第7話 kalei de scope①
……気まずい。
フィーは流れる景色を車窓から眺めながら、そんなことを考える。
窓の外にはまるで燃えているような夕焼け空と、黒い土地らしきものが見えるだけだ。
車内は少しずつ暗くなって来ているのは、ガラスに映る自分の輪郭が先程よりもハッキリしてきたことでなんとなく察することができた。
正面に顔を向けると、ソフィアと名乗ったメイド服姿の美女が、膝の上で小さな機械人形とお喋りをしている。
そしてちらりと隣を見れば、ムスッとした顔で通路を睨み続ける金髪の少年がいる。
その異様な光景のせいで、先程からすぐ側の通路を通る人達がチラチラとこちらを見てくるのだからたまらない。
「それでね、私もびっくりしちゃって!」
「そうなんですね」
イニとソフィアの会話を聞いているだけだと、本当にコミュニケーションが取れているのか怪しくなる。それでも、二人の表情を見ると笑顔を浮かべている辺り、きっと大丈夫なのだろう。
正直、こうして窓の外を見続けていても、フィーとしてはスラム街でのことがずっと思い出されてしまい、気が滅入ってしまうワケで。
特に、まるで真っ赤なキャンパスに黒の絵の具を少しずつ差し込んでいるようなこの景色を眺めていたら余計だ。
それに、せっかく汽車に乗っているのだから、どうせなら何かお喋りでもしたいのが本音でもある。だからといって正面の二人の会話に混ざれるほどの度胸は、今のフィーにはないのだけれど。
まっ、ライアンがこうなっちゃうのも仕方ないんだろうけどさぁ……。
溜め息とともにそんなことを考えて、フィーは汽車に乗るまでのことをぼんやりと思い出していた。




