わるのではないかという具合まで来ていた。すれすれで避けあい、油断や隙を見せた瞬間に終わるような緊張感があった。どちらも限界に来ていた、互いの召喚していたのはお互いの剣だけだった。


 二人の剣は交わり、弾き、互いが怯み体勢が崩れた。そして、互いの剣は吸い込まれるように心臓にめがけて突かれた。剣同士がぶつかり合うことなく、互いの心臓めがけて一直線に最後の力を込めて放たれていた。


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