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第25話 VS アルヴァン


「魔獣と同化したのか。いい趣味だな」


 自己再生を待つほどティルは善人ではない。再度愛剣を振り翳すものの、先ほどより速度を上げたアルヴァンはそれを魔獣の爪で弾いた。


「魔獣は耐久性に優れており再生能力も高いですからね」


「魔力で細胞強化しているのか……生まれ持った身体をそこまでいじって何になる!」


「あなたは所詮ディオギスくんから産まれただけの存在だから分からない。我々が生きていくには擬似魔力が必須。そしてそれが暴走しても、無くてもどちらにしても社会から虐げられるのですよ」


 アルヴァンは腕を一度切り落とされたことで全身の細胞を魔物化させたらしい。

 瞳の色は黄金色に変わり、口元には二本の長い牙が生えていた。


「ざけんな……擬似魔力をお前が暴走させてんだろ」


「ディオギス、お前は安静にしてろ。こいつは俺の獲物だ」


「ふふ、余裕ですね。貴方は所詮かりそめの存在の癖に」


 アルヴァンは決して魔法使い(ウィザード)を捨てたわけではない。ただ、知識の探究をしていくうちに、不老不死に限りなく近い魔獣との同化に行き着いたのだ。

 そしてティルの存在が剣から出てきた仮初の姿も分かり、魔力を打ち消す空間を編み出した。


「さあ、全て無に還れ。虚無の牢獄(ヴォイド・プリズン)


 アルヴァンも虚無の牢獄(ヴォイド・プリズン)を発動させることで一切の魔力を使えなくなるのだが、この場で魔力を封印されて一番困るのはティルだ。彼は突然剣を手放し、苦悶の表情でのたうち回った。


「う、ああああ!」

『アアアア!!』


 魔力を消す空間が全体に展開されたことにより、ティルとエリオーネが額に脂汗を浮かべ、首を抑えて呻いていた。呼吸もかなり苦しいのか、首筋の血管が盛り上がっている。


「くそ……奥の手を隠し持っていやがるなんて」

「ティル!? おい、大丈夫かよ!」


 俺はティルにはじめて触れた。剣から突然召喚される彼は、体温も肉体の感覚もしっかりある。


「いいかよく聞けディオギス。暫くお前の呼びかけに応えられないから、イリアに会いに行ってほしい」


「イリアって、昔会った鍛冶屋の?」


「それは知らねえ。ウォルトが居場所を知っているはずだから、とにかくここから逃げろ……」


 ティルの身体は少しずつ透明になり、ティルファングに吸い込まれるように消えた。そして咆哮を上げていたエリオーネも魔力を使えなくなったことで漆黒の羽を失い人型に戻りそのまま意識を手放していた。

 こうなると地下にいる二人が心配だ。俺は巨大な魔獣に変化したアルヴァンを睨みつけた。

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