王太子殿下の事情
設定も何も無い作者の妄想を書きなぐった初投稿作品第1弾です。
温かい気持ちでお読みください。
◆フィリスティーナ・ディ・アンガスティ
ここはカーネリア王国。平地を多く抱え、農業の盛んな豊かな国。国の周りは雄大な山々に囲まれているため、外敵に晒されることも無く皆平和に穏やかに暮らしているのが自慢です。
又、豊かな土壌の上に優秀な人材をと、教育にも力を入れている。各領地には文字や算術を教える施設があり、更に王都には、三代前の国王陛下のお声がかりで設立された、王立カーネリア学園が存在する。13歳から15歳までを初等部、16歳から18歳までを高等部としたこの学園は貴族学園としての側面を持ち、多くの貴族の子女が通っている。
この学園を卒業する事が、貴族の間で一種のステータスになっているのは、各地の貴族の子女が集まるこの場所が自領の益になる人脈作りに適しているからでしょう。
そんなわたくしもこの学園に通う貴族の子女の1人。アンガスティ公爵の息女、フィリスティーナ・ディ・アンガスティ。それがわたくしの名です。
そんなわたくしがただ1人学園の廊下を歩いているのは、この学園の生徒会室に向かうため。
フィリス、話がある。
そう呼び出されたから。
相手は、この学園の生徒会長を務めている、アズルディアス・ロウ・カーネリディア殿下。この国の王太子であり、そしてわたくしの婚約者。
まるで天の国から舞い降りたかのように整った顔立ちは、コバルトブルーの瞳と相まって、周りに冷たい印象を与えている。怜悧な眼差しと、透き通るような銀糸の髪、あまり動かない表情が、余計にその印象を与えるようだ。それでもわたくしにとっては大切なひと。わたくしが7歳、殿下は8歳の時に婚約を結び、それから10年、良好な関係を築けていると思っていた。
「殿下……お待たせして申し訳ありません」
重い足取りで生徒会室に向かえば、殿下は既に待っていた。開いたままの扉から声を掛ければ、彼は名残惜しそうに窓から視線を離す。
窓の外にはこの事態の原因とも言える男爵令嬢の姿。宰相の子息や侯爵家の子息、果ては騎士団長の息子や豪商の息子達までが彼女の周りを囲んでいる。わたくしはツキンと痛む胸に気付かない振りをして、そっと窓から視線を外した。
「急に呼び立てて済まなかった。……大事な話がある」
彼の言葉に、遂にこの時が来たのかと思う。話の内容など分かっているもの。
紳士な殿下は扉を開けたままにしてくれたけれど、わたくしは他の人に殿下の話を聞かれたくなくてそっと扉を閉めた。
「殿下のお呼びとあれば何を置いても参りますわ。謝罪など……それで、お話しとは?」
自分の事ながら、声が震えなかった事を褒めてあげたい。
「……私達の関係についてだ」
促せば、言いづらそうに話し始めたのはやはり思った通りの内容。婚約を解消したいのだろう。
周りの令嬢達からは、その冷たい視線が素敵だ。などと言われているけれど、本当は優しい人。婚約者としての顔合わせの時、こんなに綺麗な人が居るのかと固まるわたくしの頭を撫でてくれた人。妃教育の始まったわたくしを気遣って、登城すれば必ずお茶に誘って下さった。自分も王となるための教育で忙しかったはずなのに。
好きになるのは簡単だった。
それが崩れたのは学園に編入生として件の男爵令嬢が入学してきてから。マリアンヌ・グリモール男爵令嬢、絹の様なピンクゴールドの髪に優しげなベビーピンクの瞳。そのくせ唇はどこか色っぽく、学園の男達は次々に魅了されていった。……王太子殿下すらも。
「私も、自分がこんな気持ちになるとは思いもしていなかった。……だが、とめられないんだ。王太子の肩書きが無ければ、普通の健全なただの男なのだと思い知らされた」
彼の言葉が続く。
別れの言葉なんて、正直聞いていられない。私はまだこんなにも貴方の事を……。でも、もう無理なのよね? 不覚にも涙が滲む。王太子殿下に話をされた時点で、断る事などできはしないのだ。
父も、兄も、朝からソワソワと落ち着きがなかった。もう話がいっているのだろう。と言うことは、もちろん陛下にも。
貴族の婚約というものは多分に政略の意味合いを持つ。陛下の許可が無ければ婚約する事はもちろん、解消する事も出来ないのだから。
わたくしは木陰のベンチに座る2人の姿を思い出し、ギュッと下唇を噛んだ。
政務や生徒会業務を意欲的にこなし、日々民のためにより良い政策を考えてこられた殿下。わたくしも隣で支えられるよう精一杯頑張っていたつもりだった。それが、殿下から距離を置かれているように感じたのはいつの頃からか……。
隣に立つ時の実質的な距離はもちろん、エスコートしてくれた夜会では、心ここに在らずな様子も見られた。
何か不興をかうような事をしてしまったのかと悩み、意を決して話をしようとしていた時、わたくしは見てしまったのだ。
婚約者のいる身で女性と2人きりで居るなど不実だと、募る事も出来た。でもわたくしは、その場から逃げることしか出来なった。
ただの思い違い、見間違いだと思い込みたかったのだ。殿下を見間違うだなんてありはしないのに。
だが、面白おかしく噂を振り撒く人は何処にでも居て、2人が会っているのは、その日だけでない事も知った……。
それでも、……それでもわたくしは、
「フィリス、どうか受けてもらえないだろうか?」
いけない、殿下の話を聞き流してしまったわ。でも酷い人。別れを答えさせるだなんて。
わたくしに答えられる言葉など、一つしか無いというのに。
「もちろんです殿下。殿下の御心のままに」
最後の意地とばかりに完璧にカーテンシーをきめる。
滲んだ涙が頬を濡らす……。
事は無かった。
え?え?何?何が起こったの!?
目の前には殿下の顔が。って近い!近すぎ!口!当たってるから!……って口付けされてるの!?何で!?って舌!舌が!待って!ちょっとまっ……!?
蹂躙された気がする。ソファーにぐったりと体をあずけ、何とか息を整え……って待って!後ろから抱きしめられた!?だから何で!?って首!首筋に顔埋めないで!いや匂いも嗅がないで!そんでもって右手!触ってる!めっちゃ触ってる!そこ胸だから!って揉むな!揉まないでったら!……更に両手で!?
「良かった。フィリスに断られたら発狂する所だった。夢にまで見たフィリスのおっぱい……!」
王太子がおっぱい言うな!てか夢に見たの!?さっきの話ってこーゆー事?ごめん途中聞き流したから!聞いてなかったから!お願いだから胸揉むの止めて……!
◆アズルディアス・ロウ・カーネリディア
由々しき事態だ。淫夢を見た。
フィリスがそれは見事なおっぱいを私の顔に押し付け……!? いかん! 反応する所だった……!
今朝の素晴らしい夢!ことある事に思い出し、浸りたい! だが、このままでは生徒会業務や政務に支障が! どうしたものか?
「殿下! 偶然ですね! 殿下もご休憩ですか?」
「これはグリモール男爵令嬢。今日も社交に余念が無いようだ。勤勉な事だな」
グリモール男爵とメイドの間に生まれ、つい最近まで庶民として暮らしていたマリアンヌ・グリモール男爵令嬢。正妻が亡くなり、やっとの事で探しだし、引き取ったのだそうだ。
しかし本人は、メイドを辞め、それから夜の街を上り詰めた母のあとを追い、最高級の夜の蝶を目指している。この学園に来たのも泊付けの為らしい。今も男達を侍らせ、顧客確保と人脈作りに余念が無いようだ。
「うふふ……! 殿下もどうぞご贔屓に! 夜の蝶は口が堅いのが信条。相談事だけでも受け付けましてよ?」
茶目っ気たっぷりに片目を瞑るグリモール男爵令嬢。可愛らしさと妖艶さを併せ持つその姿に周りの男達はデレデレになっている。まぁ、私にはフィリスが居るから通うことは無いが。
……いや、待てよ? 相談か。……フィリスのおっぱ……ゴホン! ちょっとその、夜の生活……ではなくて、男女間の関係についてなど相談を……いや、人が居ない時でないとな! さすがに私も自分の淫夢について声高には話せないからな!
「……では何か相談事があれば頼むとしよう。それでは」
「お待ちしておりますわ! 殿下!」
私は1人納得すると、意気揚々とグリモール男爵令嬢の元を後にした。
と思ったらその時は意外と早く来た。夜会が悪い。近頃のドレスの流行りはデコルテを大胆に見せるドレスだ。昨夜の夜会のドレス、もちろんフィリスは完璧だった。美しく気品がありそれていて色香がかよう。朝日の様な輝かしい金髪に、光り輝く澄んだ湖の様なアイスブルーの瞳と相まって、その姿はまさに女神!
しかし、しかしだ! デコルテを見せるということはおっぱいの谷間もよく見えるのだ。豊満なおっぱいが窮屈そうにドレスに押し込められ出来上がったあまりに魅惑的な谷間が! 指を入れてみたい。出来ればそのまま顔を埋めたい!
これまでもフィリスの魅力にムラッとする事は多々あった。だが私も思春期真っ只中の18歳の性少年。そういうものだと欲求を抑えてきたのだが……。淫夢が私の欲求を白日の下に晒してしまった。欲求がハッキリしてしまえば後は追うだけ。そう、フィリスのおっぱいだ!
とても我慢できるものではなかった……。
ムラムラと滾るおっぱいへの欲求。フィリスに会えば視線はおっぱいへといきそうになる。見たい。そして触りたい。だが男子たるもの婦女子には紳士であらねば!
傍に居れば触りたくなる。ならばと距離を取れば淫夢が欲求を滾らせる。このままでは私は婚約者を襲う犯罪者になってしまう! もうこの際人目につこうと構うものか! 話の内容さえ聞かれなければよい!
私は覚悟を決めてグリモール男爵令嬢に相談に行ったのだった。
彼女は神か!?
私の思いの丈を聞いたグリモール男爵令嬢の言葉はまるで天啓の様に響いた。
「お願いして揉ませて貰えばよい」
双方合意して揉ませて貰えば、それは恋人同士の触れ合いに変わる。確かにその通りだ。学園を卒業し婚姻すれば、夫婦の営みとしておっぱいも揉む。それをお願いしてちょっと早めてもらうだけだ。とても良い考えに思えた。
流石は神の言葉。神は死んだ魚のような目をしているのだな!
しかし焦ってはいけない。フィリスの評判を落とさぬ為に私はきちんと許可を貰うことにした。もちろん国王陛下である父上とフィリスの父君のアンガスティ公爵にだ。
初めは渋られた。アンガスティ公爵には更に事の他渋られた。だが、私のフィリスのおっぱいへの思いの丈をこれでもかとぶちまけ、最終的には本人が良いと言ったなら。と条件付きで許可が下りた。
お前、真顔でそんな事考えてたのか……。とは父上の言葉。解せぬ。
何故か煤けた背景を背負う父上達の元を、意気揚々と辞した私。だがいざとなれば、断られたらどうしよう? と何となく不安が湧き上がってくる。しかし安心してほしい。私には死んだ魚のような目をした神がいるのだ。
それから私は、フィリスにどうお願いすれば良いかなどグリモール男爵令嬢に相談しつつ、断られる不安で中々呼び出せなかったフィリスをやっとの決意で呼び出した。
「殿下……お待たせして申し訳ありません」
来た! 物凄く心臓の音がうるさい。窓から見えるグリモール男爵令嬢の姿に助言を思い出し、私はゆっくり振り返った。
「急に呼び立てて済まなかった。……(おっぱいについて)大事な話がある」
フィリスははっと息をのみ、そっと扉を閉めた。もしやおっぱいの話だと気づいているのか? まさかアンガスティ公爵に聞いているのか!? なんの偏見も与えない為にと何も伝えない筈ではなかったのか!?
「殿下のお呼びとあれば何を置いても参りますわ。謝罪など……それで、お話しとは?」
フィリスに促され、私は意を決して話し出す。
「……私達の(性的な)関係についてだ」
まずは助言通り、真剣に自分の気持ちを伝える。
「私も、自分がこんな気持ちになるとは思いもしていなかった。……だが、(おっぱいへの気持ちが)とめられないんだ。王太子の肩書きが無ければ、普通の(性的に)健全なただの男なのだと思い知らされた」
「もちろん、その、(本当は揉みたいが)フィリスが嫌ならば無理強いはしない。しかし、できるならば(おっぱいをもむ事を)許して欲しい。私にはもう、この(直接頼んでおっぱいを揉ませてもらう)方法しか思いつかなかった」
「……フィリスの、おっおっぱいを揉ませてほしいっ……!」(小声)
言った! 言ってしまった! つい最後は小声になってしまったが、フィリスの反応は? ギュッと下唇を噛み締めて目を伏せている。こっ断られるのか? やはり婚前におっぱいを揉まれるのは嫌なのか!?
だが、答えて貰わなければ! 合意が無ければ犯罪者、合意があれば恋人同士の触れ合い。どうかおっぱいを揉む許可を!
「フィリス、どうか(おっぱいを揉む願いを)受けてもらえないだろうか?」
私は祈る気持ちでフィリスの言葉を待った。
「もちろんです殿下。殿下の御心のままに」
泣き笑いのような表情でフィリスが完璧なカーテンシーをきめる。
勝利だ!
フィリスが許可してくれた! 扉を閉めてくれたのはこうなる事を見越してか! 我慢できずにフィリスを抱きしめ勢いのまま激しく唇を貪った。おっぱいもいいが口付けも堪らない! フィリスは何処も彼処も完璧だ!更におっぱいはもっと完璧だが!
立っていられなくなったフィリスをソファーに座らせ、息が整うのを待つ。……事は出来なかった。我慢のできない犬の如く背後から抱きしめてしまった。ギュッと抱きしめて首筋に顔を埋める。何だか甘い匂いがする。首筋も堪らないだと! 完璧か!? 更に右手が柔らかな存在にたどり着く。おっぱいだ! 待ちに待ったフィリスのおっぱいだ! 先ずは驚かさないようにそっと揉みしだく。……なんてのは本当の最初だけで、直ぐに両手で揉みしだいてしまった。
「良かった。フィリスに断られたら発狂する所だった。夢にまで見たフィリスのおっぱい……!」
うっとりと呟いた。夢よりもっと素晴らしい。柔らかくて温かくて、ちょっと先端の突起が主張してくるのが堪らなく興奮する。
フィリスの口からヒャッ! とかヒェッ!? とか聞こえてくるが、私はフィリスの迎えが来るまで手を離すことが出来なかった。
しかし由々しき事態だ。あんなにも堪能し、満足したかに思えたフィリスのおっぱいだが……。
出来ることなら直に触りたい!
そして顔を埋めて舐めたり吸ったりしたい!
私の欲求は治まることはなかったっ……!
読んでくださりありがとうございます。