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 盗賊一味との戦闘に時間をとられたものの、夕方には町に着くことが出来た。町にはギルドがあり、それなりに繁盛しているように見えた。町の中央には教会があり、東西南北とそれぞれに十字に大通りが伸びていた。町をぐるっと5メートルくらいの壁が取り囲まれている。

 プレーンヒルズという名の町だ。主に農業開拓をメインにしており、丘を開拓し作物系をメインに育てており、モンスター避けの番犬が多数いて、農地内に入ろうとすると威嚇してくる。そのまま無視して入ると攻撃してくるため、看板に「これより私有地のため~」と注意書きが書かれている。農地は壁の外側にあるが、番犬は常に放し飼いにされている。

 なんかちゃんとした町に来るの久しぶりかも・・・と感じた。今まで名前さえ知らない町ばかりだった。そう考えると今まで転々としていた町は小さいから名前…いや単純に特徴なかったから言われても覚えてなかったのかもしれない。


「以前来た時は収穫時期だったから収穫祭があって、どんちゃん騒ぎだったな」

「どうせ女の子ひっ捕まえてヤってただけだろ」

 乃陰は娼婦を買う事が多い。そのため、娼婦館がなかったりするとそれっぽい町の娘に声をかけたりしているのを知っている。

「お、眠兎よくわかったな。当たり前だろ」

「チッ」

 眠兎は自分で言っておいて不機嫌になっていた。デリカシー無いと思ったのだろう。まあ、私もクズだなとしか思わなかった。

「はぁ、さっさと宿とってギルドに行くよ」

「へいへい」


 眠兎と私はこの町に来るのは初めてだ。建物はレンガで作られており、道もレンガで舗装されている。ここはかなりしっかりしたところなんだなと感じた、特に宿をとることになった所はかなり綺麗だった。荷物を一時宿屋に預け、部屋も借りることができた。


「それにしても人が多いな…」

 恵那がボソリと言うと

「確かに、収穫祭でもないのに人が多い」


 世界の縮図で見た時の印象と実際に見聞きするのとではやはり違うなと私は感じた。

「こんなものじゃないのか?」

 眠兎は恵那と乃陰がいったことに疑問を感じつつも、慣れていた。

「いや、武装してる人たちが多い…ギルドに行けば何かわかるか」

 眠兎は周りが冒険者…自分と同じ記憶喪失者たちだとわかっていた。プレイヤーかどうか判別できる特性を吸い出したからだ。彼らがその特性を持っていたのに私のことをプレイヤーだと事前にわからなかったのは謎だったけれど…


 ギルドに着くと、安定した喧騒感があり、まさに人が集まる場所だった。私達が入ると中は一瞬鎮まり、視線が眠兎に向かった。正確には私だと思うけど

『な、何この視線…』

(大方、フルアーマーの重装備の人が珍しいんだと思うよ。こういう装備って都会じゃないと見ないからじゃないかな)

『うう…恥ずかしい』

(フルフェイスのヘルメットタイプでよかったね)


 乃陰が舌打ちをし、ため息をつく

 まあ、言うまでもなくジロジロ見てる奴に喧嘩売ってるわけです。路地裏で勝手にやってろ


「おい、にいちゃん…お前見ない顔だな?イカスゴーグルつけてんじゃんよぉ?俺が代わりに使ってやるからよこしな」

 イカスゴーグルとか笑う、笑うしかない!お茶飲んでいたら拭いてるレベルだ。あれはダサいだろう…


「ここじゃあれだからよ、表出て路地でやろうぜ」

 乃陰は4,5人連れてギルドから出ていった。このパーティの中で乃陰は無手、武器を持っていない。そのため、一番下の荷物持ちと思われるため、先手でそのパーティの中でどれだけ強いかと示す。

 そうすることで毎回ギルドに来る時に喧嘩やらイチャモンをふっかけられなくて済むというわけだ。こんな事が出来るのも乃陰に実力があるからなのだが…


「さ、乃陰のいつものが終わる前に受付の人に話を聞こう」

「ああ、そうだな」


 ギルドの中はランクごとの掲示板、憩いの場風の待合ベンチとテーブルやらがたくさんある。ここで依頼をこなすためにパーティの募集をかけたり情報を共有したりする。2階は食堂になっており、騒ぎ声が一階にも聞こえてきていた。

 総合受付に着くと、札を渡された。

「ちょっと混んでる感じだね」

 恵那に渡された札には3と書かれていた。3人待ちということなのだろう…


 札を渡されどこか席に座ろうと、空いてる席を探していると乃陰が戻ってきた。

「あれ、まだ終わってないのか?」

 乃陰がホクホク顔で戻ってきていて、さっきの成り行きを知ってる周りはビビっていた。なんださっきの奴らはここでは強い奴らだったのか?

「やけに早かったね、おつかれ」

「いやぁ、なかなか手応えあって楽しかったよ。お金まで貰った」

 カツアゲである。

「あ、そう」

 恵那は乃陰のいつものことなのであまり聞いてない。


 こいつらいつもこんなことをしてるから二人だけだったんじゃないだろうかと思ったりした。まあ、強いからっていうのもあると思うけれど…


「3番の方~」

 受付の人から声がかけられ、私達は受付のところへ向かう。しっかりとした営業スマイルだったが、さっきのやりとりを見ていて若干引き顔をしていたが、瞬時に営業スマイルに戻った。


「今日はどういったご用件でしょうか?」


 恵那はここまで来る道中の事をまず話す、そしてその情報について何か詳しい事を知らないか聞いた。

「ここ最近、遺跡から記憶喪失の特別な力や武具を持った人たちが出てきているのはご存知かと思われます。その方々が日に日に増えていて、需要が追いついてないのが現状です。彼らも食べていかないといけないので盗賊行為をする人も増えていると見ています」

 なるほど…そういうことだったのか…

「ここはまだ少ない方なのですが、このファイフリーズ連合国の首都、南のコフルレフ国ではクランと呼ばれるパーティよりも大きい集団が多く出来ており、クラン同士の縄張り争いやいざこざが目立ってきています。」


 ファイフリーズ連合国…コフルレフ国…初めて聞くなーあはは…あるぇ


 私はアーマーの機能で聞いた話や見た書物などを自動に辞書として形成していく機能を開き、二つの名前を検索した。

 ファイフリーズ連合国は集合国家で5つの王族が統治し、どの王が実権を持つかは投票制になっている国と書かれていた。次にコフルレフ国、王族が統治しその下に貴族うんたらかんたら…よくある国だというのがわかった。コフルレフ国の方が領土的に広く、資源も豊富だが世界の敵にやたら襲撃され、現在進行形で領土を侵略されている。


 しかし、クランか…人は寄り添い、協力し合って行くしなぁ…


「そして問題なのが東側になります」

 あ、途中の話しを聞いてなかった…まあ、後でアーマーの機能にある記録を見ればわかるからいっか…


「世界の敵が活発化しており、記憶喪失者の一部が彼らに拉致されています」


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