神の愛
ドシン! ドシン!
巨大エトワールのじゃれつきによって、ドワーフの地下都市の遺跡が次々と崩壊していく。
「ギャアアアアア! 助けてェェェ!!」
テオはルナの手を取り、砕け散る瓦礫の中を必死に鉄骨の隙間で耐えていた。
その時、テオの目に信じられない光景が飛び込んできた。
なんと、いつもなら殺し合っているはずのエルゼとアルフォンスが、突然、恋焦がれるかのような甘ったるい言葉を投げかけ始めたのだ!
「……アルフォンス、貴方って本当に素敵! こんな危険な状況でも、私の隣で冷静に逃げ惑ってくれるなんて……! ああ、もっと貴方の愛を、その冷たい瞳で私に注いでちょうだいッ!!」
エルゼが、折れた柱の陰からアルフォンスに向かって、薔薇色のオーラを放ちながら手を伸ばす。
「……フン。……エルゼ。……お前のその狂気に満ちた眼差しも、……今宵はことさら美しく映る。……私のナイフで、お前の心を永遠に刻み込みたい……。……我が愛よ、……どこまでも堕ちてゆこう……」
アルフォンスもまた、ナイフを握る手が恍惚と震えながら、エルゼの元へと吸い寄せられていく。二人の間に甘ったるい粘着質な空気が生まれ、それはもはや、いつもの「殺意の愛」を通り越して、**純粋な「溺愛」**の領域に達していた。
「ひぃっ!? な、何やってんだあの二人!?」
テオは困惑する。自分は真隣にいるエトワールが、巨大エトワールの「愛」を吸い込んでいるせいか、まだ正気を保っている。
しかし、隣のルナは既に限界だった。
「テオ……テオ……! 私の王子様……! あなたの細胞一つ一つが、私の演算を狂わせる! ああ、この鉄骨の隙間なら、二人きりで永遠に愛し合えるわ! 私のすべてのリソースをあなたに捧げる! 私だけを見て……私だけを!!」
ルナがテオにギュッと抱きつき、鉄骨の隙間に押し込みながら、狂気に満ちた目でテオの顔を見つめる。もはや恋人同士の可愛らしい愛情ではなく、完全に「ヤンデレ状態」の独占欲が暴走していた。
テオがモルガンの方を見ると、さらに衝撃的な光景が広がっていた。
モルガンは、瓦礫の山に頭を打ちつけながら、涙をドバドバと流し、嗚咽を漏らして懺悔していたのだ。
「うわあああああ! 私はァァァァ! この愚かな私がァァァァ! かつて教祖としてァァァ! 人々の感情を奪おうとォォォ! なんという大罪ッ! 私は許されない! 私はクソだァァァァァァ!!」
モルガンのキャラが完全に崩壊し、彼の「全知の計画」の裏にあった、人知れぬ罪悪感が決壊していた。
そして、シアンだ。
いつもは冷静に詩を奏でる彼が、まるで伝説のギタリストが憑依したかのように、崩れ落ちた岩の上で激しく竪琴をかき鳴らし、咆哮していた。
「『愛こそ力! 叫べよ魂! 狂気の中に真実の光! 神の恩寵はロックンローーーール!!!! お前たちのすべてを焼き尽くせッッッ!!!!!!!』」
地下空間には、暴走する「神の愛」によって、エルゼたちの甘ったるい溺愛、ルナの狂気的な独占欲、モルガンの嗚咽と懺悔、そしてシアンの爆音ロックが、混沌とした狂気のハーモニーを奏でていた。




