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震えるエルフと復讐を  作者: 焼魚あまね
エルフの国編
11/41

11 『ダークエルフの長』

 なぜか僕達は走っていた。

 それもかなりの全速力で。


「あの……クノ。何でそんなに急ぐのかな?」

「長が待っておられるのだ。急いで当然だろう」


 確かにそうだ。

 僕は客人ってわけでもないんだしな。

 ただ、速すぎる。


「そのおかっぱ銀髪似合ってるね」

「そ、そうか。みんな長髪が多いんだが、私は隠密だからな。動きやすい短髪にしているんだ」

「そうなんだ」


 やっぱり隠密部隊だった。


「このクノという名も、元は伝説の隠密部隊、ニンジャという組織からとったものらしい」

「え、忍者?」


 ということはクノってくノ一くのいちのクノなのか。

 なんというか、世界観が崩壊していくな。


「石動シオン、もうすぐ着くぞ」


 クノの言葉を聞き、前を見る僕。

 そこには横長の、日本家屋のような建物があった。

 たどり着くと中へと案内され、長い廊下を歩き、大きな戸の前に立つ。


「プリメーラ様、石動シオンを連れてまいりました」

「おお、クノか。ご苦労だった。よいぞ、こちらへこいこい!」


 少女のような声で呼ばれると、クノと僕は中へと入った。

 中は広いお座敷のようだった。

 畳ではなかったが、和を感じる内装で、ファンタジー世界らしさは少々薄い。

 そして部屋の最奥に長は座っていた。


「君が石動シオンだね。聞いていた通り、神にそっくりだ」


 他のダークエルフと同じように銀髪で、身長はエルフよりは高く、クノよりはかなり低い。

 そんな少女のようなダークエルフの長は、とても長い髪をしていた。

 自分の身長よりも長いのではないだろうか。

 ただ、それはとてもきれいな髪だった。


「初めましてプリメーラ様。あなたがダークエルフの長なんですね」

「そうだぞ、シオン。あと私のことはプリメーラと呼んで良いぞ」

「プリメーラ様、そのようなことを……」


 クノが反論する。


「どうしたクノ、いいではないか。クノが反論するなんて珍しいのう。そういえば今回は麻酔を使わなかったんだな」

「麻酔?」


「そうじゃ。クノはここへ部外者を連れてくるときは、麻酔で眠らせて引っ張ってくるのじゃ。それをしなかったということは、よほどシオンを気に入って……」

「プ、プリメーラ様。私は……ただ、神と関わりのある者を丁重に扱ったまでのことです! 他意はありません」

「では、そういうことにしておくかな」


 プリメーラは面白そうにそう答えた。


「それでは改めて。私がダークエルフの長、プリメーラである。このような身なりをしているが、エルフの寿命を知っていれば察しはつくであろう?」

「ええ、おおよそ」


 きっと僕の今までの人生なんて、赤子以下に思えるほど長い年月を生きてきたのだろう。


「だからといって恐れることはないぞ。我々はしばし友好関係を結ぶ。君に対しても、エルフに対してもね」

「しばしですか」

「そうじゃ。状況は変わるかもしれんからな。さて、シオン。ここに来たのは聞きたいことがあるからなのだろう? もう少しちこう寄れ、そして座るが良いぞ」


 僕はプリメーラの目の前まで行き、指示通り床に座った。


「聞きたいことはたくさんあります。この世界のこと、国のこと、エルフのこと。でもまずは、これについて聞かせてください」


 僕はそう切り出した。


「何かね、シオン」


 きっと厄介な答えが返ってくるのだろうと思うが、聞かずにはいられなかった。



「なぜダークエルフは、エルフを殺すのですか?」

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