無名聖者の視線
お前、珈琲ショップの店員だったよなって聞いてきた声は、まるで湖の波みたいだった。急に現れて、広がって、心にすぅっと吸い込まれていく感じ。綺麗な声だったよ。男の声が綺麗だなんて、初めて思った。
でも。それよりも、もっと綺麗だったのは。
――――仕方ねぇやつ。じゃあさ、俺んち来いよ。家賃の三分の一でいいからさ。
その、目。何か思いついた時に、一瞬光るんだ。楽しげな瞳。今まで見たことのない、優しさが宿ってた。
すごい、と思ったよ。見惚れたと言って過言じゃないね。
そう、にーさんが女の子だったらなって、オレ、いっつも思う。でも、にーさんが女の子だったら、きっと、オレを拾ってくれたりしなかったんだろうなぁ……。にーさんじゃなきゃ、オレから話しかけることもなかっただろうしさ。
だから、良いんだ。
にーさんのままで良かったんだ。
にーさんに会えなかったらオレ、とっくにこの世にいないしね。
にーさんの目は、仏さんみたいなんだよ。
――――まっさかさまに落ちるだけだったオレを、視線だけで引き上げちゃったんだ。
ー無名聖者の視線ー
「……どうしたん、にーさん」
時刻にして深夜1時40分。
なかなか寝付けないオレがいつも通りに小説を読みながら、ごろん、と寝返りを打った途端、目の前に不機嫌さ爆発のにーさんの顔が現れた。にーさん、夜中に帰ってきたと思ったら、酒臭い体のまんまベッドに直行したんだよね。ろくに確認もせずにダイブするなんて、オレを踏み潰す気かっての。――――勝手にベッド使ってたのオレだけど。
まぁ、その時から既ににーさんは不機嫌だったわけだけど、さっきのメールで、何かがぷっつんしたみたいだ。おかげで、律儀ににーさんの苛立ちをマックスにさせるという仕事までまっとうしたケータイは、哀れベッド下のクッション目掛けて130km/hくらいで投げつけられて、跳ねて床に落ちた。5分前くらいに甲高い音を立てたから、電地も切れたんだろーなぁ。
聞いたところで原因なんて一つしかない。例の浮気症なカノジョのせいだ。分かってる。にーさんの悩みなんて、カノジョ関係以外にはオレに読ませる本と生活費しかない。それ以外の悩みはきっと顔に出ない程度の深刻度なんだ。
今日は火曜日だからにーさんは、いつもなら彼女を連れてバイクで朝までどこかへ行っているはずだった。火曜日と、土・日のどちらかは絶対にカノジョとデート。これはカレンダーで記されないほどの定例行事で、毎回、夜9時出発、翌日の6時から8時帰りって決まってる。にーさんとカノジョのバイトと学校の都合上、そうなってるんだ。
それなのに、にーさんは水曜日になった途端に帰ってきた。絶対喧嘩だ。ブチ切れだ。この二人の喧嘩は、にーさんは大抵悪くない。
今までの統計上、80%がカノジョの浮気・デート中の男ウォッチング、10%がカノジョの失言、残り8%が性格上のすれ違いで、2%が全面的ににーさんの失態だ。
にーさんは意外に嫉妬深いから、カノジョとの喧嘩はホントに多い。1ヶ月に一回は確実だ。なのに、よく続くよなぁと思うけど、小学生からの腐れ縁もあって仲良しに違いはないんだってさ。
幼なじみのキズナってやつ?オレは絶対そーゆーのは信じないけどね。早く別れて次探せばいいのにな。
こんなこと言ったら即アッパー確実。だから言わないけど。
――――さて、にーさんだ。問題のにーさん。にーさんはオレの横で、ベラベラしゃべっている。呂律回ってないから、適当な相槌を打ってるけど、何言ってるかわかりゃしない。とりあえずカノジョの名前を連呼しているので喧嘩で間違いなさそうだけど。まったく。にーさんってホントに酒とカノジョに弱いなぁ……。
なんだかまくしたててるけど、にーさんは明日もまたバイトや学校があるし、もう寝て貰わないと。この調子ならまだ一時間はヒートして喋り続けるだろうけど――――。
「はいはい、にーさん。わかったから。オレがカノジョさんにちゃーんと言って聞かせたる。な、安心して寝ぇや、明日にはなんもなかったことになっとる」
適当にそう言って、にーさんに布団を口元まで引き上げてかける。にーさんは何かまだ喋ろうとしてたけど、布団の温かみが体から眠気を汲み上げてきたみたいで、何かぶつぶつ呟きながら目を閉じて、その内にすぅすぅ寝息を立て始めた。
にーさんは、ちょっとしたことであっさり眠ってしまえる人なんだ。その単純さが時々羨ましいし時々むかつくけど、たまにすごーく愛おしいような気がする。何しろにーさんの単純さは、珈琲がうまいって理由でオレを家に居候させてくれるレベル。なんかもう究極。
ちょっとため息なんかついてみて、オレはにーさんのケータイを拾いあげた。充電機と繋げて電源を入れてみると、あっさり起動する。壊れてはないっぽい。ちょっと待つと電話とメールが3回ずつあったことが表示される。着信履歴には、にーさんのカノジョの名前がフルネームで三つ並んでいた。相当お怒りだ。女こえー……。
隣では平和なにーさんの寝息。
もう一度ため息が出た。ベッドからこっそり抜けだして、充電機とケータイを片手に玄関に向かった。
ちなみにオレのケータイは、にーさんに拾われた時に、オレの代わりにビルの屋上から飛びおりてもらった。
だから新しい生活が始まって以来、ケータイをいじるのは初めてだ。新しいケータイなんて欲しくなかったし、買わなかった。にーさんは不便だから買ってやるって言うけど。使わないし。オレの知り合いは全員オレが死んだと思ってるはずだから、用事なんてないわけだしね。
早速、玄関に座りこんで、コンセントに充電機のプラグを差し込むと、オレは、着信履歴からカノジョの番号を呼び出した。
コール音が耳を打つ。
久しぶりに聞く音だ。
五回目で、低い響きの女の声がした。
『……もしもし』
オレとにーさんの生活費と平和の為の、ゴングが頭の中で鳴った。
「お前なんつーとこで寝てんだ、起きろ!」
結論から言うと、翌日のにーさんは、たっぷりの睡眠時間――にーさんは大体が3時間睡眠くらいだから、6時間は充分すぎる睡眠時間なんだ――にご機嫌で、オレは寝不足でぐったりで、にーさんのケータイは充電が完了しなかった。
にーさんに早々に起こされて、オレは玄関から部屋に戻った。急かされるように珈琲を淹れて、小さなガラステーブルに置く。大きな欠伸が出た。勢いをつけてソファに転がると、とろんとした眠気に瞼が重くなってきた。
にーさんは雑誌を読みながら珈琲が冷めるのを待っていたけど、気になったのかなんなのか、オレを振り返って不思議そうな顔をした。
「昨日、どっか出かけたのか?」
「まぁ……野暮用ってやつやね……」
「ふぅん……珍しいな。女?」
「女って言えば女やけど……」
「なんだそれ。オカマか」
……あんたのカノジョだよなんて言ったら慌てるだろうな……。オカマか、ってにーさん、極端すぎだし。
なんだか釈然としない顔のにーさんが首を捻り捻り雑誌に目を向け、とりあえずは会話が区切られた。
時計を見ると、ちょうど8時半だった。
思いがけず深い溜め息が零れだしそうになり、慌てて口を抑えて欠伸をしたように下手な芝居をする。にーさんは特に気付かなかったのか、ちらっと目を動かしただけで何も言わなかったけど、でも、にーさんの目が少し嬉しそうに光ってたのはオレにはしっかり分かった。一口ずつ味わうように珈琲を飲んでいるのだ。にーさんの嬉しそうな目を見ると、オレは心から幸せだと思える。眠気も鬱々とした気分も、にーさんの目に救われる。
例え3時間前、にーさんのカノジョに呼び出しをくらって、会うなりいきなりぶん殴られたとしても!!
それですっきりしたらしくて、カノジョさんはそれ以上ヒートアップしないでくれたけど、オレはもうあの瞬間泣きそうだった。もう切実にオレは思ったんだ。
助けて、にーさん。
「あのねぇ、あんたが今回の喧嘩の原因なんだからね!分かってる?そこんとこ!」
そんな切り出しされても知らないって……とか思ったけど、オレは黙って彼女の話を聞いていた。そう、本当に今回の喧嘩はオレが原因だったらしいのだ。
聞いてみると、彼女が本屋に行きたいと言い出し、最初二人は仲良くオレの為に――なんでデート中にオレのことをするんだろう、二人して――本を選んでいたらしい。そこでカノジョが選んだのが
「まやかしのアンジェリ」
という、今、巷で大人気だという"魔法使いと偽ってある学園に入学したアンジェリ少年の学園サイコストーリー"。
ところが、にーさんはそれを見るなり、
ああ、それなら先々週に英語の原本とセットで買ってやったからいいよ。
と、のたもうたらしい。
――――カノジョが、英語は大の苦手だけどマルチな翻訳家を目指している、ということを忘れて。
カノジョは激怒した。
もういっそメロスになればいい、とオレはその話を聞きながら思った。
なんでそんなことで怒るんだ。なんでそんなことで喧嘩になるんだ。オレが英語得意じゃダメですか。オレが帰国子女ってダメなんですか。オレ、以前は某英語塾で講師とかしてたのに……!
カノジョは……もういいや、ねーさんは、弾丸トークをぶっ放し、オレに反論を一切許さなかった。酷すぎる。オレの唯一の得意分野は散々罵られた挙げ句、あんたの頭の知識を私に全部寄越しなさいこのヒモ男!という無茶で腹立たしい要求と胸ぐらを掴まれて思いきりシェイクされるというオマケをつけて結論をつけられた。曰わく、"あんたが持ってても無駄!"
酷すぎる――――。
なんでこのねーさんが、あのにーさんのカノジョ?!
世の中おかしい!
にーさん、絶対騙されてるよ!なんでこれと付き合おうなんて思ったの!?
この叫びを、今日絶対に浴びせてやろうと思って、1時間半前に帰ってきたわけだけど……にーさん、今すごく嬉しそうで、ご機嫌だし、朝一で届いたのだろうねーさんからのメールでイライラ気分も吹っ飛んだみたいで、目がすごく平和な光をたたえちゃってるから、もうどうでもいいや。
……いやぁ、さすがは、にーさんだ。にーさんの目が、オレの気分も左右してるんだ。きっとにーさんには分からないだろうけどね。
本当にあのねーさんにはもったいない。絶対に他にいい女がいるはずなのに……。
――――そうか。
うん、決めた。
オレが新しい女を見繕ってにーさんに紹介してやろう。うん、にーさんだって、他にもいい女がいるって分かってくれれば、あのねーさんの腐れ縁を断ち切る決心をしてくれるよ!例え今、そのつもりがにーさんに無くても、いつかは……!
「何ニヤニヤしてんだ?」
「わっ……」
「?なんだよ?」
いつの間にか、にーさんは学校に行く準備を済ませて、オレの前に屈み込んでいた。今日は確か、4限までだったはずだけど、カバンにはあんまりモノが詰まっていないみたいだ。きっとバイトに直で行くつもりなんだろう。学校近くのスポーツ用品店での接客のバイトだ。
一度覗きに行ったことがあるけど、あそこのご主人の娘さん――――確か、ゆうこさん?はなかなか可愛い顔してたっけ。オレに
「マッスル・マイケル(定価1300円)」
なる不可思議なトレーニング本をくれるという謎のサービス精神を発揮した人だ。因みに彼女は実際腹筋が割れたらしいけど――――。
「……ゆうこさんは元気?」
「は?ゆうこ?……ああ、あの子か……あの人ならアメリカだかドイツだかに留学したぞ。マイケルに会いに行くの!って置き手紙残して。ご主人が言ってた」
「……あ……そ、そうなん……」
なんて娘だよ、ゆうこさん。ご主人にケーキでも持っていって慰めてあげたい……。面倒だから行かないけど――――。
「なんだ、珍しいな、お前が人に興味持つなんて。ちょっとは人肌恋しくなったってか?」
にーさん、残念ながらそれは相当に勘違いです。
オレのふくれたツラに気付いたみたいで、にーさんはちょっと肩をすくめ、腕時計をちらっと見て立ち上がった。もう出ないと、いかな学校に10分で着くと言っても危ない時間だ。
にーさんはちょっと汚れてきた革のブーツをはいて、ずるずる這って玄関まで出てきたオレを見下ろし、
「ま、お前は素性も名前もホントかウソか分かんねーし、胡散臭さ爆発してんだから。せめて興味あるなら積極的に動けよ?」
と言って、鍵をオレに渡した。どうしろと?だから、誤解だってにーさん……。
そんな心の声は届かず、にーさんはただ情けない顔になったオレに向かって、
「ま、頑張れ男の子!」
そう言って笑って出て行った。
くそぅ、なんて楽しそうな目だ!反則だよ、にーさん!反論しようにも出来ないじゃん!
……ああ、誤解なんだよ、にーさん……。
どうしよう、にーさんが帰ってきて早々に、まぁエアメールでも送れよ男の子!とか言いながら便箋と封筒を出してきたら――――。
マイケルに会いに外国へ飛んだ人にオレは一体何を書けば良いんだろう……。
ってか、にーさん、オレもう男の子とか言える歳?童顔だからってなめるなよ、言ってないけど実はにーさんより年上だからな!
ずるずるとまた這って部屋に戻る。
やっぱりちょっと一人は寂しい。ちょっとだけ、だけど。にーさんは節約の為にテレビもパソコンもコンポも月末はコンセントを抜いてしまう。だから、この部屋には自主的――って言うのか分からないけどさ――に音を出すモノが今、オレしかない。トイレとか風呂とか、あるけどそんな音は面白くないし。意味なく、あーあ、なんて呟いて、床にごろんと仰向けに寝転がってみた。あちこちに、にーさんが買ってきた小説とか漫画とか参考書とかが積んである。片付ければ?って言いながら全然片付けずに置いといてくれるのは、にーさんがズボラとか言う訳じゃなくて、あんまり動きたがらないオレがいつでも本が読めるようにっていう、配慮。
――――らしいよ?
少し笑って、オレは一冊本を抜き出した。
「アマ・リリス探偵哲学」
にーさんが初めて買ってきてくれたやつ。何コレ?って聞いたら、にーさんは真顔で言ったんだ。
塞ぎ込むくらいなら、一時間でもいいから面白いことをしろ。
って。それがオレの読書ライフの始まりなわけだ。ぶっちゃけ、この本は塞ぎ込めと暗示されているかのような堅っ苦しい文章で書かれた探偵アマとその助手リリスの二人の主人公が、とある伯爵夫人から依頼を受けることから始まる絶叫ホラーだったんだけどね。
なんでこれ買ったの?という疑問は、増えていく本を並べていくうちに分かった。
「アマ・リリス探偵哲学」
「伊藤学園経済部」
「ウサギのウルル」
「エターナル・エイド〜エータ編〜」
「オーランド夫人」
――――エトセトラエトセトラ。つまりは、あいうえお順。内容はばらばらで、にーさんの目に留まったやつみたいだ。絵本、ホラー、アクション、恋愛、ファンタジーに推理物。小説、漫画に留まらず、参考書とか楽譜なんかもあった。
もともと、読むって行動は好きだったから、にーさんが持って帰ってきた教科書も読んだ。全部は無理だけど3分の1くらいは理解してるつもりだ。
そうそう、わかんないトコを聞いたら、にーさん、教授に聞いてやるってわざわざ電話してくれたっけ。あの教授、何か質問する度に、なんでこんなのが分からないのか分からん、なんて言ってたけど、教え方はすごい丁寧だったな。する事ないなら俺の手伝いでもしにこい、なんて言ってくれて、あれはちょっと嬉しかった。丁重にお断りしたけどさ。
――――何気ないにーさんの行動が、オレを新しい世界へ、色んな人達へ繋げてくれる。あの視線が、オレの背中を押してくれる。何もにーさんは言わないけど、オレが勝手に思い込んでるだけだけど、別に間違いでも構わないんだ。
にーさんがオレを、この場所に置いてくれてる間は、オレは、それだけで救われるんだから。
いつかオレは、この部屋を出ていく。にーさんにさよならを言って、ありがとうって言って、出ていく日がくるんだ。その時、オレはきっと心から笑えると思う。にーさんにたくさん救われたよって、伝えられると思う。
オレだけが知ってる。
にーさんはオレの為の神様か、それか――――ほら、信仰心が深いヒト。シスター……は女だっけ?うーん……あ、そうだ、聖者なんてどうだろう?うん、無名の聖者様ってわけ。オレに、視線だけで道を説いてくれるヒト。ちょっとむかつくし、ちょっと短気で口が悪いとこもあるけど、にーさんは、優しすぎる聖者なんだ。
ごろん、と床を転がって、オレはゆっくり目を閉じた。なんだかゆっくり眠れそう。
にーさん、今日はちょっと早めに帰っておいでよ。聖者の話をしてあげる。
優しくて怒りんぼで、お酒と女に弱い、そんな聖者の話。
無名だからって甘く見ないでね、その人は確かに一人の男を、その視線で、この世界に繋ぎとめた凄いヒトなんだから。
FiN.
「なんで、ねーさん……」
「あら、そんなに怯えることないでしょ?失礼ねぇ!今日はあんたにプレゼント持ってきただけよ。ほら、これ」
「……えっ……あ、け、ケータイ!?なんで……」
「功労賞よ」
「は?何?」
「こっちの話。あんたケータイ持ってないんでしょ?1円ケータイだけどないよりマシだわ。料金は私が出してあげるから、せいぜいそれで現代人らしい生活をはやく取り戻しなさいよね。ってことで、今日から毎日、このにーさんについて私にレポートを書いて送りなさい、写メ付きで」
「れ、レポート?」
「寝顔とかならなおよし!」
「……明日香……頼むから、阿呆なことを……」
「何よ、私とデートしたって一晩べったりすることなんてないじゃない。私だってカレシの寝顔が見たいわよ!毎日!!」
「……にーさん……」
「やめろよ!?」
「うん、分かっとるって」
「おぉ!良かっ」
「毎日、欠かさずにーさんのベストショット送るわ、ねーさん!」
「よし、よく言ったわ!流石私が見込んだ男ー!!」
「ノォォォォ……!!俺になんの恨みがあるんだ馬鹿野郎――――!!」
その日、聖者の叫びは、近所の住人からひっきりなしに電話を鳴らさせるという効力を最大限に発揮した。
電話の応対に忙しい聖者様の背中を見ながら、折原 雅は、こっそり、南無と手を合わせ、早速、第1回にーさんレポートをケータイに打ち込み始めた。
窓に、しとしとと降る雨が雫となって流れていく。二人の奇妙な生活が、ちょうど3ヶ月目を迎えた、ある梅雨の日のことだった。
こんにちは、風野です。「無名聖者の視線」読了ありがとうございます!
これは「全戦全敗の珈琲」(ちなみににーさん視点)という作品の続編というか番外編みたいな作品です。時間軸は、「全戦全敗の珈琲」より前で、視点も違うので別物として投稿です……が、こっちだけだと分かりにくかったりするんだろうかと心配が……。もし設定が分かりにくい!ということなら書き直しますので、評価・感想お待ちしています!
……ほぼ全てが独白。ちゃんと"折原 雅"を表現出来てるのか、謎です。一人の人間をつらつらと喋らせるって難しい……雅君は一体どんな風に捉えられているか――――。
ちゃんと彼のかわいいところも伝わっているといいのですが!!
それでは最後までお付き合い頂きありがとうございました☆