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震えるエルフと復讐を  作者: 焼魚あまね
エルフの国編
29/41

29 『エルフの国の神の性別』

 原始的ながらも、この国では相当立派なシャワールームで僕はシャワーを浴び始める。


「ううぅ」


 やっぱりちょっと冷たい。

 ドクターなら温水にする機械も作れんじゃないかな。

 今度提案してみよう。


 しかし、シャワーは良いものだ。

 身体の汚れだけではなく、心も綺麗になった気がする。

 そういえば浴槽も奥にあるんだよな。

 そっちも気になるところだ。


 ひと通り綺麗になったところで、僕はバルブを閉めた。

 そこである問題に気が付く。

 タオルが無いのだ。

 僕は仕切りの布を少し開けて、カノンに問いかけた。


「カノン、タオルはどこに……」


 しかし、タイミングが悪かった。

 どうやらカノンは浴槽に浸かるため着替えていたようだ。

 そこには全裸のカノンがいた。


「あ、あの……カノンさん?」

「あ……あああ、あ~!」


 口をぽかんと開けてよく分からない声を発すると、カノンは一目散に浴槽へと向かい、そして飛び込んだ。

 僕は床に落ちているタオルを腰に巻くと、ゆっくりと浴槽に近づいた。

 カノンは頭まで浴槽に浸かり、沈んでいた。


「カノン?」

「…………」 


 静かな浴槽。

 しかししばらく待っていると、ぶくぶくと音がし始める。


「ぷはぁ~!」


 耐えきれなくなったのか、カノンが湯船から顔だけ出した。

 顔を真っ赤にしたカノンが言う。


「お兄ちゃん、見たでしょ!」

「見たって、何を」

「僕の裸!」


「いや、あの状況で見てない方がおかしいというか」

「やっぱり~! お兄ちゃんのエッチ」

「それはその……否定はしないけど」


 確かに僕はカノンの裸を見てしまった。

 それは問題だろう。

 エッチと言われても仕方ない。


 しかし、僕は今さっき生まれた疑問の方が気になっていた。

 頬を膨らませて睨むカノンに、僕は意を決して言った。


「カノンって、もしかして女の子?」

「そ~ですけど~!」


 ぶっきらぼうに答えるカノン。


「えっと、でも自分のこと僕って言ってるし、兄弟だって言うからてっきり」

「女の子が僕って言ったらダメ? それに僕、自分が弟だなんて一言も言ってないよ?」


「じゃあ、妹」

「そうだよ。お兄ちゃんは妹の裸を見た変態なんだよ!」

「ぐはぁ」


 僕は大ダメージをくらった。

 妹だと認識した直後に変態認定とはなかなかきついな。


「ん? だったらファーストキスも……」

「!?」

「カノン?」


 顔を更に真っ赤にしてカノンが叫ぶ。


「ああ、それは……忘れて。ええい! 忘れろぉ~!」


 そしてまた潜ってしまった。


「ごめん、カノン。着替えてタオル持ってくるから。待ってて」


 僕は気まずい空間から逃げるように急いで身体を拭き、着替えて浴室を後にした。


 さて、タオルはどこだろうか。

 ドクターに聞けばわかるかな。

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