表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/28

25.各国、令嬢を探し続ける

【ファルターニア王国】

「国王様。ゲルーマ帝国のこの辺りの森で、一晩だけ大きな屋敷が現れ、翌日には消えていたそうです。後、北部の山脈に住みついていたメタル・サイクロプスが、貴族風の女性の投石で頭を吹き飛ばされたそうです」

「むむむ……サイクロプスはフィリス嬢だとは思うが、屋敷の話はたぶんデマだろう」


【スピニーヤ王国】

「国王様。ゲルーマ帝国南西にある谷に、全長一〇メートルほどの巨人が現れたそうです。しかもその巨人は美しい女性だったそうです」

「レベル999ともなれば、巨大化する魔法を使えたりするのか?」


【ゲルーマ帝国】

「皇帝。北西の村で、北に向かって海を歩いて渡る少女がいたとの報告がありました」

「北と言うと、魔族領か?」



【ファルターニア王国】【スピニーヤ王国】【ゲルーマ帝国】

「「「う~ん……」」」

 日々もたらされる真偽の分からない報告に頭を悩まされる彼等。

 だが、その中でも信憑性がありそうだと思う報告から、フィリスの現在地を彼等は推測する。


「「「彼女はたぶん、ここにいるだろう」」」


 それぞれが違う国にいて、互いの距離も遠い。そんな彼等が指さした地図の場所は見事に一致する――


 ――ような事は無く。全く別の場所を指していた。

 そこは、それぞれの国の情報収取能力の違いによるものだった。


 そして彼等より遥かに情報収集力が低い国があった。

 それはゲルーマ王国の西側にあるフレーチス王国だ。


【フレーチス王国】

「レベル999だと?ふんっ!ゲルーマ帝国のいつものプロパガンダだろ。常識的に考えてレベル100越えなんてありえないだろ?」

 玉座にふんぞり返っているサイモン・フォン・ポンポンヌ四世は、臣下の言葉を一蹴した。

 ポンポンヌ四世は今年で三十五歳。金髪青目のイケメンだ。

 だが酒癖と女癖が悪く、今も両側に座らせている美女の胸をワシワシと揉みしだいていて、顔は赤みをさしていて酒が入っているのが分かる。

「しかし国王様、商人達から聞いた話では、ファルターニア王国ではその令嬢によって王都の三分の一が瓦礫と化し、スピニーヤ王国では王都が完全に砂と化したそうです。そんな人物が今、敵国であるゲルーマ帝国に……」

「お前は馬鹿か!」

 報告に来た臣下が恐る恐る告げるが、その言葉をポンポンヌ四世が恫喝した。

「それがプロパガンダだと言っているんだ!王都を壊滅?そんなこと、一人の力では無理に決まっているだろう?そんな眉唾ものの話に振り回されず、もっと信憑性のある話を持ってこい!」

「は、はいっっ!失礼します!」

 ポンポンヌ四世の剣幕に、報告に来た男は逃げるように謁見の間を後にした。

 その後姿を見ながら、彼は先ほどの報告に含まれていたある言葉に興味を示していた。

「絹のような美しい金髪を背中の中ほどまで伸ばした青い目の美少女か……」

「国王様。そんな他国の青臭い子供なんかほっといて、私達と楽しみましょ」

 右側の女性がそう言って、両手でポンポンヌ四世を振り向かせると、熱いキスを交わした。

 それを見た左側の女性が、ムッとした表情をしながら、今度は自分の方に向かせて彼にキスをする。


「妬くな妬くな。勿論、お前たちが一番だ。だがその少女、レベルは嘘だろうが、俺の元に置いて俺好みに育てるのも悪くないかもな」

 そう言って、下品な笑みを浮かべた。



 その頃、魔族領のとある漁村では騒ぎが起こっていた。

 いや、騒ぎなんてレベルでは無い。パニックだ。

 何故なら、海の災害、リヴァイアサンが現れたからだ。


 そしてリヴァイアサンの頭の上には美しい金髪の少女が立っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ