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白き死神のGディバイド  作者: 河原 机宏


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白い死神②

 瞬く間に仲間を撃墜され、残り2機になった<カトラス>のパイロットは悪夢を見ているような感覚に襲われていた。

 この2機は<エンフィールド>に最初に攻撃を仕掛けた4人のうちの2人であり、慎重に事を進めていた人物達だ。

 仲間の増援があった後も、ビームマシンガンで<エンフィールド>の防御層を削る任務を堅実にこなしてきた。

 そして、後もう少しで新型の敵艦にダメージを与え、上官の無茶な要求に応えられるところだったのだ。

 だが、その目前に乱入した1機のオービタルトルーパーによって全てが崩壊した。

 生き残っていた6機中4機がわずか2分足らずで破壊されたのだ。


「白い……オービタルトルーパー……まさか……あれは……白い死神……?」


 片方の<カトラス>のパイロットがその名を口にした瞬間、<Gディバイド>が動き出す。

 モニターから一瞬で消え去り、コックピットには『敵機接近中』の警告音が鳴り響き、敵機がいる方向を指し示す。

 パイロットがその方向に目をやると、そこには白い機体が黄色のビーム刃を自機に突き立てる瞬間が映し出されていた。


「これで5機! 残り1機!」


 <Gディバイド>はセイバーを敵機のコックピットに突き刺し、そのまま横なぎにしながら胴体を真っ二つに切り裂く。

 身体を上下に分断された機体は間もなく爆発し、宇宙の藻屑と化す。その光景を見ていた最後の1機のパイロットは震えあがっていた。


「くっ、来るな! 来るな! 来るなぁーーーーーー!!」


 白い機体から離れながら、ビームマシンガンを撃ちまくる。照準が滅茶苦茶になっているのか、発射された弾は無秩序に放たれ1発も当たらない。


「当たれ、当たれ、当たれ! 何で……何で当たらないんだ!?」


 敵の攻撃を加速しながら回避する<Gディバイド>の動きは、水中をロケットのように泳ぐペンギンさながらであった。

 時には急制動をかけて方向転換し、再び急加速をかけて敵機に近づいていく。その都度コックピット内のユウには多大なGがかかるが、彼はそれをものともせずに機体を巧みに操る。

 彼の視線の先には半狂乱になりながらマシンガンを撃ちまくる<カトラス>の姿があった。


「うろたえ弾なんかに当たりはしない! …………墜ちろぉっ!!」


 ユウは<カトラス>を照準に入れると、躊躇ちゅうちょなくトリガーを引く。

 ブラスターライフルから放たれた砲撃は、1発目はマシンガンを持つ右腕を吹き飛ばし、2発目は左腕を破壊する。そして3発目は逃げ惑うその腹部を貫いた。

 <エンフィールド>に集中攻撃をしていた敵影全ての破壊を完了すると、ユウは放心状態に陥っている白い戦艦にコンタクトを取るのであった。


『こちらアンデッド小隊所属、ユウ・アルマ。<エンフィールド>応答願います』


 ブリッジの回線が開き、モニターに黒いパイロットスーツに身を包んだ青年が映し出される。

 ヘルメットの透明のバイザーの向こうに見える表情は、今しがた6機のオービタルトルーパーを瞬殺した直後とは思えない程無表情であり、恐怖や興奮といった感情は見受けられなかった。


「えっ…………あ…………」


「艦長、大丈夫ですかな? 私が応対しますぞ」


 顔が青ざめているアリアは、アルバスの申し出に対し黙って頷き、了承を得た副長はモニターに映る青年に答える。


「アルマ少尉、助かりました。おかげで<エンフィールド>は無事です。艦長は今気分が優れないため副長の私が現状説明をします」


『分かりました』


 アルバスは、現在の状況を手短に説明する。それを聞いたユウは一言「任務了解」と答えると、残存する敵勢力に向かって行く。


『敵は俺達が殲滅します。<エンフィールド>は後退してください』


「俺……達?」


 ユウの発言にブリッジクルー達がキョトンとしていると、<エンフィールド>から見て最奥に位置する『地球連合軍』の艦付近にて突如爆発が発生する。

 艦の護衛として展開している<カトラス>部隊が、次々と破壊されているのだ。

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