第42話 再会
ターニャと融合したことで完全復活したセーニャはすぐさま印を結び、エリオーネと魔力を奪うこの離れの塔との繋がりを解除した。
簡単に言うと、彼女を気絶させたのだ。
「……セーニャ、大丈夫なのか?」
「はい。ディオギス様にはご心配をおかけしましたわ」
妹──もとい、彼女の半身と完全に同化したことで、頬を赤らめたセーニャは嬉しそうにそう呟いた。
何故セーニャはターニャと分かれていたのか。色々謎は残るものの悠長にしていられない。
今は反応がないとは言え、アルヴァンは俺たちがここにいるのを知っている。
それに今回はセーニャを救出することが目的だったので、俺は気絶したエリオーネをおんぶすると螺旋階段へすぐさま足を向けた。
「ディオギス様、エリオーネは歩けますわよ!」
「いや、それは起きていたらの話だろ」
「いいえ! 歩けますわよ!」
唇を尖らせて本気で怒るセーニャが怖いので、俺は渋々エリオーネをそっと下ろす。
すると背中から不機嫌な声が聞こえてきた。
「ああん、残念。お兄様の背中気持ちよかったのに」
「はあ!?」
気絶させられたはずのエリオーネはちゃっかり意識を取り戻していた。だからセーニャが止めたのだろう。
しかし腑に落ちないのは、間違いなく塔との繋がりを解除する為に先ほどセーニャに落とされていた。なのにどうして今普通に動けるのか。
「睡眠魔法ですわ。初期のではなく、もっと強烈なものですのよ」
「へええ、便利なもんだな。それがあればさっきみたいに眠らせて魔力の繋がりを解除出来るのか?」
「はい。ですが、この魔法はディオギス様には効かないみたいです」
「なんで?」
寝つきの悪い自分がもし眠れる魔法をかけてもらえたら幸せだ。
「……今まで眠れないと仰るディオギス様に散々試しましたけど、効果はありませんでした」
散々試した、という部分が恐ろしい。
もしや、彼女が俺の布団に毎日忍び込んでいたのは睡眠魔法を試していたのだろうか?
そう考えると何で侵入したんだ、とか毎日離れろ、と冷たい態度を取っていたことが申し訳なくなる。
「セーニャ、ごめんな」
「うふふ。何のことでしょうか」
「まあ、色々……もうちょっとお前のことを──」
「あーあー! ずるいですわ! お兄様、わたしの存在忘れておりませんこと!?」
二人の間にずいっとエリオーネが割り込む。
「……エリオーネ、あの時は助けられなくてごめんなさい。あなただけ辛い想いをさせてしまって」
真面目な面持ちでセーニャはそう話した。
研究所から三人で脱走したあの日。足がもつれてもう走れないエリオーネは自ら囮となって研究所に捕まった。
彼女はアルヴァンをはじめとする研究員に相当擬似魔力及び潜在魔力について研究されたと思われる。
しかしエリオーネはセーニャを責めることなくにこりと微笑んだ。
「それはもういいのよ、お兄様にも会えましたし」
「ありがとう……エリオーネ」
友との感動の再会に二人は存在を確認する為にきつく抱きしめ合った。




