表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/41

34 『そして帰宅』

 見ず知らずのイリュージョニストが僕の家の鍵を開けた。

 どういうことだ。

 この世界は間違いなく僕の知っている世界で、ここは僕の家のはずだ。


 だがこのイリュージョニストが鍵を開けたのは事実で、夢でも幻でもない。

 もしかしてここは僕の家ではなく、このイリュージョニストの家ということなのか。


 元の世界だと思っていたこの世界が、実はよく似た並行世界だとか。

 少々夢見がちな思考ではあるが、エルフの国の存在を知った今ではそう思えなくもない。


「ここはあなたの家なんですか?」


 思い切って聞いてみる。

 するとイリュージョニストのお姉さんは言った。


「ええそうですよ。ですがあなた方の家でもあるのでしょう?」

「どういうことですか?」

「その話も含めて、中に入ってからしましょう」


 ここで議論していても埒があかないか。

 しかし、住居を共にしていたイリュージョニストなんていなかったはずなんだが。

 とりあえず招かれるまま家に入る僕とカノン。


 中身もそっくりそのまま知っている家だった。

 リビングに入り座り込んで疲れた足を休ませる。


「何だかよく分からないけど帰ってこれたみたいだな」

「へぇ、ここがお兄ちゃんの家なんだね」

「今ではカノンの家でもあるだろ?」

「僕もその一員に入れてくれるの? そしたら嬉しいな」


 そこへお姉さんがお茶を入れて持ってくる。


「さあ、あたたかいお茶をどうぞ」

「どうも」

「ありがたく頂くよ」


 温かい液体が胃に染み渡る。

 しかし、のんびりしている場合ではなかった。


「なんだかもてなされてしまったけど、ここは僕の家だ。さあ、聞かせてもらおう! お前は一体誰なんだ」

「そうだね、僕も正体を知りたいよ。明らかに怪しい格好だし」


 立ち上がり対立の意思を見せた僕達に、お姉さんは言った。


「お二人に疑念を持たせてしまったのは謝りましょう。すまないね。では正体を明かすとしよう。時折テントの中でイリュージョンを披露しているこのイリュージョニスト、プリンセス麗子。その正体は~」


 そう言ってお姉さんは仮面を取り外し、素顔を見せた。

 その素顔は僕のよく知るものだった。

 そうだ。

 この人物ならここにいても何の不思議もない。

 当然と言えば当然なのだが、一連の流れを考えると思いつきもしなかった。


「まさかお前だったとはな」

「ねえ、お兄ちゃん。もしかしてこの人」

「ああ、僕達の母さんだ」


 そこに立っていたのは間違いなく僕達の母さんだった。


「久しぶりねシオン。とはいっても私がここに連れ戻してあげたわけだけど。それと初めましてかしら? カノン」

「初めましてお母さん。でもどうしてお母さんがイリュージョニストなんかやってたの? それに元の世界への転移も、並みの人間にできる芸当じゃないと思うんだけどなぁ」


 当然の疑問だった。

 僕の母さんは一体何者なんだ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ