表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載完結】ただ互いに憎み合っていただけなのに、周囲が勝手に溺愛だと勘違いし、愛の権化のように崇拝されました。  作者: 逆立ちハムスター


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

138/145

ロシアンルーレット

バルカスは短く吐き捨てると、椅子を蹴るようにして立ち上がった。彼が向かったのは、厳重な檻に閉じ込められ、幾重もの鎖で封印された荘厳な箱だった。


「坊主。その箱を開けてみろ」


テオが恐る恐る手を伸ばすと、指先に焼けるような熱が伝わる。

「熱い……っ! バルカスさん、これ……」

「さっさと開けろ! モタモタしてるとお前の指が先に炭になるぞ!」


急かされ、テオは歯を食いしばって蓋を跳ね上げた。

中に入っていたのは、宝石でも聖遺物でもなかった。それは、真っ黒な泥の塊が脈動し、無数の細い触手が蠢く、「悪意そのもの」を凝縮したような悍ましい物体だった。


「……なにこれ。生きてる……の?」

「熾天使の慈愛が究極の『善』なら、こいつは数千年にわたり俺たちが煮詰めてきた究極の『不純物エゴ』だ。連中の真っ白な世界を汚し、塗り替えるための唯一のインクさ」


バルカスは、その黒い塊を愛おしそうに見つめて言った。


「これを、どうするんですか?」

「……食べる」

「……え?」

「食べて、お前の血肉に馴染ませる。……そして、死ぬ」


テオの顔から血の気が引く。

「いいかテオ、俺は無駄な質問はしなかった。お前が『心臓を捧げるか』と聞いたのは、これのことだ。……どうだ、食べるか?」


「嫌だ……絶対に嫌だ!!」

テオが必死に拒絶すると、バルカスは鼻で笑った。

「根性のない野郎だ。だが、俺一人じゃダメなんだ。どちらかが死んでも、もう片方が熾天使の心臓にその『汚れた血』を届けなきゃならん」


バルカスは不敵に笑い、テーブルにアルフォンスのナイフを突き立てた。


「安心しろテオ。強制はしねえ。だが俺も死ぬのはごめんだが、世界を救わなきゃならんのも事実だ。……そこでだ。ここはフェアに『デスゲーム』で決めようじゃないか」


「ゲーム……?」


「ああ。お互いに思い出を語る。だが、話すのは半分までだ。残りの半分を相手が言い当てる。先に正解した方が勝ちだ。嘘はナシだぞ? ……負けた方が、その『汚物』を食う。……やるか、坊主?」


【第一回戦:バルカスの出題】

「……まずは俺からだ。……数千年前、ドワーフの都が神の光に焼かれた時。俺の師匠が、燃え盛る工房の中で最後に俺に手渡したものは何だ? ……ヒントは、お前がさっき座った『椅子』に関係がある」


テオは冷や汗を流しながら、必死にバルカスのこれまでの言動を振り返る。

椅子。銅色のテーブル。偏屈な性格。


「……ええと、椅子……。バルカスさんはさっき、椅子に足を組んで置いていましたよね。……もしかして、渡されたのは『椅子』そのものじゃなくて……」


【第二回戦:テオの出題】

「……僕の番です。……僕が王都でルナに初めて会った時、彼女は僕の体調を管理するために、ある『数値』を見て絶句しました。……それは何の数値で、彼女は何と言ったでしょう?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ