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 世界が死にたがっている、という仮説だとしても、消滅という意味なのだろう。消滅…なんで消滅したいのかなんて事を考えても答えなんてわからない。だけど、考える事である程度、相手の心理を読み解き出方を予想できる。

 予想しても、それを裏切られる結果となったとしても結果を検証し、仮説を立てていくことで見えてくる事がある。プロファイリング技術は私には無い、けれども考えることは出来る。

 青…世界を人格化した存在らしいが、なぜゲームなんてものを通してこんなまどろっこしい事をしているんだ…?神様なら、そんなことをしなくても出来るんじゃないのか?いやそもそもすでにそれを試した後なのか?


 ユーリのおっさんは語る。青という存在について、知る限りのことを…

『青、名前があるのかわからない。タイムループ時のどんな結果になろうとも表情が変わった事がなかった。まるで当たり前のようにやっていたンだ、俺みたいに何回も何回も何回も繰り返してるように見えた』

(繰り返しているとして、何か雑過ぎない?)

『条件があり、それについて確信はある。雑過ぎるのも…意味があるンだよ。より確実性を上げるために奴が言っていた。宿命の鎖が編み合わさり、運命の輪を回す必要があると…』

 宿命の鎖が運命の輪を回す…まるでそれは決められているものが合わさり重なっていくことが重要な意味を指しているのか…

(その言葉、いつ聞いたの?)

『やつが目的を成就した時に聞いた…』

(それって世界が崩界した時?)

 この世界にいきとし生きるものたちにとってのバッドエンドの時に彼が聞いた言葉なのだろう。

『ああ、月無と恵那が死に…崩界がはじまった時に聞いた言葉だ』


 それから話すという雰囲気ではなく、自然と言葉が出るわけもなくお互い無言のまま、町へついた。プレーンヒルズより北にあるプレーンバレイについた、左右に大きな山があり、その大きな谷間が平地になっている。宿をとり、あらためてこれからの事を話し合う事になった。依頼はまだ途中の状態だが、恵那にはそれどころじゃない。

 町に入り、馬車を駐車場に停車し、宿場に向かい宿をとることにした。プレーンヒルズの町と比べると規模は小さいがそれでも宿場は賑わっており宿場の建物はプレーンヒルズよりも大きかった。

 露天が多くあり、賑わっていた。肉料理がメインなのか、肉の焼けた香りが食欲を誘っているのがわかる。食欲、睡眠欲、性欲がアーマーになってから無くなってはいるが周りの人たちの表情を見るとわかった。

 すれ違う冒険者たちを見ると次に何を食べるのかとかあそこの店が美味しかっただのそういう会話が聞こえてきた。そんな通りを歩き、それなりの宿屋を見つけ宿をとり、個室がとれる店でこれからの事を含めて話す事になった。


「一応、聞いておきたいンだがこれからどうするンだ?お前ら」

 ユーリのおっさんは彼らに聞いた。私はこの後の事を知らないのでどうするのかわからなかった。

『ミナさん、一応この後の事なンだが…RIO傭兵団にいる月無の姉に会いに行くことになる。恵那の姉でもある、前に会ったはずだ、まだリビングアーマーになってない時に』

 恵那に月無、本当の弟に会ってみろといっていた姉である那美がいるところだ。那美に会うことで月無のことや恵那と月無のことが進展するんだろう。私は二人のことを知っているが恵那はわかっていない状態だ。

(恵那自身が確証を得る為に会いに行くってこと?)

『ああ、俺の口からは説明しても意味がない。今までもダメだった、あいつらが那美さんから直接聞くことが何らかの条件になっている』


「護衛を続けていく、首都までの契約だからな」

 乃陰がもうそれについては三人で話し合ったことで護衛を終わらせてから月無を追うことにしたのだ。護衛が終わった後にRIO傭兵団にいる那美に会いに行き襲われたことを含めて知ってることを教えてもらう事になったが…恵那たちは知らなすぎる。

 私はユーリのおっさんに聞いたが、彼らは知らないままだ。那美が魂を見れるとしても、青の目的までわかることはないのではないかと思う。

「そのことなンだが、お前らの抱えてる問題をそのままにして俺の依頼を続けるのは難しいンじゃねえかと思ってる」

 腕を組みながらユーリのおっさんは言う。思惑がわかっている分、私は彼が誘導したいのがわかる。しかし、それを決めるのは恵那たちであって私じゃないと思った。


「しかし、それでは…」

 恵那が自分たちの非がユーリのおっさんに迷惑をかけていると感じている。

「うーむ、見たところ…問題があるのは恵那さんと眠兎さんと思うンだが…乃陰さんだけ護衛をしてくれれば問題はないと思うンだが、お前さん方はひとつのパーティだしな…」

 乃陰だけを…ユーリのおっさんは何を考えているんだ?

「それもありか…」

「えっ、乃陰?」

 恵那が驚く、言うまでもなく私も驚いた。いつも三人、いや眠兎が入る前は二人で旅をしていたのだから乃陰が一旦抜けるというのは驚いたのだ。

「恵那、お前那美さんに会いに行け…そして月無のことを聞いた方がいい。何も進展しないかもしれないし、もしかしたらそこに月無がいるかもしれないが…眠兎がいれば大丈夫だろう」

 乃陰は頼んでいた飲み物を飲み干すと新しい注文を個室のドアをあけて店員に頼んでいた。

「で、でもさすがにあいつら相手を―」

「アルファとかいう女なら、大丈夫だと思う。オメガは襲ってくるかもしれんが…奴らのあのアルファとオメガの目的は別にあるような感じだった。少なくても恵那、お前を襲っては来ないと思う」

 それって眠兎は襲われるってことじゃ…

「ちょっと待ってよ、じゃあ私は襲われるってこと?」

「アルファの対処方法は教えれば、立ち回れると思うぞ…それにオメガの戦い方を聞いた限りじゃあいつら連携が取りにくい武器だ。一対多数か一対一だろうな、連携をとるにも武器が強力過ぎるから大丈夫だ」

 乃陰には戦闘センスがある、アルファ相手に服がボロボロだったが装備差だったと本人は言っていた。その点、眠兎のアーマー…つまり私は高性能過ぎるため、あとは戦闘経験がものを言うだろう。しかし、乃陰や恵那と眠兎は稽古をつけてもらっているので存外いけるんじゃないかと思ってる。

「あのオメガとかいう糞カスは次会った時は絶対に倒す」

 眠兎は拳を握り、怒気をはらんだ目をしていた。よほどストレスがかかる戦闘だったのだと思う。


「じゃあ、決まりだな」

 乃陰がユーリのおっさんと一緒に首都まで向かい、恵那と眠兎はRIO傭兵団がいるところへ向かう事になった。

『ミナさん、一応離れていても連絡は取り合えるから、そっちの状況やこっちの状況を伝える。何かあったら連絡取れるし、大丈夫だ』

(ええ、わかったわ)


 次の日、私達はパーティを解散し、恵那と眠兎と一緒にRIO傭兵団がいる場所へ向かった。乃陰はそのままユーリのおっさんの護衛をし、首都へ向かい。こっちの用事が終わったら北に向かう事になった。

 恵那は自分の力が及ばずに月無に手も足も出なかったことを引きずっていた。私は彼が造られた存在だと知っている、もし…それを知った時に彼はどこへ向かうのだろう。私も自分がテスターとして楽しんでいた頃、ロンチされてからリビングアーマーとして楽しんでいた頃とは違う。

 ユーリのおっさんが言っていた、決断する時が来るって…私はただ楽しんでいたい。楽しんでいくには余計なことが増えて、知りたくもないことを知ってしまっていってる。それに向き合えってことなんだろうな…


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