表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛は死んで義務(結婚)だけが残ってしまいました。  作者: 今日も平和に毒を盛る


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/17

愛は死んで義務(結婚)だけが残ってしまいました。

「おはよう、私の愛しいエルゼ。今日も君の瞳は、まるで朝露に濡れたサファイアのように美しいね」


豪華なシャンデリアが輝く食堂。アルフォンスが、吐き気のするような甘い声で私を迎えた。

私は心の中で、彼を暖炉の薪と一緒に燃やすシミュレーションを終え、最高の微笑みを浮かべる。


「あら、アルフォンス様。あなたこそ、その金髪はまるで……そうね、昨日いただいた最高級の豚の脂身のように艶やかですわ」


「……褒め言葉として受け取っておこう。さあ、冷めないうちに食べよう。君の好きなエッグベネディクトだ。シェフに厳しく言っておいたんだよ、『愛する妻の喉を焼かないよう、適温で出せ』とね」


私は優雅にナイフを握る。


三年前、私たちは確かに愛し合っていた。はずだ。

彼は私のためにドラゴンを(実際はトカゲの親戚だったが)狩り、私は彼のために刺繍を(実際は侍女にやらせたが)贈った。

けれど、結婚という名の「義務」にサインした瞬間、魔法は解けた。


残ったのは、この広すぎる屋敷と、週に一度の義務的なダンスパーティー、そして「仲良し夫婦」を演じなければならないという、死ぬほど退屈な台本だけ。


「そういえば、エルゼ。来月の建国記念祭、君のドレスは私の瞳と同じ色を新調してはどうかな? 『夫婦の絆』をアピールする絶好の機会だ」


「あら、素敵。あなたの瞳の色……つまり、泥水のような濁ったグレーですわね? 流行の最先端をいきそうですわ」


アルフォンスの眉がピクリと跳ねた。いいぞ、もっとやれ。

私たちは、お互いのことが嫌いで嫌いでたまらない。

けれど、離婚はできない。公爵家と王家の契約、莫大な慰謝料、そして何より――先に「愛が冷めた」と認めた方が、この社交界という名の戦場で敗者になるからだ。


「……ふっ、相変わらず冗談が上手いな。愛しているよ、エルゼ」

「私もですわ、アルフォンス様。死が二人を分かつまで、いえ、死んでも逃がさないくらいには」


私たちは、笑顔で視線の火花を散らす。

愛は死んだ。

けれど、この「義務」という名の殺し合い(ダンス)は、まだ始まったばかり。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ