24 『エルフに人気なシオン』
僕はマジカルなステッキを天に掲げて叫んだ。
「偽装神格、マジカルチェンジ!」
するとピンク色の光のベールが僕を包んだ。
ピンクの光は何重にも重なっているのか周りが透けて見えることはない。
だから良いってわけではないけれど、僕は気が付くと全裸だった。
「えっ? 何?」
一体何が起こっているのか分からなかった。
ただそんな僕の心情は無視され、変化は続く。
足のつま先にピンクの光が絡みつくと何とも可愛らしいリボンが付いたソックスが僕の足を包む。
そして存分にフリルをあしらったふわふわスカートが僕の腰回りを包み込み、ファンシーな半袖の上着が装着される。
そして腰の部分には大きなピンクのリボンが出現し、可愛らしさをさらにアップさせた。
そうだ。
要するにこれは変身をしているんだ。
ピンク色をベースとした可愛らしい魔女っ娘スタイルにね。
そう認識した時にはもう変身は済んでいて、それと当時にピンクの光も消えて視界が開けた。
そこには相変わらずエルフ達がダークエルフ達に果敢に戦いを挑んでいた。
そして、横を見るとカノンがとても嬉しそうに僕を見ている。
「ねえカノン、偽装神格だっけ? この武装のデザインって……」
「可愛いでしょ? お兄ちゃんにぴったりだと思うよ」
「えぇ~? 僕はそんな女装趣味なんて無いよ?」
するとカノンが得意げに言う。
「女装? ちがうよ、そのモードだとお兄ちゃんは紛れもなく可愛い魔女っ娘なんだよ!」
「カノン、何訳の分からないことを」
疑問に思いつつ僕は慣れないスカートをつまんでみる。
あれ?
すると股間部に違和感を覚えた。
いつもあるはずの、アレが妙に軽い気がする。
確認のため僕はスカートの上から股間部を押さえてみた。
「ないっ!」
的中して欲しくない予想は的中していた。
「ね? 今やお姉ちゃんといっても過言ではないよね。ドクターに頼んで転換機構もオプションで付けてもらったんだ」
「転換機構……」
そういえば僕の声も少し高くなっている気がする。
そうか、転換……つまり僕は女の子になってしまっているんだ。
「何でそんなオプション付けたんだよ!」
「だってその方が可愛いでしょ?」
「それ以前に何で魔女っ娘なんだよ」
問い詰める僕にカノンは首を少しかしげて答える。
「僕の趣味?」
「そうですか……」
とりあえず分かった。
僕の弟は魔女っ娘好きで、僕はマジカルなステッキで変身すると魔女っ娘になるということがね。
「それじゃあ、張り切って決め台詞言ってみようか!」
「決め台詞?」
「だから……」
カノンが僕に耳打ちする。
「はぁ?」
「ちなみにこれ言わないと武装完了しないから。あとこれ掟だし」
「それもはや掟の乱用だよ!」
しかし、この状況を打破するためにこの武装が必要なのなら選択の余地はなかった。
左手でステッキを胸元に抱え、右手を前に出して敵を指さすと僕は叫んだ。
「偽装神格マジカルシオン、ここに爆誕! 悪い子は、篭絡しちゃうぞ?」
するとどこからかシャキーンという効果音が流れた。
これめちゃくちゃ恥ずかしいんですが。
戦闘中のエルフ達が一斉にこっちを向いてはしゃぎだす。
「わ~!」
「可愛いです~!」
「篭絡されたいです~!」
なぜかこっちに群がってくるエルフ達。
え? 敵を篭絡するんじゃないの?
訳の分からない状況に困惑する。
助けてくれそうなクノはといえば、なんか拍手しながらめっちゃ頷いてるし。
これから僕はどうなっちゃうんだろうか。




