表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/23

天撃の魔術師

「はい、暴れない。動くと骨が折れますよ?」


 ルクレツィアは襲撃者の上に乗って腕を締めあげていた。


「俺を拘束しても無駄だ。仲間がドラゴンを並走させている。俺を解放しなければこの船を落とすことだってできるぞ?」


 襲撃者はそんな脅し文句を吐いてきた。


 窓の外を見ると、確かに翼を広げたドラゴンが横を飛んでいた。


「そうですか。では、ドラゴンの方を落としましょう」


「なに? そんなことが……」


「光魔法【天撃】」


 一瞬、辺りが暗くなった。次の瞬間、落雷のような閃光と爆音が響き、ドラゴンは墜落していった。


 これがルクレツィアの実力か。


 想定以上だな。


「お前、まさか【天撃】のルクレツィアか? あのドラゴン狩りが趣味の?」


「はい、それ以上は言わせません」


 ルクレツィアは腕に力をかけ、襲撃者の口を封じた。


「うぐっ、」


 そのまま襲撃者の意識は刈り取られた。


「あれ……もしかして死んでる?」


 ルクレツィアは驚き、飛び退く。


「まさか殺したのか? ルクレツィア、それはいくらなんでもやり過ぎだ」


「いやいや、そんな力込めてないですって! なんで?」


 ルクレツィアも困惑している。


「古の秘法です。生贄を捧げることで、古代の英雄を呼び出すもの。この魔法陣を見てください」


 イズミは襲撃者の胸元に刻まれた紋章を指す。襲撃者の死と引き換えに、強力な戦士を呼び出すということか。


「これ、召喚魔法だったんですか?」


「気づきませんでした」


 俺とルクレツィアは間抜けな反応を見せることとなった。


 やがて襲撃者は起き上がり、虚空を掴むような動作をする。すると、一振りの剣がどこからともなく現れた。


「マズいです。あれは魔剣アルマース。古代の英雄、アデオダトスの魂を召喚したようです。逃げますよ! 勝ち目はない!」


 そう叫んでイズミは俺たちを床に伏せさせた。


 次の瞬間には、魔剣から放たれた斬撃が、頭上を通り過ぎていった。そして飛行船の壁に大穴を開けた。


 危なかった。動きが遅れれば首が飛んでいたな。


 とはいえ、穴から空気が漏れ出している。早めにどうにかしないと全員酸欠になる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ