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震えるエルフと復讐を  作者: 焼魚あまね
エルフの国編
10/41

10 『ダークエルフの住処』

「僕を迎えに来ただって? それはどういう意味だ」

「どういうって、そのままの意味ですが? もしや意思の疎通ができていないのですか? 召喚されたと聞いていますから、使用言語に若干の差があるのでしょうか?」

「いや、言葉は分かるよ。ただ迎えに来た意味が分からない」


 するとダークエルフはやれやれといった表情で答えた。


「まず、第一に我々にあなたを襲う意思はありません。そこのエルフに対してもね。神が介入した以上手出しは出来ないのです」

「それを聞いて安心した」


 エルフ達も安堵したようだった。


「その上でだ。この地を闇雲に歩くあなた達を案内するため来たわけです」

「闇雲に? 僕達は間違いなくエルフの住処へと向かってたはずだが」

「それでたどり着けたのですか?」

「それは……」


「我々の住処は見えない結界で覆われています。正しい順路で進まなくては永遠にループする結界がね」

「だからずっと同じ景色だったのか」

「そういうことです。さあ、無駄話はこれくらいにして参りましょう。ついてきなさい、石動シオン!」


 ダークエルフは背を向けると歩き出した。

 僕もそれを追いかける。


「シオン……」


 するとエルフは僕の背中をつつく。


「どうした?」

「ダークエルフです、本物です。近くで見るの初めてです」

「怖いのか?」


「分からないです。でもついて行っても良いのか迷うです」

「大丈夫だ。完全に仲間というわけじゃないけど、敵でもないからさ」

「シオンがそういうなら、ついて行くです」


 エルフ達はダークエルフを警戒しながらも僕と歩き出した。

 時折何も無いはずの場所で直角に曲がったり、Uターンしたりしながら歩くと、急に世界が変わった。


 木々が生い茂る林。

 エルフ達の住処とは大きく異なる環境だった。


「すごいです~。木材いっぱいです~」


 エルフ達も周りをきょろきょろして驚いている。

 その林を真っすぐ抜けていくと、ダークエルフの住処があった。


「これは、驚いたな!」


 エルフの住処が田舎だとするならば、ここは大都会だった。

 基本木造建築なのは変わりない。

 しかし大きさも構造もまるで違う。


 大きなゲート。

 そして高層マンションのような木造のビル。

 よく見ると土台や柱に金属が使用されている部分もある。

 金属加工の技術も持っているのだろう。


 住居、倉庫、見張り台、武器庫。

 他にも様々な役割を持つ建物がある。


「ここが我々ダークエルフの住処だ。ようこそ石動シオン」

「案内ありがとう、ダークエルフ」


「クノだ」

「え?」

「クノ……私の名前だ」

「ありがとう、クノ」

「ああ、石動シオン」


 どうやらダークエルフには名前という概念があるらしい。

 個体数が少ないからだろうか。


「さて、来てもらって早速ですまないが、我々の長がお前を呼んでいる。ついてきてくれ」

「分かった」

「ああ、エルフ達は置いておいてくれ。長の家に入りきらないからな。エルフ達よ、恐れることはない。自由にしていてくれ」


 こうして僕はエルフと別れ、クノと共にダークエルフの長が待つ家へと向かった。

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