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白き死神のGディバイド  作者: 河原 机宏


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白い死神⑥

 ブラスターモードによる砲撃を行った直後、ブラスターライフルは強制冷却のため、スライドにより露出した排熱部が赤熱していた。

 <Gディバイド>コクピットのモニターには、ブラスターモード再使用可能までの時間がカウントされ50からスタートしたその数値が1つずつ減っている。

 別のモニターには敵艦のターミナスレイヤーの消失が表示され、ユウはそれを確認すると機体を突撃させるのであった。

 サリッサ級<パイク>のブリッジでは、勢いよく突っ込んで来る<Gディバイド>の姿が映し出されていた。

 艦長のポールはコロニーに貼り付かせていた<カトラス>数機と1隻残っているダガー級に救援要請を送らせる。

 だが、その時艦から離れた場所で大きな爆発が確認された。今しがた救援要請を送ったダガー級が撃沈されたのである。

 そして、その元凶たる3機のオービタルトルーパーがこちらに向かってくる様子が確認された。

 追い詰められたポールは、既に冷静な判断ができない程混乱状態になり、普段の紳士的な姿は微塵も残ってはいなかった。


「白い奴に火線を集中させろ! 近づけるな! 何をグズグズしている、早くコロニーに取り付け! そうすれば奴らは手出しができない!」


 ベルファストに接近する<パイク>であったが、そこで艦全体に衝撃が走る。<Gディバイド>が攻撃を開始したのである。

 艦の周囲を高速で動き回る白い機体を引きはがそうと迎撃用の砲台が一斉射するが、それをものともせず、回避した瞬間にカウンターとしてブラスターライフルをお見舞いする。

 1つまた1つと<パイク>の迎撃システムは沈黙していく。援護としてコロニーから離脱させた部隊は、『アンデッド小隊』によって全滅したとオペレーターから報告が入る。

 そして艦長ポールが次に顔を正面に向けた時、視線の先にはこちらを無機質な赤い目で見返す白い機体の姿があった。

 その手にはライフルが構えられ、ブリッジに銃口を向けている。次の瞬間銃口から赤い光が放たれた――それが地球連合軍サリッサ級巡洋艦<パイク>のブリッジクルー達が見た最後の光景であった。

 <パイク>のブリッジは、<Gディバイド>のライフルから放たれた超高出力のターミナス粒子によって一瞬で蒸発した。そのビーム砲はそのまま艦体を貫通し、致命的な打撃を与えていた。

 間もなく<パイク>は、艦の様々な場所が爆発し四散し、コロニー〝ベルファスト〟を盾にする計画は未然に防がれたのである。


『敵旗艦撃沈を確認。敵残存勢力0、敵艦爆発によるコロニーへの被害なし……任務完了』


 <Gディバイド>から、戦闘が終了したと母艦に報告が入る。これにより、機動戦艦<エンフィールド>の初陣は、途中参戦した『アンデッド小隊』により形勢が一気に逆転し、最後は何ともあっけなく、かつ凄惨な内容で終了した。

 地球連合軍の生存者は、見受けられなかった。最後の一方的な戦いにおいても敵に対する慈悲はなく、徹底的な破壊行為が行われた。

 エンフィールドのクルー達は自分達が助かったという安堵と同時に戦争の現実と戦いの後味の悪さを痛感するのであった。

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