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震えるエルフと復讐を  作者: 焼魚あまね
エルフの国編
17/41

17 『非実在なエルフの国』

「ご馳走様でした」

「お粗末様、といいつつ僕も我慢できなくて一緒に食べたけどね」


 空になった木製の器。

 うんまい亭のとんこつ味ラーメン。

 味は間違いなく食べなれたものだった。

 相変わらず安定のうまさだ。

 体力だけでなく、精神的にもかなり回復した気がする。


「クノは食べなかったね」

「神から食事を受けるなど恐れ多い。それに見慣れぬ食べ物に不安が無いわけでもない。それは本当にうまいのか?」

「ああ、美味しいよ」

「ふぅん」


 クノは疑っている様子だった。

 まあ、未知の食べ物となるとその反応は自然なのかもしれない。


「さて、本題といこう。ここには遊びに来たってわけではないんだろう?」


 そうだ。

 一緒に食事をしたりして、しばし和やかな時間を過ごしたが、目的は別にある。


「カノン、君は神なんだよな。だったら教えて欲しい。どうしてこんな国を作ったんだ。どうしてこんなにもダークエルフ達は無駄な殺戮を行うんだ?」


 カノンは答える。


「それはね、僕が弱いからなんだ」

「弱い?」

「そっ! 人間であるシオン君は神と聞いて、どんな想像をする? 全知全能、万物の根源? とにかく、完璧な存在を思い浮かべるだろうね」


「ああ」

「でも神ってね、思ったほどみんながみんな万能ってわけでもないんだ。いろんな神がいるし。それと僕はその中でもイレギュラーでね」


 イレギュラーな神?


「それでもカノンがここの神だというなら、この世界を創ったのはカノンなんだろ?」

「そこなんだけど、ここは世界というには不安定なところでね。僕が管理してるのは厳密には国というべきかな。ちなみにこの国を作ったのは先代の神でね、僕は仕方なく引き継いだにすぎないんだ」


 この世界が不安定?

 先代の神?


「ふふ、いまいち分からないって顔してるね」

「その通りだ」


「世界って何だと思う? 人間にとっては、地球とか宇宙とか? でもそれって規模は関係ないと思うんだ。科学の発展に伴っていくらでも変化するよね。要は認識の問題なんだ。そこにあるという確証があれば、それは世界といっていいだろう」

「そうかもしれないな」


 そう相槌を打って、僕は考える。

 ならばここが不安定な世界である理由とは何だろう。

 ここにはエルフ達が住み、文明があり、立派に世界な気もするんだが。


「ここはね、妄想の世界なんだ。非実在の世界。それはもう世界ではないよね」


 実在しない妄想の世界?

 存在しないのならなぜ僕は認識できている?


 この世界の真実を聞いても、僕の頭の中はさらにごちゃごちゃするだけだった。

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