28 『エルフの国でシャワーを』
魔女っ娘になって戦うのは致し方ないとして、今後どうするかが問題だ。
「今回の襲撃から考えるにダークエルフ達がカノンに反逆しているのは確定だな」
「そうだね。僕は別に強固な忠誠心を求めているわけじゃないんだけど、攻撃されちゃうと無視はできないね」
「だが信じられんな。どうしてプリメーラ様があのような指示をダークエルフに出したのだろうか?」
「クノ、元主はどんなダークエルフだったんだ?」
クノは神妙な面持ちで答える。
「私にとっては今でも主だよ。プリメーラ様は無邪気なお方だ。いつも可愛らしく笑っておられて、みんなにも優しかった」
確かに初対面の時も子供っぽく笑う姿が印象的だった。
あの時すでに彼女は別の一面を持ち、エルフを殲滅する計画をしていたというのか。
「カノン。これをどう考える?」
「そうだな、推測でしかないけどやっぱり裏で偉い神が動いているんだろうな。僕もプリメーラの行動を今まで見てきたけど、今回の行動はらしくない。きっと偉い神が僕に嫌がらせをしているんだ」
「偉い神か。それはどんな奴なんだ?」
「言葉通り偉いやつさ。そしてすべての元凶さ。この世界も、僕らの父さんのことも含めてみんな奴の嫌がらせといっても過言ではないだろう」
神殿の中で話し合う僕達。
しかし口を開いて出てくるのは推測と悲観。
場の空気は重くなり淀む一方だった。
そんな中、気を利かせたのかドクターが話しかけてきた。
「シオン、カノン様。今日はお疲れです? 入浴するです?」
可愛らしく問いかけるドクター。
その姿は張り詰めた空気を少し緩めた。
入浴か。
そういえばこの世界に来てから、川で水浴びするくらいしかできてなかったな。
それにしてもこの世界にそんな入浴できる場があるのだろうか?
「さあ、お兄ちゃん! シャワー浴びに行こう!」
カノンが僕の背中を押して急かす。
まあ地下にすごい研究所作っちゃうくらいだから、シャワーや入浴する場があってもおかしくないか。
さすがドクターエルフ。
ドクターは伊達じゃないな。
カノンに案内された場所は確かに浴室とシャワールームがあった。
僕は早速制服を脱ぎだした。
「きゃっ!」
するとカノンが目を覆う。
「どうしたのカノン」
「いやだって、お兄ちゃんの裸とか見ちゃうのはなんか」
「カノン……前にも言ったじゃん! 僕はそういう趣味無いから」
「僕のファーストキス奪っておいて?」
「ええ、そうなの! いや、僕もだけど……じゃなくて! 恥ずかしいなら隠れてたら?」
「うん、分かったよ」
そう言うとカノンは浴室の隅っこで目隠ししてうずくまった。
浴室から出るという選択は無いんだな。
まあいい。
久々のシャワーだ。
僕は意気揚々とシャワールームに入った。
しかし、実際そこにあったのは吊られた桶と配管。
そしてバルブ。
「お兄ちゃん、使い方わかる?」
仕切り用の布の向こうからカノンの声がする。
「うん、わかるよ」
そうか、このバルブを開けると上から水が降ってくる。
僕が想像していたシャワーとは異なるけど、これも立派なシャワーだよね。




