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【連載完結】ただ互いに憎み合っていただけなのに、周囲が勝手に溺愛だと勘違いし、愛の権化のように崇拝されました。  作者: 逆立ちハムスター


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飽きっぽい生物達

王都を覆い尽くした無数の分派は、三つの大きな「愛の解釈」へと集約された。

エルゼとアルフォンス、二人が体現する「死と生を隣り合わせにする愛」への熱狂は、ついに失われたドワーフの技術さえも現実の形に変えようとしていた。


「アルフォンス、見てちょうだい。街が三つの旗に塗り替えられて、妙な活気を帯び始めているわ。私たちの愛が、あの呪われた『昇降機』の完成を早めているみたいね」


私は、空に向かって無骨な鉄骨を伸ばし続ける『愛の急降下エターナル・ドロップ』の建設現場を見上げ、扇子を激しく仰いだ。まだ骨組みの段階だが、その中央には、神々の記録を再現した【黄金の伝達コア】が、浮遊するように組み込まれていた。


王都を支配する、あまりに熱狂的な「愛殺教・三大分派」。その実態は以下の通りに集約された。


【熾烈愛・屠殺派バイオレント・ラブ

教義:「愛とは相手の命を奪い合うほどの激情の極地である」。エルゼとアルフォンスの殺し合いこそが愛の完成形だと信じる、最大勢力の武闘派。


実態:「死ね!」という言葉を「愛している」の最上級の挨拶として使い、日々武器を交えて絆を深め合う。


【純愛・福音派クリスタル・ラブ

教義:「愛とは汚れなき魂の共鳴である」。テオとルナの交流を、殺伐とした世界に降った「愛の奇跡」と崇める改革派。


実態:互いを慈しみ、静かに見つめ合うことでエルゼたちの激情を中和しようとする、純愛を信奉する集団。


【不変愛・仮死派エターナル・スリープ

教義:「愛とは時を止め、永遠に共にあることである」 分派の末に生き残った、便所の神の像を「永遠の愛の象徴」と仰ぐ根強い一派。


実態:像の周りで死体ごっこ(仮死の儀式)を行い、「愛ゆえに動かず、愛ゆえに朽ちない」という境地を追求する。


「まったく、『熾烈愛・屠殺派』の奴らが、さっきから私の魔法を『至高の愛情表現』だと言って、わざわざ当たりに来るのよ! 避けないから私の魔力が無駄に消費されるじゃない! もはや色々な派閥を吸収したせいで、ただのドM集団と化してきているわ。本来は本気で殺し合っているけど、ギリギリで愛を確かめ合っている宗教だったはずなのに……」


「同感だね、エルゼ。だが、あの『不変愛・仮死派』の連中よりはマシだよ。彼らは便所の神の像の周りで寝転びながら、私たちの殺意がいつ『不滅の氷』となって自分たちを永遠に固定してくれるかを待ち望んでいる。……死ね、エルゼ。君の殺意は、今や彼らにとっての救済そのものだよ」


私達の乗る馬車が塔の側を通り過ぎる。


このコアこそが、かつて神々が天から降りる際に用いた「重力を無視した加速」を司る。だが、先行して設置されたこの心臓部は、どれほどの殺意エネルギーを注いでも一向に起動する気配がない。


馬車の窓から、通り過ぎる時に聞こえてくるのは、塔建設の悪報だった。


既存の魔力、燃料など、どれを使っても一向に反応する気配がない。


現場にいる王宮魔術師や王宮錬金術師、王宮技師などが酷く頭を悩ませている。設計を間違えたのか!? と焦っている様子だった。

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