表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/56

第36話 神様登場!?


 アルヴァンがが造った城は目と鼻の先にあると言うのに、酷く遠い予感がした。野営を選択したのは間違いない。暗闇の中見知らぬ場所を攻めて別の魔物の襲撃にでもあったら多分全滅だ。

 いや、全滅というのは少し違う……暗殺者(アサシン)の二人は勝手に逃げられるだろう。


 火の番をしていた俺は囚われのセーニャを想った。彼女はあんなにも俺を勇者様と慕ってくれたのに、未だにどうやって彼女に会ったのか記憶すらない。

 そしてティル。アルヴァンに消されて彼はどうなってしまったのか。

 元々彼の存在は不確かで、俺の意思から産まれたものと言っていた。ならば、もう一度強い意思を持ってティルを呼べば出てきてくれないだろうか?


「はあ……」


 思いを強く練ることで魔法のような技が頭に出てくるまでは確認した。

 けれども、それは連続攻撃出来るほど器用ではないし、それに隙が大きい。今日もアンナが居なければ俺はランク3のガマに勝てなかった。


 多分、俺が使えない奴だったらグランはここで別れてしまうだろう。

 ウォルトとどういう約束をして来たのか知らないが、彼が突然あれくらい倒せるだろうという気持ちで俺に力を見せろと言ったはずだ。


 力が欲しい。

 このままだと、誰も守れない。

 

 ティルファングは意志を持つ剣。それはティルが居なくなってもあまり変わらない。今も剣を鞘から抜こうとしてもびくともしなかった。

 俺が本当に強く願い、必要とした時しか反応してくれないのだ。剣の癖にツンデレ過ぎる。

 

「セーニャを救出して、この剣をくれたイリアに早く会わないとな……」


 ティル不在のまま惑星探索は厳しい。ランク3でも倒せないのに果たして未知の魔物が倒せるかどうか。


 しょうがねえ相棒だなお前は、とツンデレの剣を撫でると宝石部分が淡く光ったような気がした。


「ははっ。そんな都合よくいかねぇよな」


「やっとボクを呼んでくれたね、ディオギス」


「…………」

 

 一瞬だ。俺が目を閉じたのはほんの一瞬だった。

 それなのに、目を開けた瞬間、胡座をかいた俺の股の間に五歳の幼女がちょこんと座っていた。

 銀色の髪に、珍しい碧眼。

 にこりと微笑む笑顔は夢に出てくるあの顔と何ら変わりない。


「うおあああ!?」


「わああっ」


 思わず俺は幼女を突き飛ばしてしまった。

 だって仕方がないだろう、こんな光景ターニャにでも見つかったら何を言われるか。

 小煩いセーニャが居ないのが救いだった。いや、まて。落ち着け俺。


「お前……イリア、なのか?」


 突き飛ばされた幼女はコロコロと自分で転がり、適当なところでピタリと動きを止めた。

 

「ひどいなあ、ディオギス。きみにティルファングを与えた恩を忘れたのかい?」


 イリアはむっと唇を尖らせると地面を転がった時についた葉っぱを適当に払った。


 開いた口が塞がらない。


 ティルからイリアに会いに行けと言われたが、本人がどうして出てきたのか。

 そして女神像の無限の力を持ち、コロニー全土から崇拝されている創世神がこんな幼女なわけがない。


「あー、ディオギス、今ボクの存在を完全に否定したでしょ?」


「うぐっ……だ、だって、お前本当に創世神……なのか?」


 その質問には答えてもらえなかったが、好奇心旺盛な彼女はにかっと白い歯を覗かせて元気よく笑った。


「ボクはイリア。アルカディアの創世神だよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ