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9.レオポルド国王、部下のハードルを爆上げする

「国王様、五十二番目です。三ヵ月前に五十一番目の奥方をお迎えしましたので」

 傍らに佇んでいた宰相が小声で伝える。

「おお、そうだったな。五十二番目の妻だ」

 レオポルド国王は悪びれた様子も無く、フィリスにいやらしい視線を向けたまま、グヒヒと笑う。


「安心しろ。お前ほどの美貌だ。暫らくは毎晩のように通ってやろう」

 そう言いながらも、さっきからフィリスの胸しか見ていなかった。


「あの、国王様。発言宜しいでしょうか」

 もはや、笑顔を作ろうとして頬を引きつらせているだけのフィリスだが、彼女の顔を見ていないレオポルド国王は気付いていなかった。

「何だ?毎晩欠かさず来て欲しいのか?お前は意外と、いやらしいんだな」

 下品な顔に、下品な言葉。フィリスの顔から笑顔が完全に消えた。


「いえ、そうでは無く、国王様は(わたくし)のレベルについて、何もお聞きになっていらっしゃらないのでしょうか」

「レベル?ああ、何か少々高いらしいな」

「少々……ですか?」

(((((ひっ……)))))

 彼女の冷たい視線に、国王以外の全員が心の中で悲鳴を上げた。


「ふむ。妻のレベルを知っておくのも大事だな。おい、彼女のレベルを測ってやれ」

「は、は、はい」

 国王の命令に、魔術師達が慌てて魔道具を持ってきて彼女の前に設置した。

 そして、精霊魔術師の指示に従い、フィリスが魔道具に手を乗せた。


 魔道具に浮かび上がる「999」の文字。


「「「「「おおぉ……」」」」」

 ため息とも驚きともつかない声が、あちこちから零れてくる。


「レ……レベル999で間違えありません」

 精霊魔術師が、魔道具の数字が正しい事を告げた。

 全員が言葉を失う。

 彼等は、噂では聞いていたが、誇張表現か何かの間違えだろうと思っていたのだ。レベル99に達した者さえいないのに、三桁など馬鹿げた話だと。

 だが今、目の前に彼女のレベル値が表示され、精霊魔術師がその表示に間違えないと言ったのだ。いくら信じがたい事でも、その事実は覆らない。

 そして彼等は認識せざるを得なかった。目の前にいるのは、少女の皮を被ったバケモノだと。


 しかし、一人だけ違う考えを持つ者がいた。

「レベル999か。少しは強いようだな。まあレオン・バルト将軍ほどじゃ無いけどな」

 自分の直属の部下のレベルも把握していないレオポルド国王だ。


「あら、そうですの?そんな強い方とは、是非手合わせをお願いしたいですわ」

 フィリスが優しく微笑みながら、国王の後ろに視線を向けると、後ろに佇んでいたライトメイルに身を包んだ体格の良い初老の男が、青ざめた顔で激しく首を横に振っていた。


「彼はスキル破岩剣で、一度に六体のロックゴーレムを粉砕できるんだ。どうだ?凄いだろう?まあ、女のお前はレオンの足元にも及ばないだろうがな」

 見下したような笑みを浮かべる国王に、その場の全員が遠い目をし、将軍は耳まで赤くして両手で顔を隠していた。

レベル999のフィリスに向かって将軍の自慢をする国王。

当の将軍は恥ずかしさでいっぱいです。

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