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震えるエルフと復讐を  作者: 焼魚あまね
エルフの国編
21/41

21 『ドクターエルフ』

「ごめん、言っている意味が分からない」

「言葉通りの意味なんだけどなぁ」


 カノンは言った。

 この世界を救い、偉い神をやっつける。

 偉い神というのは、僕達を離れ離れにし、父さんに制裁を加えた神のことだろうか。


「それって復讐するってこと?」

「近いけど違うかも。純粋に奪われたものを取り返したいだけ。そんでもってこの国をもっと面白くしたいんだ」

「それは大層な目的だな」


 心にもないことを言ってみる。


「本当にそう思ってる?」


 見透かされてるか。


「正直、具体的に何をするのか分からないから何とも言えないな」

「だと思った。えっとね、この一連の流れってちょっと謎なんだよね。制裁を加えること自体は仕方ないけど、存在を消滅……つまりお父さんを殺してしまう必要ってあったのかなって。絶対偉い神が悪だくみしてると思うんだ」


「その根拠は?」

「ダークエルフの連中。この国って本来お父さんの楽しい妄想だから、あんな殺戮する必要は無いんだよね。なのに彼らは殺戮を行う」

「それはカノンが命令してるんだろ? バグ処理とか言って」

「ううん。ここの管理を引き継いでからそんな命令したことないよ」


「そんなバカな。我々ダークエルフは神から命令を受けているぞ」

「直接確認した?」

「いや、長であるプリメーラ様経由だが」


 だとすると、別の存在が命令を出している可能性が高いな。


「偉い神様がダークエルフを裏で操作し、エルフを殺そうとしている?」

「たぶんね。神格が低い僕にはそれを察知するほどの力は無いけど。僕の管理外で何かが狂い始めてるんだ。だからお兄ちゃんを呼んだんだ。この世界を実在する人間に認識させ、非実在性を下げる。そうすればきっと僕の神格も上がるからね」


 妄想世界の神より、実在世界の神か。

 巻き込まれた以上僕も協力するしかない。

 無関係どころか家族に関わることだし。


「分かった、僕も協力するよ。それで手始めに何をする?」

「ありがとう。そうだね、まずは暴走しているダークエルフを倒す。そのためにはエルフ達の力が必要だ」


 兵がいなければ戦えない。

 しかし、エルフ達はみんな殺されてしまった。

 自然に復活するとか聞いてるけど、どうなんだろう。


「エルフ達は大部分やられたけど、大丈夫なのか?」

「それならドクターが何とかしてくれるよ」

「ドクター?」


 この国に博士がいるのか?

 するとカノンが走り出す。

 神殿の奥にある下り階段の手すりにつかまって下を覗くと、叫んだ。


「ドクター! 起きてる~?」


 しばらくして返答があった。


「カノン様。ちょっと待ってくださいです~」


 博士のイメージとは程遠い可愛らしい声が聞こえた。


「この声、聞いたことがあるぞ」


 カチャカチャとした物音と、小さい足音がした後、ドクターは現れた。


「お呼びですか、カノン様。あっ! こっちのイケメンさんもいらしてたのですか」


 そこにいたのは紛れもなく小さいエルフだった。


「初めましてです。私がドクターエルフです」


 僕は少し安心した。

 生きてるじゃないか。


 ん? こいつ、眼鏡をかけている!

 しかも白衣だ!

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