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Lacrima EX MACHINA  作者:
91/100

第6話 Six Feet Under⑧

「それじゃあ診察行ってくるわね、三人とも」

「おう。それまでは俺らは留守番してるから」

「悪いけど頼むよ。あっ、僕らがいない間に居なくなるのはなしだからな」

「わーってるって。ほら、さっさと行けって」


 仲睦まじげに診療所へ向かう三人を見送り、隣で大きな欠伸を浮かべて手を振るフィーを見る。


「なんだよ、眠れなかったのか?」

「んーそう言う訳じゃないんだけど……。ふぁあ……三人が戻ってくるまでもうちょっと寝ようかなあ」

「いいけど寝坊したら置いてくからね? それでもいいなら寝てもいいわよ」

「うぐっ……起きてます」


 彼女の腕の中に収まっているイニの脅しに、顔を引っ張ったりしてみるも、フィーの顔はまだ眠そうなままだ。


「まあ、寝ててもいいんじゃねぇか。どうせやることねぇんだし」

「んーじゃあお言葉に甘えてちょっと横になろうかな」

「あいよ」


 ライアンの返事にフィーはこくりと頷くも、その場を離れようとしない。何かあったのだろうか。


「どうかしたか?」

「んー……どうかしたって訳じゃないんだけどさあ。昨日のこと、アルフレードに話したのかなと思って」

「どうかしらね。あの様子ならまだ話してない気もするけど」

「やっぱりそうだよね」


 もう背中の見えなくなった三人を眺めながら、フィーはポツリと呟く。


「だとしても私達が気にすることじゃないわよ。あれは二人の問題。何かあれば相談に乗ってもいいけど、解決するのはあの子達よ。それを間違っちゃダメ」

「イニの言う通りだな。俺達は俺達ができることをやろうぜ」

「分かってるけどぉ……」


 フィーはまだ納得がいっていないようだったが、それでも何かを無理矢理納得させるかのようにこくりと頷いた。


「でも、二人がそう言うなら、信じてみようかな」

「んだそれ」


 思ってもみなかった言葉に、小さく吹き出してしまう。そんなライアンの様子に、フィーは不満そうに口を尖らせる。


「ちょっと、何で笑うのよ」

「予想外だっただけだよ。んじゃフィーに習って俺らも休もうぜ。どうせここからはあんま休めねぇだろうし」

「うわーそれ言われると着いてくって言ったのちょっと後悔かも」

「ん? ならフィーは残ってもいいんだ――痛ってぇ! 何しやがる!?」


 フッと小馬鹿にするように言ったライアンの頭を、フィーが勢いよく叩いた。


「ライアンが酷いこと言うからでしょ! 自業自得!」

「だからって叩くことねぇだろうが!」

「しーらない! 馬鹿ッ! くるくる頭!」

「……てんめぇ人が気にしてることを」

「はいはいうるさいわよー喧嘩しないの。あんた達まだ朝って分かってる?」

「「でも!」」

「でもじゃないの。迷惑って言葉の意味を二人とも一回ちゃんと調べた方がいいわね」


 イニの言葉に、ライアンとフィーはうぐっと言葉に詰まる。


「はい素直でよろしい。相変わらず仲よしさんだこと」

「「仲よくない!」」

「はいはい仲いいわね。それはそうとあんた達さっきの言葉聞いてた?」


 そんな会話が朝方のスラムの街に響く。ここは本当に過ごしやすい場所だと、ライアンは留守を任された家までの道のりで考えていた。

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