異世界に落ちた話
ヒュオオオオ!
ーーー視界いっぱいに広がる大地、大きい川、私は今、空にいます!
「なんでぇぇぇえー!!」
なんで空にいるの?!落ちる落ちる落ちる!
金切り声で叫び、全身に風を感じながら落ちていた。
クワー、クワー!クワックワッ!クワーッ!
刹那、海にいるあの鳥の群れを見つけた、鳥、鳥とりトリトリ!
バッ!と私は大の字に身体全身を広げた!
鳥はほぼ空気抵抗とか風とかで飛んでいるって話を聞いたことがある!
そう!羽ばたかず、翼を広げてるのだ(諸説なし)!
そんな走馬灯による賢明な判断で講じた策も意味をなさず、少し落ちるスピードが落ちたものの、全身にものすごい風を受けて落ち続けている。
口を開けて叫んだこと私は公開していた、口がもうカッピカピに乾燥している。
あわわわわわわわ、落ちる!落ちる落ちる落ちる! 叫べない口で叫ぶ。
やだ、まだ死にたく…まだ、死にたく。死にたく…ない?
ふと我に返る。
わたしは未練などあっただろうか。
私は……何かをしてたんだっけ、好きなこと、やりたいこと…あったっけ。
少し、落ち着いた頭で目の前の景色を見てみた。
すごく綺麗で、壮大で、今まで生きてきた中でこんなものは見たことがなかった。
『ふぅー』口は乾燥し、声は出ない。
もしかしたら、ここは天国で、私の人生は……もう終わっているのかもしれないが。
最後に、こんな景色が見れてよかったと思えた。
私の、色のない人生の最期に、色がついてよかったと思えた。
もうすぐ、私の人生は…終わる。
「『フロウ』」
大気を裂く騒音の中、かすかに声が聞こえた。そのとたん上から…いや下から突風が起こり、器用に体全身を包んでいく。
何を言っているのかわからないだろうが、まさしくそんな感じであった。
…?さっきまで感じていた風を感じない、一瞬であった。
目を開けてみると、地面すれすれで私は浮かんでいた。
『…はぇ?』
途端に喉が痛くなる、喉が乾燥しきっているのだ。
嗚咽が止まらない、とにかく苦しい、水が欲しい。
浮力は収まり、地面に触れる。
足はがくがくと震え膝たちすらままならない。
水がないか周りを見渡す。しかし、周りにあるのは木や草花であった。
ヤバい、死ぬ! さっきよりも死を感じている。水…雨でもいいから…降って。
「『ウォータ』」
先ほど同じ声が聞こえた、すると目の前に水の球が現れた。
私は何も考えずにそれをほおばり飲み込む。
その水は口の中に入れると同時に形は崩れた。
九死に一生を得る、まさにそんな感じであった。落ちるよりもよっぽど苦しい。
「ぷはぁー!」
あんまりおいしくなかったが、ぷはぁー!っとビールを飲む人っぽく上を見上げる。
気持ちよかったのだ。
さっきから私を助けてくれたあの声は何だったのだろうか。
と、少し冷静になった頭で考えていると、雲ひとつない青空に1つの白い点…が見えた。
だんだんと輪郭が見えてくる…人、かな?
......?落ちてくる人は私を見ていた。大きく見開いた眼で!
いやいやいや、怖い怖い怖い! 目は乾燥しないのぉ? て、そこじゃねえ!
私の頭がパニックになっている間にその…人(?)は目の前に降り立った。
正に天使のような動きだった、それ以前に翼をもって、よく見ると頭に白い輪っかがあった。
光輪ってやつだ、天使だったり聖母だったりがつけているそれ。
そして降り立つやいなや頭の光輪を握り。
ガコッと音がしたように取り外した。
えええぇ!! 取れんのそれぇ!!
と、私のサイレントシャウトに動揺せずに天使は目の前に迫り、私の右腕にその光輪を付けた。
その光輪は腕につけると勝手に縮みフィットした。
「......よし」
「......へっ?」
天使が、はじめて口を開いた。
一連の動きに、私の少し回復した口は『へっ?』としか言えなかったが冷静になれた。
冷静になった頭で考えてみたが......
「......へっ?」
としか言えなかった。
初めまして、枯木ノウです。
最近、PCをゲットしまして、というのもゲットしたから小説を作り始めたんですけど......
これからはなるべく早く更新できるように頑張りますので、宜しくお願い致します。