第27話 失われし者、還りし者
俺はアルヴァンを取り逃し、おまけにティルも失ってしまったが、代わりに妹と名乗ったエリオーネを回収し、地下で魔力を使えずに衰弱していた二人を回収して拠点へ戻ってきた。
流石に全員を抱えることは出来ないので、偶然意識を取り戻したターニャに門を発動してもらい、簡単に戻ることが出来た。
「しかしターニャも魔法使いだったら、最初から廃墟まで魔法で移動出来たんじゃないのか?」
「そ、それは……申し訳ございません」
やはりターニャの喋り方は変わっていた。聖職者の間延び口調ではなく、凛とした大人の魅力を持っていた。こっちの方が好みだとかそんなことは絶対に口が裂けても言えない。
「またディオギス様に命を救われましたわ……それに、エリオーネと再会出来るなんて」
「ターニャはエリオーネと知り合いなのか?」
「はい。それを語るにはあのおぞましい魔力研究所について説明しなくてはなりません……」
言いにくそうに閉口したターニャを見ていると、よほど辛い目にあったのだろう。
「別に言いたくない話や過去は過去だろ、お友達に再会できたんだからそれでいいじゃねえか」
「ああ、ディオギス様……!」
感極まったターニャが突然抱きついてきた。聖職者のローブに隠された豊満な胸が俺の理性を揺さぶる。頼むからこの姉妹の格好をまずどうにかしてほしい……!
「と、とりあえず離れて。それで、気絶したエリオーネはどうやったら元に戻るのか……分かるか?」
「はい。彼女は潜在魔力を一気に爆発させられただけですので、数日眠っているだけで回復しますわ」
「そうか……安心した。初対面なのに妹だって言うから」
「エリオーネが、妹?」
俺の説明に疑問が残るのか、ターニャは彼女をみてはて、と小首を傾げた。彼女達は同じく魔力研究所に幽閉されていたようだが、エリオーネの家柄についての明確な話は無かったのだ。
そしてあまりにもディオギスと似ていない。これで兄妹というのは少し無理がある。
しかしコロニーの上級貴族階級は世継ぎが産まれなければ平然と愛人に子を産ませてそれをごく自然に自分の子として公表するので親が違う可能性はあり得る。
「まあ、本人が妹だって言い張るし、マイデン家の名前も名乗ったから多分間違いはないんだろうけど……」
それに、自分だけが追放された訳ではないと悟り、不謹慎だがほんの少しだけディオギスの力となった。
ディオギスには守るべき家族が出来たということになる。己に魔力が無くても守り抜く大切な人が。




