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【連載完結】ただ互いに憎み合っていただけなのに、周囲が勝手に溺愛だと勘違いし、愛の権化のように崇拝されました。  作者: 逆立ちハムスター


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聖地観光

王都の中央にそびえ立つ『エターナル・ドロップ』の最上階。本来なら賓客をもてなすはずの展望ラウンジは、今や「エランディア国」と「この狂気の愛に包まれた聖愛国」の、最恐夫婦による合同演習場と化していた。


「……ライナス王子、貴方の反応速度は悪くないわ。けれど、カサンドラの『痺れ薬』を警戒するだけでは甘いわよ? 本当の愛なら、毒を盛られる前に『空気の震え』で彼女の殺意を察知しなさい」


エルゼが優雅に凍りついた紅茶を口にしながら、ライナスに助言(物理的な圧)を送る。


「……勉強になります、エルゼ婦人。……カサンドラ、聞こえたか? 次回からは空気の振動すら私の計算式に組み込ませてもらう。……さあ、次の『真実の吐息(爆弾入りデザート)』を運んでこい」


ライナスは、もはや食事を「栄養摂取」ではなく、妻との「生存競争」として楽しんでいた。その目は、かつての無機質な機械のようではなく、ギラギラとした生命の輝きを放っている。


「まあ、ライナス様! 私の愛の微振動まで感じ取ってくださるなんて、なんて素敵な管理マネジメントかしら!」


カサンドラが感激しながら、隠し持っていた「暗殺用の小型クロスボウ」を机に置き、うっとりと夫を見つめる。


その様子を、エドワードとソフィアが離れた席から見守っていた。


「……ソフィア。私は最近視力が落ちてきているようだ。あの子たちはエランディア国ではどういう評判なんだ? ……一歩間違えれば、内乱かクーデターの準備に見える気もするのだが」


「あらエドワード。エランディア国では今、『王子夫妻の熱烈な信頼関係』が話題になって、国民たちがこぞって護身術(愛の嗜み)を学び始めているそうよ。……素晴らしい国際貢献だわ」


「……我が国は、愛ではなく『戦闘的生存本能』を輸出していたのか…………素晴らしい成果だ!」


一方、狂気から離れようと遠くの席に座っていたテオとルナは、手を取り合って内心震えていた。


「……ねえ、ルナ。あのライナス王子、僕の母さんに感化されすぎて、腰の魔導具の半分が『相打ち覚悟の自爆用』になってるんだけど……」


「……驚くべき学習能力よ、テオ。……彼はもう『愛されないこと』を恐れる段階を通り過ぎて、『妻に隙を見せて殺されること』を最大の恥と考えているわ。……完全に、あなたの両親が作り出した『最悪の実験モンスター』ね」


ルナが震える手で「国際愛殺指数の上昇」を記録していると、突然アルフォンスがライナスの隣に立ち、鋭いナイフを一本、机に突き立てた。


「ライナス王子。……仕上げに、私の『致死量寸前スパイス』をかけた肉料理を用意した。……これを食べながら、カサンドラ姫の『次の暗殺計画』を同時に三つ当てるゲームをしよう。……外せば、明日の朝食は抜きだ」


「……望むところだ、アルフォンス卿! カサンドラ、君の心臓の鼓動から、すでに二つの計画は把握済みだ。……さあ、三つ目を見せてみろ!」


「「「「素晴らしい愛の対話だ!!)」」」」


外から望遠鏡で見守る多数の信者たちの咆哮が、展望ラウンジの硝子を震わせる。

かつて「機械」だった王子は、今や「殺意」という名の燃料を得て、王都の狂気を飲み込むほどの炎となって燃え上がっていた。


「……ルナ。僕、決めたよ。……あの人たちが帰国するまで、エトワールと一緒に旧図書室に引きこもる」


「それは駄……賛成よ、テオ。……このままここにいたら、私たちの『まともな防波堤』が、国際規模の波に飲み込まれて脳が侵されてしまうわ」


二人はそっと、狂熱に包まれたラウンジを抜け出した。背後では、爆発音とエルゼの高笑い、そしてライナス王子の「愛の分析(絶叫)」が、聖地の空に響き渡っていた。

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