23 『ダークエルフの襲撃』
「A部隊は右から周りこめ! B部隊、敵後方部隊の射撃に注意しつつ進撃!」
エルフとの再会もつかの間。
僕は急に襲撃してきたダークエルフの部隊と交戦中だ。
現在カノンの神殿のベランダからエルフに指示を出している。
「いやぁ、思ったより早く襲撃を受けちゃったね」
横にいるカノンはこの事態を前に楽観している。
意外と好戦的というか、賑やかなのが好きなようだ。
「石動シオン、私はどうすればいい?」
クノもやる気満々の様子。
「そうだな、単独で場を乱してくれると助かる」
「分かった」
クノは元はといえばダークエルフ側なわけだし、今も種族してはダークエルフだ。
奴らの戦術、行動の癖などをよく熟知しているだろうし、なんたって元隠密部隊だ。
上手く場を混乱させてくれるだろう。
「カノンは戦わないのか?」
観戦モードのカノンに問う。
「言ったじゃん、お兄ちゃん。僕は神といっても神格は低いの。神の世界では裏切り者の親族扱いだからね。ゆえに力も弱いからね」
そんなことを言っているが、かつて見せた身体能力は明らかに人を超越したものだったけどね。
「そんなんで勝てるのか?」
指揮も僕に任せっきり、本人はやる気なしである。
勝とうという意思は見られない。
「勝ちたいの? 僕は防衛できればいいんだけどね。まあ、ダークエルフ達に力の差を見せつけて、戦意を喪失させることができればなお良しだけど。僕はいつだって平和主義だよ?」
「目の前の状況は平和とは程遠いな。それで、その言い方だとこちらの戦力の方が高いと言っているように聞こえるけど」
敵の戦意喪失。
それはあわよくばで発言できるほど簡単ではない。
きっと何らかの切り札、戦略を持っているに違いない。
「実は僕の神格を応用した武装をドクターが作っていてね。それを使えば戦況は大きく変わるんじゃないかなと思ってる」
「なら出し惜しみはやめよう。エルフの被害も最小限に抑えたいし。今すぐ使えるか?」
「お兄ちゃんになら使えるよ。むしろお兄ちゃんにしか使えないかも」
理由は分からないが迷っている暇はない。
「分かった。僕がその武装を使うよ」
「じゃあ、掟に追記をしなきゃね」
そう言ってカノンは部屋から大きな本を持ってきて開くと、手をかざす。
「今をもって、イケメン、石動シオンに神に近い力を行使する権限を付与する!」
カノンが叫ぶと呼応するようにその本が光った。
「よし、これでお兄ちゃんは武装を使う権利を得た。ドクター、あれ持ってきて!」
カノンに呼ばれてドクターが棒状の物を持ってくる。
「これが武装?」
それはピンク色のステッキだった。
先端に大きなハートマークのオブジェがついている。
あれだ。
子供のころ見た、魔法少女もののアニメに出てきそうなやつだ。
「武装って、こんなステッキで殴れっていうのか?」
大きな物理ダメージが出せるようには見えない。
「これはマジカルなステッキだよ。別に振り回して殴ってもいいけどさ、これの使い方といったら一つしかないでしょ?」
この使い方って、そんな常識的なものなのか?
戸惑っていると、カノンは僕の耳元に近づいて耳打ちする。
「これを天に掲げて……、で――――って叫べば万事完了だから」
聞いてみればとても簡単な使い方だった。
目の前ではエルフ達がダークエルフ相手に右往左往している。
だから僕は聞いたとおりに叫んださ。
それが衝撃の結果をもたらすとは知らずにね。




