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ハッピーエンド


 さて、白雪姫は長い長い間棺に横たわっていましたが、その体は少しも変わらず、雪のように白い肌と血のように赤い頬を持ち、黒檀(こくたん)のように黒い髪をしていました。


 ある日のこと、一人の王子とその従者が森に迷い込んできて七人の小人の家に一晩泊まりました。

 王子は山の上の棺に気づいて中を覗き込んで見ると、実に美しい少女の体が入っています。しばらく我を忘れて見とれていた王子は、小人たちに言いました。

 「この棺を私に譲ってくれないか。代わりに何でも、お前たちの望むものを与えよう」

しかし小人たちは首を縦に振りません。

「私たちは、たとえ世界じゅうのお金をすべて頂いても、こればかりはさしあげられません」

 「ああ、そうか。白雪姫に代わるものなどあるものか。私は、もう白雪姫を見ないでは生きていられない。私が生きている限り、白雪姫を敬い粗末にはしないと誓う。だからどうか、彼女を譲ってはくれないか」

 王子のがそんなにも頼むので、気のよい小人たちは白雪姫の棺を王子に譲ってやりました。



 王子は従者に命じて棺を運ばせました。

 ところがその途中、棺を運んでいた従者の一人が転んで棺を落としてしまいました。

 その拍子に、白雪姫が(かじ)った毒リンゴが喉から飛び出し、すぐに白雪姫はぱっちりと目を開きました。

 白雪姫は棺の蓋を持ち上げて起き上がると、周囲を見渡して言いました。

 「あら、まあ。私はどこにいるんでしょう」

 それを聞いた王子はそれはもう喜んで、今までの経緯を話して聞かせました。

「私はもう、あなた無しでは生きられない。あなたはこの世の何よりも美しく可愛らしい。どうか私のお城へ来てください。そして、私と結婚していただけないだろうか」

 白雪姫は了承し、王子とともにお城へ行きました。


 二人の結婚式は、それはもう盛大に行われることになりました。

 けれど、その結婚式には白雪姫のお母様であるお(きさき)さまも招かれることになったのです。

 お妃さまは隣国の若い女王が白雪姫だとは知りません。それで、出掛ける前に魔法の鏡に問いかけました。

「鏡よ鏡、壁にかかっている鏡よ。この世で一番美しいのは誰だい」


 『お妃さま、ここではあなたがいちばんうつくしい。けれども、山向こうの国の若い女王様は、千倍も美しい』


 それを聞いたお妃さまは大きく瞬きをして仰天してしまいました。正直者の魔法の鏡が言うのですから、本当のことに間違いありません。

 お妃さまは若い女王を見定めようと、意気込んで隣国へ向かいました。



 お妃さまが隣国のお城に着いて、噂の若い女王を見てみれば、なんとあの白雪姫ではありませんか。お妃さまはもう真っ青になって立ち(すく)んでしまいました。

 「あら、お母様。ごきげんよう。私の結婚式へ来てくださったのね。久しぶりに会えて嬉しいわ」

「あ、ああ。白雪姫、どうしてまだ生きているんだい......」

「そうだわ。どうせならダンスを踊って見せていだだけないかしら。確かとてもお上手で、お父様も見とれてしまったと言うじゃない」

 笑顔で白雪姫がそう言うと、まるで待っていたかのように奥の方から真っ赤に燃える石炭の中に置かれた鉄の靴が運ばれてきました。それはもう赤々と燃えているので、お妃さまは恐ろしくなってしまいました。

 けれども、その時にはもう人々がお妃さまを捕まえて鉄の靴の前へ連れていってしまいました。

 「ああ、白雪姫。可愛い可愛い我が娘よ。どうか許しておくれ」


 「何度も私を殺そうとして、虫のいい話ではなくて?さあ、はやく踊って見せてちょうだいな」


 それで人々は、お妃さまに無理矢理真っ赤に焼けた靴を履かせました。







 ......邪悪なお妃さまは、倒れて死ぬまでその焼けた靴で踊らされ続けましたとさ

 白雪姫の原作を初めて読みました。白雪姫、まさか七歳の設定だったとは(そしておそらく十歳未満で結婚)......。物語だからこそ許されるロリコン王子だったんですね。


 キスシーンなどない!

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