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クリミア戦争ではなく、第一次世界大戦(?)に突入

 やらかした、と俺じゃなかった朕は、乾いた笑いしか出なかった。

 いや、お前が意図したことだろうが、と真実を知った面々に叩かれるのは分かる。

(もっとも、真実を知った面々等、この世界にはほとんどいないのだが)

 だが、これ程、自分の謀略が功を奏するとは予想外だった。


 1848年の革命騒動を鎮圧した後、朕が率いるオーストリア帝国は着々と富国強兵を図った。

 いずれ史実のクリミア戦争が起こるのは必至、と朕は考えていたからだ。

 その時にオーストリアは、ロシア帝国内のカトリック教徒、東方典礼カトリック教徒保護を口実に参戦することで、ロシアをガタガタにして、東方からの脅威を減らさねばならない。

 だが、オーストリアだけでは力不足だ。

 だから、外交、謀略を駆使せねばならない。


 朕は、ロシア帝国内の東方正教至上主義を陰で煽ると共に、それを看過するのか、とプロイセンを始めとするドイツ諸国やスウェーデンに対して訴えた。

 東方正教至上主義は、必然的にプロテスタントやカトリック、東方典礼カトリックに対する迫害を伴う。

 だから、ドイツ諸国やスウェーデンの国内世論においては、反ロシア主義が高揚することになった。

 更にスウェーデン政府に対しては、飴も朕は蒔いた。


 対ロシア戦争において、オーストリアと共同歩調を取るのなら、オーストリアは、デンマーク国王のフレデリク7世の養子に、スウェーデン王太子カール(後のカール15世)を迎えることによる北欧統合のスカンジナビア王国の建国を支持する、更にフィンランドもスカンジナビア王国の領土と認める、と暗黙裡に伝えると共に働きかけたのだ。

 更にスウェーデンを始めとする北欧諸国の世論に、それとなくその情報を朕は流した。

(なお、その代償として、ドイツとの間の懸案のシュレスヴィヒ=ホルシュタイン問題については、ドイツに対する譲歩を求めてもいる。

 流石にそこまで譲歩しては、ドイツ国民の世論が納得しないからだ)


 こういった下地があったことから。

 エルサレムの聖地管理権問題等から、ロシアがオスマントルコに宣戦を布告せずの侵攻作戦を発動したことを非難して、プロイセンとスウェーデン、更に我がオーストリアはロシアに宣戦を布告した。

 そして、当然、フランスも聖地管理権問題から、対ロシア戦争に参戦した。

 英国はこの展開に半ば呆然としたが、ロシアが報復としてドイツ民族に対する大迫害を開始したとの情報が流れた(尚、言うまでもなくこの情報は朕が流した)ことから、英王室の働きかけ等から、対ロシア戦争に参戦するという事態が起きた。


 カルパチア山脈を駆使しての遅滞防御戦術をオーストリア軍が駆使したこと、また、ウクライナで東方典礼カトリック教徒を主力とする反乱が起きたことから、まずは容易な敵から叩け、ということでロシア軍はベルリン進撃を図った。

 朕は、キエフ、ハリコフに脅威を与えることでロシア軍の退却を促そうとしたが、ロシア軍は顧慮せず、ベルリンを始めとするプロイセン本土を略奪の嵐で覆った。

 この戦況から、英仏連合軍はサンクトペテルブルク攻囲によるプロイセン救援を図る事態が起き、戦況は混沌としたものになった。


 そして、1858年に第一次世界大戦終結を告げるパリ条約は締結された。

 ロシア帝国は、事実上崩壊した。

 バルト三国の独立、大スウェーデン王国の復活(フィンランドはカレリア地方も含めて、スウェーデン王国領に)、ポーランド王国の復活、ウクライナ王国の独立が宣言されたのだ。

 なお、ウクライナ新国王には、朕の弟マクシミリアンが即位して、ポーランド国王は朕が兼ねることにもなった。

 この大敗の結果、ロシア帝国は大国の地位を、ほぼ喪失したのだ。

 ご感想等をお待ちしています。


 感想欄で指摘されたので、補足説明すると。

 本文中で、キエフ、ハリコフに脅威を与えたのは、ウクライナの反乱者達です。

 彼らはオーストリアの同盟者で、共同歩調を戦争中に取りました。

 そして、この戦争中の功績から、ウクライナはロシア帝国からの独立を果たしたのです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 話がいい意味で雑というか、展開がスピーディーかつダイナミックで読みやすい。 どうやってハリコフ(ウィーンから直線距離で約1450km。ベルリン~(旧)カリーニン間ぐらいの距離)に脅威を与…
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