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震えるエルフと復讐を  作者: 焼魚あまね
エルフの国編
25/41

25 『ダークエルフVSエルフとイケメン』

 偽装神格マジカルシオンに変身した僕。

 その呼称すら恥ずかしいが、今はそうも言ってられない。

 とにかく現状の把握。


 まず目の前にはエルフの大群が押し寄せていている。

 戦闘を放棄した?

 僕が変身したのが理由だろうが、戦闘を止めてまで僕に群がるのはなぜなんだろうか。


「ねえカノン」

「何、お姉ちゃん」


 お姉ちゃん。

 お兄ちゃんと呼ばれることすらないと思っていたのに、まさかお姉ちゃんと呼ばれる日が来るとは。


「なんでエルフ達は群がってくるんだ」

「攻撃に必要だからね」

「エルフが?」

「そう。とりあえず変身は終わったからマジカルなステッキをしまおうか。腰の後ろについてるリボンに近づけたら格納できるよ」


 僕は言われた通りにしてみる。

 するとマジカルなステッキはパッと消えてしまった。


「すごいな、まるで魔法みたいだ」

「魔女っ娘だしね。そしたら両手が自由になるよね」

「そうだな」

「あとはエルフ達を掴んで戦うだけだよ」


 カノンはそう言った。


「そんな物理的な戦い方をするのか?」

「百聞は一見に如かず! やってみたらわかるさ!」


 それもそうだ。

 この世界に来てからというもの、すんなり理解できたものなんて数少ない。


 僕は群がるエルフ達の中から一人掴んでみた。

 するとギュイーンという音と共にエルフは柔らかい緑色のボールのようになったかと思うと、短剣に変化した。


「触れたエルフを武器にする。それがその偽装神格の能力です。エルフは全部で千八十匹。使い放題です~」


 ドクターエルフが解説する。


「これで戦えというのか」

「出来る? お姉ちゃん」

「上手くできる保証はないよ。でも、やるっきゃないだろ?」

「そう来なくっちゃ!」


 僕は大勢のエルフと共にダークエルフ達の元へと突っ込んでいった。

 エルフを武器として扱うことはそんなに難しいことではなかった。

 ただ何度かダークエルフの放った矢をはじき返すと、ふにゃふにゃになって元のエルフに戻ってしまう。


「疲れたです~」


 そしてその場で横になってしまう。

 耐久性が無いのなら数で勝負ということだ。


「そりゃ! えいっ! とりゃ~!」


 僕はひたすら矢を打ち返し、次々にエルフを消費していく。

 死んでいるわけではないから僕も気が少し楽だ。


「石動シオン……ちゃん?」

「ちゃんは余計だよクノ」

「そうか。ところで矢を打ち返しているだけじゃ勝てないと思うのだが」


 クノの言う通りだ。

 しかし、僕にダークエルフ達を切りつけるなんてことはできない。

 だからこうして耐えてるんだ。


「うん、分かってるよ。でも僕に考えがあるんだ。ほら、数では勝ってるからね」

「お前がそう言うなら構わないが。私は引き続き場を攪乱させればいいんだな」

「うん、お願い!」

「承知した」


 そう言うとクノはまた戦場を物凄い速さで駆け抜けていった。

 さて、もう少し頑張るとしよう。


 僕はダークエルフ達の住処を見て、それから矢を射る姿を見て確信していた。


 彼らの矢は魔法によって生み出される物ではなく有限だと。


「だから倒す必要なんてないんだ!」

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