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10。 精霊の食と魔力

10。 精霊の食と魔力




 母ちゃんが作った炒飯を殆ど玉精霊たちに食べられた我は自分の部屋に行くことにした。

 とりあえず食器とスプーンとコップを流しに持って行き水に浸けてから手を洗ってリビングを出る。

 階段を上って二階に上がり、しぜんと書かれたプレートが掛けてある扉を開けて自室に入った。

 部屋の中は昨日から変わっておらず、ベッドがあって、パソコンが乗っている机があって、本棚があり、後何か適当に積んである物がある何時もの我の部屋のだ。


「はぁー帰ってきたー」


 そう言って我はベッドに転がって脱力する。

 さっきもリビングで同じことしたような気がするけど、まぁいいさ。

 そうやって脱力していると、我に付いてきた玉精霊たちがベッドの上や我のお腹の上に転がったり部屋の物を興味深そうに見ていたりと好き勝手しているのが分かった。


 こいつら本当に自由だなー。

 とか思っていると部屋の中にルシルがスーッと現れた。


『ここがしぜん様のお部屋ですか』

「ルシル居たのか」


 突然現れたルシルに少しだけ驚いた。

 なんか幽霊みたいだな……幽霊見たことないけど。


『ずっとそばに居ましたよ』

「そうなのか」


 全然気付かなかったわ。

 これって我がまだ未熟だからルシルに気付かなかったと思うんだけど、いつか気付けるようになるのかね?

 あと我も消えることが出来るようになるのか?


 ……ちょっと待てよ。

 ルシルは我に気付かれないようにそばに居られるんだよな?

 これって我のプライバシーなくね?

 やべー。

 やべーよ。

 我だって一人っきりで秘密にしたい事くらいあるんだけど。

 てか、よくよく考えたらこれからは玉精霊たちも居るじゃん。

 ……しょうがない。

 まぁそういう時は何とか部屋から出て行ってもらうか。


 ん?

 もっとよく考えたらさ。

 我が精霊王になるまでは精霊の存在なんて知らないし姿形も見えなかった訳だ。

 それって普段知らない精霊に我のプライベートを見られてた可能性が……。

 めっちゃ恥ずかしいんですけど!


 何だよ普通の人間は感じることも見ることも出来ないって。

 好き勝手に自由に何処でも浸入出来る。

 やろうと思えば気付かれずに人間もコロコロ出来る。

 そう考えると精霊って超やべー奴じゃん!

 最強のアサシンじゃん!

 怖えぇ。


『どうしました? 変な表情してますよ?」

「い、いや何でも」


 いつの間にかルシルを変な顔で見ていたようだ。

 やばいやばい。

 ポーカーフェイスポーカーフェイス。

 それにしても精霊って反則だな。

 でも、我もそんな精霊になったんだよな。

 ……今なら我も色々と……はっ!

 いかん!

 我の強固な理性が揺さぶられるとは。

 この事は今は忘れよう。


 そこでルシルが首を傾げて我を見ていることに気が付く。

 やばい。

 何か話題を……そうだ。


「そういえばさ」


『何ですか?』


「さっき玉精霊たちに人間のご飯を与えてみたんだよ」


『はあ?』


「そしたら玉精霊たちが食べたんだよね。 精霊ってさ、人間のご飯って食べられるの?」


『あぁ、食べられますよ』


 ルシルは何でもなさそうに言った。

 食べられるのか。


『でも普通の精霊は人間のように人間のご飯を食べて栄養補給する訳ではないので意味はないですね。 まぁ中には好んで食べる精霊もいますが。 嗜好品といったところでしょうか』


「へぇー」


 なるほど。

 精霊にとって必要な事でも何でもないのか。

 じゃあ我の炒飯を玉精霊にあげる意味なんてなかったんだな。

 まぁ喜んでいたから良いか。


 そこでふと気になる。


「精霊って普段何食べてんの?」


『精霊は基本何も食べませんね。 必要ないですから』


 マジか。

 何も食べないで生きていけるってなんか仙人みたいだな。

 いや、仙人は霞を食べているんだっけ?

 てか、霞ってなんだ?

 待て……そんなことはどうでもいいんだよ。

 今は精霊の食事情だ。

 飼い主として玉精霊のご飯を考えなくていいのか?


「じゃあ玉精霊たちのご飯は必要ないんだな?」


『そうですね。 ただ、玉精霊たちを育てるつもりがあるのなら1日1回少しの魔力を与えてやってください』


「分かった」


 餌に関しては楽なペットだ。

 ……なんか小人とはいえ人型の精霊をペット扱いも変だし居候くらいに考えていればいいか。

 魔力なんて大量にあるだろうしな。

 すぐ回復するだろ。

 ……いや、昔やったゲームに魔力が回復しないのがあったな。

 そこら辺はどうなのか?


「魔力って回復するのか?」


『魔力は常に少しずつ回復しています。 それに休めば早く回復することも可能です』


 良かった。

 ちゃんと回復するんだな。


『ただ、魔力を使い過ぎると疲れるので注意してください』


 へぇー。

 やっぱり、そういうのあるんだ。

 よくアニメとか漫画とかだと、魔法使いが魔力を使い過ぎて息を切らせたりしてるもんな。


『まぁ、しぜん様の魔力はとても多いのでそうそう魔力の使い過ぎになんてならないと思います。 それに魔力が多い分、回復する魔力も多いので多少魔力を使ってもすぐに回復するかと』


 チートだな。

 チート過ぎるわ、精霊王。

 じゃあ無駄に魔力を放出して敵に「これ程の魔力をッ……くっ!」とかも余裕で出来る訳だ。

 なんか優越感とか全能感を感じそう。







 ……まぁしないけど。

 てか、敵って何だよ。

 我はただのニートでいいわ。


 

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