不浄の証明
「……下ろして、……お願いだ……。頭に血が上って……」
「黙れ、鼻垂れ小僧。俺がいつ、お前を下ろすなんて決めた? 俺が信じるのは、俺が信じると決めた時だけだ。それまでは、お前はただの『重力に従ってぶら下がる、喋る肉塊』に過ぎない」
ドワーフの男は、アルフォンスのナイフで岩壁をガリッ、ガリッと嫌な音を立てて削りながら、逆さまのテオの周りをゆっくりと回り続ける。その目はテオの苦痛を楽しんでいるようでさえあった。
「いいか。外の連中は神の慈愛に脳を溶かされ、自分を聖者だと勘違いしているが……俺から見れば、あんなのは思考を放棄した粗大ゴミだ。俺が今から問い質すのは、お前の中に『ゴミとして捨てるには惜しい不純物』が残っているかどうかだ」
ドワーフは、アルフォンスのナイフをテオの鼻先数センチで止め、最初の質問を投げた。
質問1:殺意の愛の証明
「このナイフ……。こいつには、持ち主のドロドロした執着が染み付いてやがる。死ぬまで相手の首に刃を当てていたいという、吐き気のするような愛だ。答えろ。お前はこのナイフの主を、『心中するのにふさわしい、血の通った変態』だと思っているか? それとも、ただの『死ぬ前の暇つぶしに使った道具』だと思っているか?」
質問2:管理される奴隷の快楽
「お前の服についているこの奇妙な金属片……。持ち主の女は、ドワーフの技術を勝手に書き換え、他人の心拍数まで『管理』しようとする傲慢なアマだな。答えろ。もしその女がお前の脳内にチップを埋め込み、一生『幸せな夢』を見せ続けてやると言ったら……お前はその女の顔面に渾身の頭突きを食らわせるか? それとも、涎を垂らして飼い犬になるのか?」
質問3:地獄への渇望
「外を見ろ。死体が花になり、魔物が苔を食い、誰もが幸福だとほざいている。……美しすぎて吐き気がするな。……なあ、小僧。お前は、あの輝く毛玉が作った『完璧なエデン』のど真ん中に、特大のクソをぶちまけて、地獄を買い戻してやりたいと思うか? それとも、自分もあの薄ら笑いを浮かべる花の肥料になりたいか?」
テオは、逆さまの視界で視界がチカチカする中、喉を震わせて答えた。
「……あいつらは、……綺麗なんかじゃない。毒を吐いて、勝手に僕の心拍数を測って、……僕を殺しかけて……。でも、……あのクソみたいな、騒がしい日々が……僕にとっては、……神様がいる楽園よりも、ずっと価値があったんだ……ッ!!」
ドワーフは動きを止めた。仮面の奥で、長い髭がわずかに揺れた。
「……フン。神が用意した上等なフルコースより、道端に落ちている汚い毒リンゴを選ぶか。……とんだ救いようのないクズだな。……最高だ」
「――合格だ、薄汚い小僧」
ドワーフがナイフを一閃させた。




