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震えるエルフと復讐を  作者: 焼魚あまね
エルフの国編
14/41

14 『反逆のダークエルフ』

 プリメーラは言った。

 神の命令で仕方なくエルフを殺しているのだと。

 それがこの国の仕組みなのだと。


 しかし、この惨状を目の当たりにしてそれを信じることができるだろうか。

 山積みになったエルフの死体。

 それを囲うダークエルフ達の表情は松明に照らされている。

 そしてみんな、嬉々とした表情だ。


「せっかく大勢のエルフを招いたのです。こんなチャンスを逃す手はありません」

「下等なエルフは全て始末するに限りますわ」


 何がダークエルフだ。

 何が高知能で聡明だ。

 彼らは悪で、エルフよりも命の重さを理解していない。


「何でだ! こんなこと、許されていいはずない! 本当にプリメーラ様はこのような命令を出したのですか?」


 クノの叫びに一人のダークエルフが答える。


「ええ、もちろん。エルフは死ぬたびに生まれ、稀にダークエルフとなる。殺せば殺しただけ、我々の勢力は増すのです。そのためなら、エルフの命など何とも思いませんわ」

「お前ら……」

「残念だったわね、イケメンさん。でも安心して。あいつらはまた生まれてくるのですから」


 何を言ってやがる。

 そうじゃない。

 殺められていい命なんて無いのだと、なぜ分からない。

 この怒りは彼らに届かないだろうが、だからといって抑えられるものでもなかった。


「誇り高きダークエルフが、何ということだ。それがプリメーラ様意志だというのなら、私はそれに背こう」

「クノ、愚かな。隣のイケメンにそそのかされでもしたのですか?」


 ダークエルフ達が笑う。


「いいえ、これは私の意思です」

「ほう、では分かっているのでしょうね。このままでは同族とはいえあなたも死にますよ」


 構えられた弓がこちらを狙う。

 しかし、怯えることなくクノは言う。


「覚悟はできています。この状況であなた達に勝てないことも。だからこそ、ここは……逃げます!」


 緊迫した状況で、僕は頭を悩ませることしかできなかったが。

 クノは違った。

 僕を背中に背負うと、一目散で走り出した。


「うわぁ! クノ?」

「乱暴な扱い失礼する。しかし、ここは危険だ。石動シオン」

 

 さすが隠密担当。

 細い体からは想像できないほどの力で、軽々と僕を運ぶ。


「どこに行くつもりなんだ?」

「とりあえず神の元へ向かう。しっかり掴まっていてくれ」

「分かった」


 一体この国はどうなっているんだ?

 元はといえば同じ種族であるはずなのに、こんなことになるなんて。


 そんなことを思ったが、僕はすぐに考えを改めた。

 ああ、そうだ。

 僕が元居た世界だってそうだったじゃないか。

 世界はいつだって争いで溢れていた。

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