表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/28

18.令嬢は何処へ?

【ファルターニア王国】

「国王様!ゲルーマ帝国の北西部で、山が半分消失すると言う事件があったそうです」


【スピニーヤ王国】

「国王様!ゲルーマ帝国との国境を越えた先で、冒険者ギルドに貴族風の女性が現れて大量のグリーンドラゴンの死体を持ち込んだそうです!」


【ゲルーマ帝国】

「皇帝!北の障魔の谷で巨山亀が縦に両断された状態で見つかったそうです!」


【ファルターニア王国】【スピニーヤ王国】【ゲルーマ帝国】

「「「それだぁぁぁぁぁ!!」」」


 遠く離れた三か国で、首脳達の声が奇跡的にシンクロした。

 だが、彼等の考えまではシンクロしなかった。


 スピニーヤ王国では、新国王がゲルーマ帝国との国境付近の地図から、グリーンドラゴンが持ち込まれた冒険者ギルドの場所を確認していた。

「既にゲルーマ帝国に入っていたのか。これはヤバイな。向こうにいる工作員に、彼女が皇帝と接触するのを阻止するように命じて……いや、力尽くはかえって逆効果だ。これ以上彼女を怒らせると、今度は国が滅びかねない……むむむ、どうすれば良い?」

 新国王はどうして良いか分からず、悩み続ける事となった。


 一方、ファルターニア王国では、ルイン七世と国の重鎮がリチャードを交えて話し合っていた。

「北西部とは……僅か数日でゲルーマ帝国をほぼ横断する勢いで進んだと言うのか」

「フィリス嬢が帝都を素通りしたと言う事は、父上の予測通り皇帝と接触する気は無いようですね」

 フィリスが早々にメクレンブルク伯爵の屋敷を離れたと間者から連絡を受けたルイン七世は、彼女がスピニーヤ王国の時のような事態になるのを嫌い、皇帝との接触を避けるだろうと予測していた。

「うむ……しかし、北西部となるとフレーチス王国を目指しているのか?いや、向こうには彼女の親族はいないはず。となると、南西に向かうのか?」

 ルイン七世達は、彼女が次にどの国に向かうのかと議論を重ねた。



 そして帝国では――

「障魔の谷にフィリスが現れたとしたら、ひょっとしたら北海を渡るつもりか?」

「皇帝!まさか彼女は魔族領を目指していると?」

「その可能性もあると言う事だ」

 魔族領。

 それはエウロパ大陸の北。海を隔てた先にある大きな島だ。

 そこには肌が黒く、高い魔力と身体能力を誇る人種が住んでいる。

 エウロパの人々は彼等を恐れ、幾度ともなく彼等の領地に兵士を送っている。

「皇帝。フィリス嬢は我らの代わりに魔族どもを根絶やしにするつもりなのではないでしょうか?」

 安直な考えの大臣の声を半分受け流しながら、皇帝は独り言のように言った。

「果たして、彼女は人間側に付くのか、それとも魔族側に付くのか……」

 そして、ブツブツと呟きながら暫らく考えた後、顔を上げて指示を出す。


「取り敢えず情報を集めなければ。北側の全ての冒険者ギルドに伝えろ。フィリスが現れたら急ぎ連絡を入れるようにと」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ