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 プレイヤーが世界の敵に拉致されているという情報をギルドで聞き、もしかしたらそこで教育されたプレイヤーが良いように使われていることもありますと受付は教えてくれた。もしかして、盗賊行為をしている奴らもその影響を受けている人がいるのかなぁーと思ったりもした。一通り、受付から最近の情報を聞き本題に入る事になった。


「行商の護衛とかって今ありますか?」

「ギルドからの依頼で護衛系はないですね…モンスターの討伐でさえ珍しく少なくなっています」

「どうする乃陰?これだと…また歩きだな」

「それは面倒だな…」

「お力になれず申し訳ございません」

「いや、ありがとう。あと情報もありがとう」


 私達はギルドをあとにし、行商エリアに向かうことにした。そこで行商人に話を聞いたりし、相乗りが可能か聞くのだ。


 私はその間にゲーム状況を整理することにした。プレイヤーがゲームを始める際にスタート地点を大まかに3つのエリアを選べる。そのエリアがファイフリーズ連合国エリア、コレルコフ国エリア、そして、東の壁エリアだ。

 冒険者として王道を楽しみたいエリアがファイフリーズ連合国だったと思う…コレルコフ国の南は戦闘をメインとした戦場を楽しみたい向けだったはず…東の壁エリアはダークサイドでかなり難易度的にハードなのは覚えている。しかし、東か…ここから北東付近で白髪三人がいたのを思い出した。


(ねぇねぇ、眠兎、白髪の三人組の情報ってギルドで聞いてなかったよね?)

『そういえばそうね…』

「恵那、白髪の三人組の事なんだけどさ…」

 眠兎は恵那に聞くと、乃陰が待ってましたと言わんがばかりにニヤニヤして振り向いてきた。

「それならすでに収集済みだ、あとで宿屋で話そう」

「お前、いつの間に・・・ってあの喧嘩の時か」

「一石二鳥だぜ」

 得意げになっている乃陰に対して、眠兎はちょっとイラッとしていたのがわかった。眠兎は調子に乗ってる乃陰があまり好きではない。稽古でしこたまやられてるのも原因だが、眠兎は恵那と話したいからだ。


 商業エリアまで行くとかなり賑わっていた。

「い、以前来た時よりも大分…店が増えたね」

「あ、ああ…ほんの二、三ヶ月前からこんなに発展するもんなんだな…」

 遺跡から目覚めた記憶喪失者たちが冒険者を生業にしたりしたことでいろんな経済効果を及ぼしているということか…


 私は意識を外部から内部に向け、情報収集モードに移行した。

(眠兎、耳を伸ばして情報収集モードにしたからうさみみをぶつけないように気をつけてね)

 頭部の突起状の出っ張りがうさみみのようにみゅーんと伸び、情報収集モードに変わる。特に周りの人たちはそれに気づかない。正確にはこのアーマーが特殊だと気づかないようにカモフラージュされているからだ。

 先の盗賊一味との戦闘後に武具から特性を吸い出した中で他者から見た時に違和感を感じさせないカモフラージュ機能があり、それを眠兎に使っている。傍目から見ると眠兎はフルアーマーだが、外装そのものに対してデザインなど周りが気にならないように意識誘導されているのだ。よほど感覚が研ぎ澄まされていないとわからない状態だ。


 情報収集モードになり、音を文字化し、その文字化したものが自動で整理されていく。リスト化されていき、単語がずらりと並んでいった。

 単語に紐付いて詳しい情報が表示され、いつどこでその情報を得たのかタイムスタンプと大まかな場所も記されていった。


 はぁ…このモードにするとなっんか疲れる。


 愚痴愚痴言いながら、情報を精査していき、この町のうわさ話を調査して白髪三人の事について調べたが、特に出てこなかった。


 ふぅ~む、次は行商について調べてみるか…


 私は行商に関する単語を見て、それらしい情報を調べたがこれも外れた。


 次にニードルガンについて調べることにした。あの手の武具がいったいどのくらいの人数に行き渡るものなのか気になったからだ。エネルギーとなる電力そのものを生みだす事が出来る能力を持っているプレイヤーだった。

 ただ、それは手から出すとか出来ず、剣や防具とか何かを媒介にするエンチャント型の能力だった。それをニードルガンという非効率とされている武具に能力を組合せていたのだから不思議だった。

 ああいう能力はこのゲームでは自分で発見しないといけない。私、というか眠兎の特性は「召喚」だ。だけどその方法は未だにわからないので召喚のしようがない。今の私自身に特性があるかはわからないがあったとしたら「現実の記憶」なんじゃないかなと思ったが、これは明らかにバグだとわかってる。


 ニードルガンのことを調べてみると…どうやら世界の敵が絡んでいたことがわかった。出元が東から渡ってきてて、どうやら敵と交戦中に奪ってそれをこっち側に卸してるらしい。


 つまりあのニードルガンはもともとあいつらが作ったってことか…近いうちに更に攻めてくるんじゃないか?そうなってくると戦争がより活発化していくのは嫌だな…


『ねえ、ミナ…白髪の人がいるんだけど、三人組の一人?』

 ミナに呼びかけられて、私は情報収集モードから通常状態に移行し、確認する。すると、私が見たやつらとは違うことがわかった。

(いや別人だよ、あんなに髪が長くないよ。それにおっさんじゃなかった)

 ダボダボの着流しをダラりと来ていて、袴を履いている。和風…な何かだなと感じ、以前会った情報屋に似ている格好だった。このへんでは見ない格好だなという印象だ。


 気がついたら、あたりは荷車を駐車する区域にいた。


「眠兎、奴か?」

「いや人違いだ」


「ん?なンだお前さんたちは…私に用か?見た限り、お前ら…冒険者だな」


「ああ、冒険者だ。ちょっと知ってる人と似ているもので、どうやら人違いだった、不快にさせてしまったらすまない」

「いやいいさ、よくあることだ…ところで冒険者さんたち、今この町についたばかりなんだが…護衛の任務を請け負ってくれないか?見たところ、腕も立つだろう?」


「おっさん、あんた何者だ?護衛なんて必要ないだろ?なめてんのか?」

 乃陰が前に一歩出て、警戒態勢から戦闘態勢に入った。恵那も違和感を感じたのか、腰の剣に手を当てて対応できるようにしている。対して眠兎は、ぼーっとしていた。おい!起きろ!町中だからって油断してるぅぅう


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