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震えるエルフと復讐を  作者: 焼魚あまね
エルフの国編
15/41

15 『イケメンはダークエルフと逃げる』

 ダークエルフ達は追ってこなかったのか。

 それともクノが上手くまいたのか。

 それはただ背負われているだけの僕には分からない。

 クノの軽快な走りは背中越しに心地良い振動を僕に与え、緊急時でありながらもなぜか安心する。


「クノ、重くない?」

「問題ない。私は今までもっと重いものを運んだことがあるからな」

「さすがだね。ありがとう」

「なぜ礼を言う? 我々ダークエルフは、エルフに対しあんなことを……」


 クノは怒りと悲しみを込めた声で話す。


「クノのせいじゃないよ」

「いや、私も無関係ではない。いままでエルフを殺したことが無いわけでもないのだ。ただ、今回のように無抵抗なエルフを殺めることはなかっただけのこと」


 今回の件はイレギュラーなのだろう。

 しかし、そもそも殺めるという行為自体が、僕からしたら等しく悪だ。

 それをせざるを得ないこの国のシステムは、根本的に何かおかしい気がした。


「それにしても、どうしてクノは仲間外れにされたんだろう?」

「確証はないが、恐らく石動シオン。お前に近づきすぎたからだろう」

「僕に?」

「お前はエルフと仲がいいからな。反逆行為とみなされたのだろう」

「でもそれは友好関係を結んで……」


 いや?

 違うのか?

 神の手前、そのように振る舞っていただけか。

 本当は敵対したままだったんだ。


「石動シオン。私は分からなくなってきた。異なるものを排除すれば、安定と平和が訪れると思っていた。我々がしてきたことは正しいのだと。しかし、生み出されるのは復讐の輪廻だ」

「そうだな、クノ。だからこそ、疑うべきはこの世界を……この国を作った神だ。神に聞けば何かわかるだろう」

「ああ、そうだな」


 神。

 この国を掟で縛り支配するもの。

 超常的な身体能力を持ち、なぜか僕とそっくりな存在。


 問いただしたいことは山ほどある。

 もしかしたら、元の世界に帰る方法も分かるかもしれないしな。

 僕は神との対面を心待ちにしつつ、クノの肩に頭を預けた。


「石動シオン? なんだ、寝てしまったか」


 クノに呼ばれた気がしたが、急に眠くなる。

 色々あって疲れたからな。


 僕の意識は途切れ途切れになり、そして眠りについた。

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