18 『エルフの国のお父さん』
「この世界、もといこの国は在って無いようなものなんだ。それでも一応管理者が必要なわけで、僕がそれをやっている。君がこの国を認識できるのは、君が実在の人物だからだよ」
なるほど。
観測者が実在する人物なら、その人物が見たものはその人物にとっては存在する世界ということか。
つまり、僕がここに来たことでここは不安定ながらも世界として……って。
もうここまでくると解釈の問題な気もするな。
そもそもだ。
「この国は一体誰の妄想なんだ? 妄想というからには、その妄想をした人物がいるんだろう?」
「もちろん! それこそ、先代の神なんだ」
「先代の神が?」
自らの妄想を世界として作り上げた神。
そしてその神は今はおらず。
カノンへと受け継がれている。
「そう、先代は罪を犯し、偉い神様から非難され、そして死んだんだ。僕が引き継いでいるのは、その先代に近い存在だったから」
「親族とか?」
「まさしくもって。彼は僕の父さんなんだ」
「そうか、お父さんが」
ということはカノンは、神とはいえ父親を亡くしているのか。
何だか僕と同じような境遇だな。
そんなことを思った僕に、カノンは衝撃的なことを伝えた。
「その父親の名前はね、レオン石動」
「え!?」
「君のお父さんだよ、お兄ちゃん」
微笑みかける僕そっくりな神、カノン。
その彼が口にしたのは間違いなく僕の父親の名前。
そしてカノンが僕の弟?
いやいや、そんな!
「そんなはずはない。僕は一人っ子だ。それに、僕の父さんは事故で……」
「そう聞かされてきたんだよ、お兄ちゃんは」
「事実は違うと?」
「そっ。この国の歴史を少しは聞いているだろう? 僕達のお父さんがエルフの塔に投げつけられた話も」
あの話は半信半疑だった。
僕は元の世界で父さんの葬式をしたし、あまり思い出したくはないが遺体も確認した。
「あれこそ偉い神様からの罰の一つ。そしてお父さんの真の最後だったわけ」
「仮にだ。それを信じるとして、僕は一体何なんだ? なぜここに呼ばれた? 僕は神の子だとでもいうのか?」
僕は自身が特別な存在だと思ったことはほとんどない。
神の子供なら何かしら特別な部分がある気がするのだが。
「よし、お兄ちゃん。その辺りもひっくるめて教えてあげよう。僕の……僕達のお父さんが辿った軌跡をね」




