22.令嬢、巨大ナメクジをフルボッコにする
ノリにノッて一気に終わり近くまで書き上げたところ、キーボードのおかしなところを触ってしまい、全て消えました。(>_<)
その時になって初めて、1回も保存していなかった事に気付き、1時間ほど放心状態となりました。
書く事に熱中すると、ついつい保存を忘れてしまうんですよね。(-_-;)
「暗黒圧縮」
フィリスの掛け声と共に小さな漆黒の穴のようなものが出現したかと思うと、バクンと言う音と共にヒュドラだった魔物の前三分の二が消失した。
しかし、フィリスの宣言通りその再生力は凄まじく、既に残った体から肉が盛り上がり始めていた。
だが、フィリスはそれでも気に食わなかったようで、不機嫌な顔で「もっと再生策度を上げるように改良できないかしら」などと呟いていた。
やがて再生が完了すると、彼女はすぐさま次の魔法を放った。
「高重力圧縮」
ビシャっと言う音と共に、魔物が完全にひしゃげ、辺りに紫の毒液が飛び散るが、それでもまだ再生を始める。
「溶岩竜巻」
「波動光熱線」
「強力微細波」
次々と放たれる魔法になすすべもなく倒れては再生を繰り返す魔物。
流石に『竜の天敵』の面々も可哀そうになって来たのでアランが声を掛ける。
「おい、お嬢さん。流石にこう一方的に攻撃し続けるのは、その、可哀そうと言うか……何か虐待しているみたいで可哀そうになって来たぞ」
それを聞いたフィリスは振り返り、首を傾げる。
「あのナメクジは、再生が完了する度に魔法を放とうとしていますわ。私はその攻撃が始まるのを待ってから攻撃しているのですわ」
私の魔法構築速度はナメクジの1・5倍ですわ、と微笑みながらフィリスが答えると、アランはグルンと首を動かしてローズとマリーに顔を向ける。そして魔法発動の兆候を捉えていたのかと目で問い掛けた。
ブルブルと首を横に振る女性陣二人。
「魔力の収束は一切感じなかったわ。ローズ、何か感じた?」
「ごめんなさい、ごめんなさい。私の拙い感知能力では元素反応の兆候は感じ取れませんでした」
ローズの問いにマリーは涙目でそう答えた。
「魔法の発動には、術式を構築して大気から魔力を集めて収束するのですけど、魔力を集め始めた段階でナメクジ周りの大気のマナ密度が下がり始めますの。それを捉える必要がありますわ」
フィリスの説明に目を見開く女性陣二人。
普通、大気のマナの密度など感じ取る事はできない。それを目の前の少女は当たり前のように言っているのだ。
その後もフィリスのの攻撃が続き、その数が三〇を越えた頃――
「貴様ら!俺の俺の召喚獣に何をしているんだ!」
横から声が響いたので振り向くと、小高い丘の上に男が立っていた。
その者の背丈は二メートルほどで、裸の上半身は分厚い筋肉の鎧を纏っていた。
そして肌は黒く、髪と瞳の色も黒かった。魔族だ。
魔族の男は軽く人跳びで魔物の近くに降り立つ。
「再生するのか。いつの間にそこまで再生能力が上がったんだ?」
安心したような、そして少し嬉しそうな顔で、魔族の男は再生していく魔物を見ていた。
やがて魔物の再生が完了しようとした時、魔族の男が目を見開いた。
「な?ヒーちゃんじゃ無い?俺のヒーちゃんをどこにやった!?」
目の前に現れた巨大なナメクジに魔族の男は目を吊り上げて叫ぶ。
だが、フィリスと『竜の天敵』のメンバーはその罵声に目を瞬いていた。
「「「「「……ヒーちゃん?」」」」」




