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【連載完結】ただ互いに憎み合っていただけなのに、周囲が勝手に溺愛だと勘違いし、愛の権化のように崇拝されました。  作者: 逆立ちハムスター


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偏屈者の椅子

「痛っ……あ……」

地面に叩きつけられ、肩に鋭い痛みが走る。だがドワーフは振り返りもせず、拾い上げたアルフォンスのナイフを「ゴミでも捨てるように」テオの傍らに放り投げると、そのまま暗闇の奥へと消えていった。


「待って……待ってくれ!」

テオは痛む肩を抱えながら、必死に起き上がり、その背中を追う。


「どうして君は無事なんだ? 他のドワーフたちは? 数千年前に滅びたはずじゃ……。この洞窟は一体何なんだ!?」

テオは答えを渇望する学者のように矢継ぎ早に問いかける。しかし、ドワーフは一切答えない。ただ、追いかけてくるテオを追い払うような無駄な動きもせず、淡々と、けれど重厚な足音を響かせて進むだけだった。


やがて細い通路を抜けた先、巨大な、あまりにも巨大な鋼鉄の扉が一行を遮った。

ドワーフが壁のボタンを乱暴に叩くと、数千年の沈黙を破るような地響きと共に扉が開き始める。テオはその精緻な超技術に見惚れ、呆然と立ち尽くしていたが――。


「……ッ! 閉まる!」


無慈悲に閉じ始めた扉の隙間へ、テオは滑り込むように飛び込んだ。案の定、勢い余って派手に転倒する。ドワーフはその様子を、氷のように冷ややかな、あるいは「これだから軟弱な地上人は」とでも言いたげな目で見下ろすと、構わず奥へ歩いていった。


起き上がったテオの視界に飛び込んできたのは、想像を絶する光景だった。

そこは、巨大なドーム状の空間を埋め尽くす「神々の鍛冶場」

中心に鎮座する巨大な炉からは、網膜を焼くような真っ赤な熱気が溢れ出し、エトワールがもたらしたあの「冷たく綺麗な楽園」を拒絶するように、テオの肌を、そして凍てついた心を激しく炙った。


不思議なことに、あれほど広大な空間に、他のドワーフの気配はない。ただ一人、あの偏屈な男の足音だけが反響している。


「おい、いつまで突っ立っている。お前のその薄い鼻が焦げ付く前にこっちへ来い」


ドワーフは、銅色の金属テーブルの脇にある椅子に腰を下ろすと、もう一方の椅子に無造作に足を投げ出した。そして、どこから取り出したのか、鼻が曲がるほどきつい臭いの葉巻に火を灯し、紫煙を吐き出す。


「座れよ、坊主。ここは神様のお説教も、花の香りの芳香剤も届かないどん底だ」


ドワーフは顎で、空いている椅子を指し示した。


「俺の名はバルカス。……『呪われたつち』のバルカスだ。数千年前、神のツラを殴り損ねて以来、ずっとこの煤の中で隠居している」


バルカスは葉巻をくゆらせ、仮面の奥の鋭い目をテオに向けた。


「……さて。お前の名は何だ? そして、あの大層な毛玉にどんな『嫌がらせ』をされて、そんなに悲惨なツラでここへ迷い込んだ?」

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