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 一日、いや一泊程度したプレーンヒルズを離れ北に向かっている。馬に似たような動物が荷車を引いているのだけど、なんていう動物なのかはよくわかっていない。このソーディアーにはいろいろ乗り物があるが、これは馬車に該当するのだろう。


パカラッパカラッと軽快に音を出しながら進んでいる。歩くよりもだいぶ早く、道は最低限の舗装しかされていないが荷車はそんなに揺れなかった。荷車といっても屋根付きなので結構いいものだなと感じた。


『今朝の話の続きをしようか…全部を信じてくれとは言わないが聞いて欲しい』

 ユーリのおっさんは手綱を握りながら念話というのか武具同士で会話ができる機能を使って私と密談。


(わかった、その前に…ユーリさんは異世界にきて何年経つの?あと目的は何?)

 何年経つのか、このリージョンレイテッドシリーズの第一作目からユーリのおっさんが異世界にいる時間を比べれば、自分が仮に現実に戻れたとしたらどのくらい時間が変動しているのかわかるのではないかと考えたからだ。

 目的については、「現実に戻りたい」とかそういったことが見えていないので知っておかないと正直、私に接触してきたのはあの白髪の三人との繋がりがあり、罠にはめようとしているのかもしれないと考えついたからだ。

 もし、自分が死んで気がついたら現実に戻っているというのはこれが「ゲーム」だとありえると思う。けれども、「異世界」出会った場合には私という存在は死んでしまう事になると思っている。そして、今のところ私はこの世界をどっちなのか判断出来ないし、どちらでもいいかなと思っている。


『この世界に来て何年か…それと目的か…』

(話しにくい事なの?)

 ちょっと言いづらそうな口調だと感じた。何か隠しているのがバレバレで私は少し苛立っていた。


『落ち着いて聞いて欲しいが…途中から数えるのを辞めて通算すると何百年になるンだよ』

(はぁ?!ってことは長寿族か何かなの?)

 じゃあ、私もこのアーマーを手入れし続けたらそのくらい簡単に長生きするのではないだろうかと思った。

『タイムループを繰り返しているンだよ、一定の条件に陥るとな。あと目的は…このループ現象を脱することだ』

(ねぇ…ちょっとまって…もしかしてこのやりとりも…)

『ああ、俺はもう経験済みだ。そして、これから起きる事も含めて全部わかってる』


 なにそれ…


『俺が言っている事を信用できない、意味がわからない。何度も言われているから先に伝えたいと思う。ミナ、実年齢は18歳女性、住まいは日本国の東京都で友人にテスター登録された。今までない感情と経験に惹かれて製品版を購入してリビングアーマーになってしまった』


『まあ、まだ信用しきれてないだろう。昔、彼氏がいたが今は別れていて、原因は―』


(だァァァァ!!!!やめぇぇぇいいいい!!!!それ以上は言わないでいい!!!信じるから!!!!辞めてェェェ!!!!)

 おい私、何そんな事をこいつに言ってるんだ…


『安心しろ、誰にも言うつもりはない』

(わかった、信じる…それで?)


『俺と出会ってから、ミナさんが真実を言おうが傍観しようが途中の過程は違えど、結果は一緒だったンだ。この世界は崩界する、壊れるではなく世界の「界」で崩界だ…それを止めなきゃいけない。そして止める事が俺のループ現象を脱する事が出来るンだよ』


『(まるで勇者かなにかだね)』


(…なんか私が言おうとしていることがわかってるからって)

『ハハッ、まあちょっとした遊びだ』

 ユーリのおっさんは何回同じことを繰り返してきたのだろうか、私は―


『ああ、特段気を使わないで構わない。あとな、俺はおっさんじゃねぇ…25歳だ。何回も繰り返しているンのもあって老けて見えるだけだ』


 ユーリの…なんて呼べばいいんだろう


『俺だけいろいろわかってるのもアレだし、俺について話そう…話し終わる頃には休憩ポイントに着くだろう。大丈夫だ、それまでは何も起きない』


 私はユーリのおっさんについて、そしてこれからの事を聞いた。「青の使徒」とはなにかについても聞いた。


『俺の出身は、この世界とは違う…機界という世界だ。常に化け物どもと戦う以外は探索して生きていける場所を広げていくくらいしかない世界だ』

(その頃からタイムループを?)


『いや、このソーディアーに来てからずっとループしている。こんなことは今まで無かった、今まで死ななかっただけでループが可能だったのかもしれないと思った。確証は得られないがそれを確かめるために旅をしているンだ』


『何かこの世界に縛られているンだ。それから自由になりたいンんだよ、それが俺の目的だ。いい加減、終わりにしたいンだ。このループ現象をな…』

(そのループって―)


『俺が死亡する、特定の人物が死亡する、ある一定の期間を過ぎる、異世界へ渡る。大まかにこの4つに抵触するとループする』

(まるであなたの意思を感じさせない条件ね)


『だとしてもやるしかないンだ。お前はどうするのか決断を迫られる時が来る、今のうちに決めておいた方がいい』

(それってどういうこと?)


『ループしてきた中で、芯がないと感じるンだ。どうしたいのか、どうなりたいのか、それがない。話ではリビングアーマーになってしまった元凶をどうにかしたいやら歯切れ悪くは聞いたが、それ以上に答えはわからなかった』

 私の気持ちはどこにあるのか、この三人と一緒に旅をしていて楽しいとそれだけを感じ、安穏としていたのかもしれない。


『さて、次に青の使徒についてだが、青というのは神だ』

(はぁ、神ですか)


『そして、その使徒というのはテスターの事を指す』

(えっと…)


『お前の世界で言うとゲーム運営会社から派遣された特別なテスターということになる。ピンと来ないかもしれないが以前、何度か死んでやり直しさせられた時があったはずだ。黄金の民の遺跡に向かう途中で、何度も何度も殺されたはずだ』

(あ、あれがなんだっていうの?)


『ミナさんにタイムループはできない、あれは青が感情を植えつけたかったから行ったことだと推測している。それがリビングアーマーになってしまったわけでもあるし、眠兎が生まれたといっても過言ではない』


(ちょっと意味がわからなくなってきた)

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