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毒リンゴ


 「おいしいリンゴをあげよう」

 おばあさんは真っ赤なリンゴを差し出しました。けれども女の子は一向にそれを食べる気配がありません。

「どうしたんだい?とてもおいしいリンゴだよ」

女の子――白雪姫はおばあさんを困ったように見つめて言いました。


 「ごめんなさいおばあさん、私はリンゴが大っ嫌いなの」



 お城へ帰ってきたおばあさんは、魔法を解いて美しいお(きさき)さまの姿に戻ると自分の部屋に(こも)って頭を抱えてしまいました。

 「ああ、あの忌々しい娘。私によく似て美しい我が子。この私が、わざわざ汚い老女に姿を変えてまで殺しに行ってやったのに。どうして忘れていたのかしら、あの子がリンゴ嫌いだということを!」

 そう、白雪姫は昔からリンゴが大嫌いだったのです。

 原因はお妃さま。リンゴの料理が大好きなお妃さまは、まだ幼い白雪姫にお城の庭で採れたリンゴで作ったアップルパイやアップルケーキを毎日のように食べさせました。その結果、白雪姫は段々とリンゴが嫌いになっていったのです。

 「こんなに可愛らしくて味もいいのに、まったく変な子だよ」

テーブルの上に置かれた真っ赤なリンゴを、がりりと豪快に頬張ってお妃さまはため息をつきました。

 「育て方、間違ったわ~」



 一方その頃、白雪姫。

 「白雪姫、今日は何だか気分が悪そうだね」

 鉱山から帰ってきた小人たちは心配そうに白雪姫を気遣います。

「ううん、大丈夫。ちょっとリンゴが......いえ、何でもないわ」

にこりと微笑む白雪姫は、心の中で毒づきます。


 (昔お母様が作ってくださったリンゴ料理を食べ過ぎたせいでリンゴ嫌いになっただなんて、そんなはしたないこと言えないわ)

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