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第37話 ディオギスの力


「おーい、ディオギス。ボクの話、聞いてる?」


 顔の前で手をぶんぶん振られたが、イリアの言葉をすぐに信じることができなかった。

 だってよく考えろ。創世神だぞ?

 何億人もの人達が母なる大地を捨てた際に創世神イリアへ祈りを捧げていたんだ。


 確かに俺はイリアからティルファングを貰った。

 でも、この外見、あれから全く成長していないってことになるぞ?


「あの、あんたのその身体……」


「イリア」


「あ、はい」


 あんた、と創世神を呼ぶなんて相当失礼な話だ。とは言え、なんでそんな大層な神様がお供のひとりも連れずにここに来たのか。


「イリア様、失礼をお許しください。不躾な質問ですが、どうして俺にティルファングを授けてくださったのでしょうか?」


「堅苦しくなくていいよ」


 どっちなんだよ!

 ちょっと面倒くさい。俺は精一杯の丁寧な言葉で彼女に話しかけたがあっさり却下された。


「い、イリア、ティルファングとは?」


「えーっとねえ、ちょっと待って」


 説明しようとしたイリアの姿がぐにゃりと歪んだ。もしかしたら、ここにいるイリアは実体がないのかも知れない。


「ディオギス、ボクの存在を認識して。強く願って」


「は? いきなり何で……」


「いーから! じゃないと、ボクは何も説明出来ない」


 ティルファングが無ければ俺は戦えない。強いランクの魔物を倒すにはティルの力は必要だ。

 でも俺の命を全部ティルに食わせるつもりはない。

 マイデン家から追放されたまま、しかもコロニーの人間達をこの未開発惑星に移住する計画の行末も見ないまま死ぬつもりはない。

 今ここで死んでしまったら、俺は何のために生きて、何を成したかったのか分からなくなる。


 擬似魔力を必要としない世界。

 

 子どもにあんな危険なものを生まれた時に打ち込む制度がなくても、きっとこの惑星探索がうまく行けば遥か昔の母なる大地アルカディアで使えたものが活きるはずだ。


「創世神イリア、頼む。ティルを戻して欲しい!」


 イリアはここにいる。創世神は実在する。


 力が欲しい。この惑星探索を終える力が!

 力が欲しい。セーニャを救う魔力が!

 力が欲しい。みんなを守る力が!

 力が欲しい。どんなに強い魔物に遭遇しても諦めない勇気が!


「イリア、俺は……」


 自分の意思を強く練り顔を上げた瞬間、俺の目の前に幼女の顔があった。

 股の上にちょこんと座ったイリアに頬を押さえられてそのまま唇を塞がれる。


 それはまずいだろう。神様とキスしてるなんて。むしろ、なんで彼女はこんな事を……?

 

 唇が離れた瞬間、幼女イリアは全身白く光り輝き、その姿を変えた。

 あどけない子どもの表情はそこにはなく、全身成熟した大人の女性だ。

 何千年も生きる神様だからおばあちゃんになっていたらどうしようかと思ったが、彼女の見た目は俺と然程変わらないくらいだった。


 問題は、幼女の服を破り一気に元の姿に戻ったことで一糸纏わぬ姿。神様はそういうことを気にしないのか、もう少し恥じらいが欲しい。


「元の姿に戻れたよ。やっぱりディオギスはボクが見込んだ通りだ!」


「頼むから、服を……!」


 股の上に座っていたのが幼女だったから支えられたものの、大人になったイリアを流石に支えきれず、二人はそのまま地面に倒れ込んだ。


 裸の神様を抱きしめて男女二人が地面に寝転がっている状態。


 これは絶対ターニャに見られてはまずいと思っていたが、別の意味で厄介な暗殺者(アサシン)二人組にばっちり目撃されてしまった。

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