成すべき事
「………貴方だけ…でも幸せ…に生きて」
「それ…が、あの人…と私のさ、最後のお願い」
「わ、私達…は、いつ…でも…貴…方をみ、見守…っ…て………」
「か、母さん嫌だよ。目を開けてよ。こんなの嫌だよ。」
「母さん、母さん、かあ…さ」
「あ、あ アーーーーーーーーー」
「ウワーーーーーー」
「クソ、またあの夢か。」
「……様、カノン様。大丈夫ですか?」
「…ああ、すいません。カリンさん。」
「いつもの夢です。朝から大声出してすいません。」
「問題ありません。それといつも申し上げつおりますが私
に敬称は不要です。」
「私はこちらで雇って頂いているメイドにすぎませんの
で。」
「僕もいつも言っていますが僕はカリンさんの事を唯のメ
イドとは思っていません。本当の姉の様に思っていま
す。」
「…………」
「イヤ本当もうそろそろコレ止めません?」
「そうね。一応メイドとしてのやり取りをしてみたけど疲
れるから止めましょう。」
と、いつもこんな感じで僕をイジってくるこの人はカリンさんといってショートボブの蒼い髪と蒼い瞳の僕より2つ年上の女性で小さい頃から家で働いてくれている本当の姉の様な人だ。
この世界では人族は自分の持つ属性を現す髪色と瞳の色を持つ。
その色によって自分の扱える属性を現している。
朱は爆発、蒼は癒し、翠は斬撃、褐は物質という感じに色によって司る魔法が違ってくる。
僕の色はというと少し、いや、かなり特殊で右半分の髪は白で左半分は黒、瞳は逆で右は黒、左は白となっている。
これは家の家系が人族では唯一の色を司る家系だかららしい。
それでも父方は代々白い色、母方は代々黒い色と今までは2つの色を持って生まれてきた者は居なかったそうで必ずどちらかの色にしかならなかったらしい。
その中で何故か僕だけ2つの色を持って生まれたらしい。
そのおかげ?で僕は人族では初めての2つの属性を持つ存在となっているらしい。
因みに黒は終焉、白は創生の属性を司る。
普通ならこんな特殊な奴が居たら忌避されるか利用しようとする者が現れそうだがどうやらどちらも現れなかったようだ。
何故?と思うだろうがその理由はウチの祖父にある。
ウチの祖父は黒髪、黒い瞳の世間では終焉【おわり】を率いる者と呼ばれる世界最強の人間だからだ。
普段は誰にでも優しい祖父だが悪意や敵意のある者(王だろうが貴族だろうが)には一切の情け容赦なく等しく終焉【おわり】を与える。
だからそれを知る者達は誰も手出ししてくる事はなかった。
「本当に大丈夫なのカノン?」
「ありがとうカリン姉さん。もう大丈夫だよ。いつも心配かけてゴメンね。」
「良いのよ。私は貴方の姉さんなんだから。いつでも慰めてあげるわよ。」
「それとも甘やかしてほしいのかしら?」
「イヤ、後がコワイから結構です。」
「ソレはどうゆう意味かしら?」
「…そういえばそろそろ爺ちゃんとの訓練の時間だからもう行かないと。じゃあそういう事だから姉さんまた後で。」
「あっ、こら待ちなさい。」
「危ない、危ない。余計な事言うと姉さんに説教という名の地獄をみせられる処だった。」
「さて、じゃあ爺ちゃんも待ってるだろうし早く訓練場に行くか。」
(父さん、母さん【俺】は誰よりも強くなって必ずアイツを殺す。だからもう少しだけ待っていて下さい。)