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31 『暗闇の世界の中で』

 目を覚ましたというのに目の前に広がるのは闇だった。

 何やら狭い空間に僕は押し込められている。

 そしてすぐ横にぴったりとくっついている人物。

 それはカノンだった。


「ここは一体どこなんだろうね?」


 カノンが小声で僕に言う。

 どうやら同じタイミングで目を覚ましたらしい。


「さあ、分からない。閉じ込められているのは確かなようだけど」


 エルフの国の浴槽で渦巻きに巻き込まれてから何があったのか。

 まったく分からない。

 ただここは水の中ではなく地上であることは確かだし、服も乾いている。


 とにかく何か良くないことに巻き込まれたのは間違いないだろう。

 溺れて気を失ったところを助けてくれたのならこんなところに閉じ込めたりはしないのだから。


 この狭い空間を脱したら武器を構えた何かしらに囲まれているとか。

 そういうこともあり得なくはない。

 だから自然と小声になってしまう。

 そんな不安を抱えながらカノンと二人して思案していると、急に外が騒がしくなってきた。


「さあ、紳士淑女の皆さま。お待たせいたしました。今宵も素晴らしい奇跡をご覧いただきましょう」


 女性の声が近くで聞こえ、その声に対して大勢の声が歓声をあげる。

 僕達の外にはかなりの人がいるらしい。


「これからお見せするのは瞬間移動のイリュージョンです。先ほどこの黒い箱に何も入っていないのをご確認いただきましたね。ここにお客様をお招きしたいと思います。仕込みでも何でもございません。なぜなら彼らはここに来ること自体想定していないのですから」


 イリュージョン?

 つまり僕とカノンはイリュージョニストが使う箱の中に入っているということなのか。

 瞬間移動のタネがどんなものなのか知らないけど、僕達は既にスタンバイしているわけだ。


 それにしてもなんだってこんなところに放り込まれたのだろう?

 気にせず女性はショーを進行していく。


「では手始めにこのサーベルを刺してみましょう。中に何か入っていれば抵抗を感じるかもしれません」


 おい、ちょっと待て。

 サーベルを刺すだって。

 そんなことしたら僕達は……。


「なあ、カノン。その、神様的な力を使って何とかできないのか?」

「お兄ちゃん、それは僕も考えたよ。でもね、ダメなんだ」

「ダメって?」

「ここは多分エルフの国じゃない。だから僕の神の力は使えないみたいなんだ」

「そんな!」


 ということはここで串刺しにされちゃうのか?

 何とか生き延びたと思ったのに、たどり着いた先で串刺しなんて。

 悪い冗談だ。


 しかし問答無用で女性はサーベルを刺してきた。

 ザシュッという音と共にサーベルが箱の中に差し込まれ……ん?

 合計で五回ほど差し込まれただろうか。

 しかし感じるのは音だけで、僕やカノンの体に刃が刺さることはなかった。


 周りに居るであろう観客たちが悲鳴を上げていることから、きちんと刺さっているようには見えているのだろう。

 ここはイリュージョニストの技術に助けられたか。


「どうやらまだ中は空っぽのようですね。それでは三つ数えます。するとお客様が現れることでしょう」


 もう何もできない僕達はその時を待つ他なかった。


「いきますよ! さん……にい……いち! オープン!」


 そして僕達を囲っていた箱はバラバラと展開していく。

 光が差し込み始め、眩しさに耐え、盛大な歓声に包まれながら僕達は現れた。

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